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旭川の道議補選にトランスジェンダーの夢月萌絵氏が出馬表明

2021年08月06日

 北海道議選旭川市の補欠選挙に、トランスジェンダーの夢月萌絵(むつき・もえ)氏が出馬する意向を表明しました。


 北海道議旭川市選挙区(定数6)では、次期衆院選道6区(上川管内)に出馬する東国幹前道議が4月に辞職し、次期旭川市長選に出馬する笠木薫道議も近く辞職する予定で、欠員2となり、補選となる見通しです。
 夢月萌絵氏は8月5日に会見を開き、「LGBTやマイノリティを排除しない社会システムを構築したい。多様性の受容は社会の強さにつながります」と述べました。
 夢月氏は十勝の幕別町出身。子どもの時から性別違和を抱えていましたが、どう表現してよいかわからず、ずっと隠してきたといいます。帯広緑陽高校を卒業後、北海道大学文学部に進学し、英語と国語の中学教員免許を取得しました。卒業後は塾講師を務めていましたが、"男らしさ"を求められることに疲れきって、女性として生きるべく、札幌・ススキノのショーパブ「ららつー」に転職(「ららつー」はずっとレインボーマーチ札幌に協賛してくれていたお店です)。その後、旭川の「咲樂屋(さくらや)」(日本最北端のショーパブだそうです)のオープニングスタッフに起用され、現在、同店の代表取締役を務めています。「咲樂屋」では、介護施設で踊ったり、市内の夏祭りに参加するなど、社会貢献のボランティア活動も行なってきたそうです。
 そんな夢月氏は、ダイバーシティマネジメントを政策に掲げ、「多様性の受容が社会の強さにつながる」と訴えます。「性的マイノリティ、社会的弱者の救済だけでなく、だれもが幸せになる社会」を目指します。「コロナ禍にあって、住民の生命と生活を守るということが何よりも大切です」「住民が幸福を追求し、生き生きと生活できるようにしたい」「憲法14条(法の下の平等)に則り、LGBTQやマイノリティを排除しない社会システムを構築していきたい」と語っています。(こちらに記者会見の模様の動画が掲載されています)
 
 トランスジェンダーの北海道議といえば、渕上綾子氏がいらっしゃいます(トランスジェンダーとして初の都道府県議であり、現職で唯一のLGBTQの都道府県議です)。夢月萌絵氏も渕上綾子氏と同じく立憲民主党公認です。
 もし夢月氏が当選すれば、道議会100名のうち2名がトランスジェンダーとなります(たいへんレアな…と書こうとしたのですが、新宿区議会にすでに、よだかれん区議と高月まな区議という2人のトランスジェンダーの方がいらっしゃいました。しかも38名中2名です)
 選挙日程はまだ決まっていないようですが、夢月氏の健闘に期待します。
 
【追記】2021.8.17
 夢月氏が、体調不良のため立候補を断念したいとの意向を示し、出馬が取りやめになったそうです(詳細はこちら
 残念ですが、またの機会に、チャレンジしてほしいですね。
 
  
 なお、選挙が終わった後に報じられたのでお伝えするタイミングを逸してしまったのですが、7月11日投開票の那覇市議選に、ジェンダーマイノリティの畑井モト子さんが出馬していました。
 畑井さんは性自認が定まっていない方(クエスチョニングと言ってよいでしょうか)で、立候補者へのアンケートでも性別は「どちらでもない」を選んでいました。これまで自身のジェンダーについて、身近な友人などにしか伝えていませんでしたが、今回の選挙で初めて公にしたそうです。「LGBTQに対する差別や偏見がまだあるなか、オープンにするのは怖かった」そうですが、少数者の意見を当事者として訴えることが重要だと感じ、カミングアウトを決意したそうです。
 沖縄県内の選挙で初のLGBTQの候補として、生きづらさを抱える人たちに寄り添い、多様性を尊重する社会の実現を訴え、1119票を獲得しましたが、当選には至りませんでした。結果を聞いて畑井さんは、「悔しい。結果は残念だったが、初めて本当の自分を出せた。少しは当事者の力になれたのでは」と語りました。
   

参考記事:
旭川の道議補選にLGBTの夢月氏が出馬表明(HTB北海道ニュース)
https://www.htb.co.jp/news/archives_12687.html
「怖かったけど、初めて本当の自分を出せた」LGBTQだと公表した候補 那覇市議選で及ばず涙(沖縄タイムス)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/784980
「当事者の声は強い」LGBTQ公表した候補、畑井モト子さん 落選にも前向く<那覇市議選>(琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1353721.html

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