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『アメリカン・アイドル』出身のシンガーソングライター、デヴィッド・アーチュレッタがカミングアウトしました

2021年06月13日

 『アメリカン・アイドル』の歴代の勝者のなかでも最も有名な一人であるシンガーソングライターのデヴィッド・アーチュレッタが6月12日、LGBTQコミュニティのメンバーであることをカムアウトしました。



 デヴィッド・アーチュレッタは2008年、17歳のときに『アメリカン・アイドル』第7シーズンに出場し、デヴィッド・クックと競い、9700万以上もの得票数を得たものの、準優勝という結果になりました。2008年8月にシングル「Crush」をリリースし、11月に自身の名前をタイトルにしたアルバム『David Archuleta』を発売、ビルボード最高位2位を記録しました。(上の動画は『アメリカン・アイドル』で「Imagine」を歌ったときの映像です)

 現在もアーティストとして活動するデヴィッド・アーチュレッタは12日、インスタグラムで真実をシェアし、宗教的な生育環境がカミングアウトを特に難しくしていたと語りました。
「僕は2014年に家族にゲイだとカムアウトした。でも、それから、男性にも女性にも同じような感情を抱くようになり、バイセクシュアル・スペクトラムなのだと思った。それから、多くの人々と異なり、自分は性的な欲求を抱いていないということに気づいた。僕は結婚するまで自分を抑えようと思ってたし、いまだに禁欲の誓いを守っている」
 デヴィッドはアセクシュアルであるということが自分を最も適切に説明できると語りました。そう語ることで、同じような状況の人たちの助けになると考えて。
 また、モルモン教徒の家に生まれた彼は、信仰心が篤いゲイやバイセクシュアルの人々に「あなたは独りじゃない」と伝えました。「信仰に生きることとLGBTQは矛盾しない、両方を生きることができる」と。
「僕はほとんど20年間、自分を変えようとしてきた、神が目的を持って僕をこのように創りたもうたのだと気付くまでは」
「僕が間違ってると考えてきたことを憎む代わりに、なぜ神が僕を愛してくださるのかを理解する必要があった」
「LGBTQで信仰とのバランスを見つけようとしている僕のような人に対して、より理解や共感を示せるような居場所をつくることを考えてほしいんだ」
「僕は、キリスト教信者として僕らができることはもっとあると思う、末日聖徒(モルモン教徒)であっても。LGBTQということと信仰との間の葛藤に耳を傾けてほしい」


 モルモン教は、キリスト教のなかでも同性愛に対して最も厳しい宗派のひとつで、2019年まで教会のLGBTQ信者を背教者とみなし、信者の子どもたちの洗礼を禁止していたくらいです。(2006年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で『ラターデイズ』という作品をご覧になった方もいらっしゃるかと思います。モルモン教がいかに同性愛に厳しいかということの一端が垣間見える作品でした)
 

 デヴィッド・アーチュレッタが活躍した翌年、2009年の『アメリカン・アイドル』ではアダム・ランバートが活躍し、やはり準優勝となりました。アダムは、メジャーデビューを前にゲイであることをカムアウトしてセンセーションを巻き起こし、今に至ります。デヴィッド・アーチュレッタは対照的に、カミングアウトに10年以上もかかってしまいましたが、このプライド月間に、このような、真摯で心のこもった、同じような境遇の人たちを勇気づけるようなメッセージを発してくれたことへの賛辞がたくさん寄せられています(アメアイで競ったデヴィッド・クックからも「君を愛してる。誇りに思うよ」とのコメントが寄せられたそうです)

 
参考記事:
American Idol’s David Archuleta proudly comes out as a member of the LGBT+ community: ‘God made me how I am’(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2021/06/13/david-archuleta-comes-out-lgbt-asexual-bisexual-gay-instagram-queer/
'AMERICAN IDOL'S' DAVID ARCHULETA COMES OUT AS LGBTQ+ FOR PRIDE Seeks Religious Acceptance(TMZ)
https://www.tmz.com/2021/06/12/american-idol-david-archuleta-comes-out-lgbtq-pride-month/

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