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IOCがプライド月間に際し、LGBTQ差別禁止を訴える声明を発表しました

2021年06月03日

 6月2日、国際オリンピック委員会(IOC)が「LGBTQのプライド月間の始まりに際し、IOCはスポーツや社会におけるインクルージョン(包摂)と差別禁止の重要性を今一度強調します」との声明を発表しました。五輪憲章ではすでに性別や性自認に基づく差別を禁止する規定がありますが、IOCがプライド月間に(大会の直前に)このようなメッセージを発するのは初めてのことと見られます。日本のことにたくさん言及されています。

 IOCは声明で「インクルージョン(包摂)、ダイバーシティ、平等はIOCのあらゆる活動の核心的な要素であり、差別禁止はオリンピック・ムーブメントの主要な柱です」と述べています。
 バッハ会長は「どんな種類の差別も受けることなくスポーツをすることは、人権の一つでありオリンピック・ムーブメントの根本原則である」と述べています。このようなアプローチは「来たる東京五輪でも明確になるでしょう」と述べられています。
 東京五輪のビジョンの一つは「多様性と調和」です。違いを受け入れ尊重する社会を育む一環として、新宿にプライドハウス東京が設けられている、とIOCは説明しています。
 プライドハウス東京は性的マイノリティへの理解を深め、LGBTQのアスリートや家族、ファンをサポートする場所です。バッハ会長は2020年10月の同施設のオープン時に「スポーツにおいて、私たちはみな平等です。そこに差別はありません。私たちはすべての多様性において団結しています」というメッセージを寄せています。「私たちは東京五輪がダイバーシティ&インクルージョンを掲げてきたことを歓迎します。プライドハウス東京はその重要な事例です。プライドハウス東京は団結・連帯・多様性という五輪の精神を反映しており、東京五輪のレガシーとして長きにわたって継続することを望みます」
 IOCは、性的指向だけではなく、性自認および身体上の性的特徴(性分化疾患の方への配慮)に基づくアスリートの公平や安全、差別禁止を保障する新しいフレームワークづくりにも取り組んでいます(IOCはリオデジャネイロ五輪を前に、トランスジェンダー選手の出場基準を緩和する新たなガイドラインを発表。トランス男性選手については出場の規制がなくなり、トランス女性の選手については男性ホルモンのテストステロン値が一定レベルを下回っていることなどの条件を満たせば出場できるとするものです)。これを実現するために「影響を受けるアスリートの見解や経験を重視しつつ、人権の観点をも考慮した協議プロセスを実施しています」 


 日本でいま起こっている、LGBT差別は許されないとの文言を盛り込む新法をめぐる与党議員からの差別発言や、与党が法案の国会提出をやめようとしている動きなどについて、直接の言及はありませんが、こうした動きを踏まえたうえで「差別禁止の重要性を今一度強調します」と声明を発したのであろうことは想像に難くありません。「国際社会は日本がLGBT差別が許されてしまう国なのか、きちんと差別禁止を保障できる国なのかどうか見ていますよ」というメッセージでしょう。
 
 
参考記事:
IOCがLGBTQ差別禁止を訴える「来たる東京五輪でも明確になる」(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/ioc-pride-month_jp_60b856a2e4b001ebd46db280

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