g-lad xx

NEWS

LGBT法案の今国会中の提出を求め、大勢の弁護士が連名で緊急声明を発表しました

 自民党三役が今国会でのLGBT法案の提出を見送ったとの報道を受け、同性婚訴訟などに携わる弁護士らが6月5日、今国会中の提出を求める緊急声明を発表しました。7日20時まで賛同する弁護士・法学者を募り、翌8日に自民党に提出するそうです。

 声明を一部抜粋してご紹介します。

「日本社会には、性的指向や性自認についての偏見や差別が根強く存在し(法務省啓発活動強調事項、人権擁護局「主な人権課題」等)、LGBTと言われる人々の多くは、子どものころから人格を否定する情報にさらされ、孤立し、いじめ、ハラスメントや差別的取扱、法制度上の差別等さまざまな困難に直面しがちであり、尊厳を奪われています。自殺未遂経験の割合が、シスジェンダーの異性愛者と比べて、LGB(同性愛者や両性愛者)で6倍、トランスジェンダーで10倍にもなるとの調査もあります。ところが、そもそも、日本には、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(2003年成立)以外には、性的指向や性自認に直接言及する法律は存在せず、差別が許されないことを明確にする法律や、国・自治体等の施策を義務づける法律など、人権救済と啓発を実効的に行うための法律が存在しません。その結果、わが国のLGBTに関する法整備状況は、OECD諸国35か国中、34位といわれる状態です。このような中、政府の自殺総合対策大綱(2012年、2017年)でも、「同性愛者等を含むセクシュアル・マイノリティ」の自殺念慮リスクの高さが指摘され、性的指向又は性自認等による困難を解消するための法律が文字どおり待った無しで求められています。
 この点、本件法案は、第1条(目的)及び第3条(基本理念)に「全ての国民が、その性的指向又は性自認にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念」や、「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識」が明記されています。性的指向及び性自認を理由とする差別が許されないことは、歴代の内閣総理大臣も国会の答弁で言明するとおりであり、それを国の法律に明記することは、社会全体のルールを明確にする意味を持ち、今後他の法令の解釈の指針となり、国と自治体の施策や理解増進が上記理念等に則ってなされるべきことを示すものです。
 本件法案は、LGBTの人々が直面する深刻な人権と尊厳毀損の状態に対比すれば不十分と言わざるをえませんが、他方、公正な社会を実現するための重要な一歩となるものです」

「本件法案には「差別」を定義する規定は存在せず、その点を問題とする意見も報道されています。しかし、憲法14条1項をはじめ既にさまざまな法令に差別を直接禁止する規定が存在しますが、そのことによる混乱が問題となったことなどありません。同種の法令で行政がガイドラインを策定することが通例であることをも考えれば、本件法案が成立して恣意的な運用がされるとの危惧はあたりません」

「今回与野党が合意した本件法案の背後には、孤立と困難の中声をあげ公正な社会実現のために取り組んできた多くの当事者や心ある人々の努力が存在します。いま、企業や自治体も歩みを始め大きな成果をあげています。ところが、自由民主党の議員も多数参加する「LGBT(性的少数者)に関する超党派の議員連盟」で合意に達した本件法案について、当事者を傷つける発言が繰り返され、自民党内の手続が進まないという状態に、当事者はもちろん、家族、友人、アライ等多くの人々が傷つき、その理不尽に唇をかみしめています。与党として国政に責任を持つ自由民主党が本件法案の提出をしないことには、到底合理的な理由を見出すことができません」

 これ以上ないくらい的確にLGBT法案の意義が記された声明ではないでしょうか。さすがは同性婚訴訟などに携わる弁護士さんたちです。そして、魂の、という言葉がふさわしい、熱い思いが込められた名文だと感じさせられます。
  
 声明の呼びかけ人の一人で「府中青年の家」裁判で東京高裁から画期的な判決を引き出した(RUSH裁判や、同性婚裁判にも携わっている)中川重徳弁護士は、「当事者を傷つける発言が繰り返され、自民党内の手続が進まないという状態に、当事者はもちろん、家族、友人、アライ等多くの人々が傷つき、その理不尽に唇をかみしめています」と語りました。
「差別が許されないというのは、政治的な立場や思想信条を超えて、多くの人の共通認識だろう。偏見に働きかけて、支持を得ようとする議員が一部見られるのが残念だ。性的指向などによる差別はオリンピック憲章違反だし、6月は(LGBTの権利について啓発を促す)『プライド月間』でもある。現在、自民党の『三役預かり』になっているが、後ろ向きの声を克服し、法案を成立させることで責任を果たしてほしい」

 呼びかけ人には、寺原真希子弁護士はじめ「結婚の自由をすべての人に」訴訟で活躍してくださっている方々やLLAN代表理事の藤田直介弁護士、元最高裁判事の鬼丸かおる弁護士、前日弁連会長の菊地裕太郎弁護士らの名前もあります。
 たいへん心強いです。頭が下がります。

 

参考記事:
「LGBT法案、今国会中に提出を」弁護士らが自民党に向けて声明 法律家の賛同募る(弁護士ドットコム)
https://www.bengo4.com/c_23/n_13153/

INDEX

SCHEDULE

    記事はありません。