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石川大我議員が「こども家庭庁」設置法案について質問し、野田こども政策担当相は「LGBTQの子ども、同性カップルが育てる子どもも対象」と明言し、様々な支援に前向きに取り組む姿勢を見せました

2022年05月24日

 5月24日、内閣委員会が参議院で開かれ、来年4月の設置を目指す「こども家庭庁」の法案について石川大我参議院議員が質問しました。石川議員は野田聖子こども政策担当相から「(こども家庭庁が行なう支援には)当然LGBTQの子も含まれる」「家庭は血縁や法的な規定にかかわらず、こども中心にしっかり支援する。同性カップルのこどもも含まれる」との答弁を引き出しました。

 
 先日のいわてレインボーマーチにも参加していた(豊島区議時代から現在まで、おそらく当事者議員の中で最も熱心に全国のパレードを応援している)石川大我議員は、昨年、小泉環境相(当時)から「同性婚に賛成だ」との答弁を、今年4月には、海外で日本人と同性婚した外国人パートナーについても在留特別資格を認めるよう前向きに検討するとの答弁を引き出しましたが、今回は、子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」設置法案について質問台に立ちました。
 
 石川議員はまず、里親(社会的養護)のなり手を増やしていくための国の方針を尋ねるなどした際、2017年から日本でも同性カップルが里親になっている、子どもにとって必要なのは異性・同性にかかわらず温かい家庭であり、海外でも同性カップルに育てられた子たちが健やかに育っていると報告されている、と語りました。
 続いて、「こども家庭庁」法案について、この法案で言う「こども」「家庭」には、同性カップルなどLGBTQが現に育てているこどもも含まれますよね?と尋ねました。野田大臣は「この法案の基本理念は誰一人取り残さず支援していくこと。当然LGBTQの子も含まれる」「家庭については定義はおいていないが、血縁や法的な規定にかかわらず、こども中心にしっかり支援する。同性カップルのこどもも含まれる」と答弁しました。
 続いて、石川議員は「同性カップルの場合、両親の婚姻が認められないことで、様々な困難がある。例えばAさんの実の子をパートナーのBさんと育てている場合、Bさんは親権を持っていないため、様々な手続きの時に、Aさんが必要になる。子どもにとっては両方親なのに。そういう意味でも、同性婚を認める必要があるのではないか?」と質問、野田大臣は「政府としてはこどもの利益を最善に考える。こども真ん中社会。居場所としての家庭を支援し、LGBTQの子どもの悩みにも取り組んでいきたい。ただ、婚姻をめぐる制度は、家族のあり方の根幹に関わるもので、様々議論があるため、注視していきたい」と話すにとどめました。
 その後、石川議員は、当事者の子どもが「この先生なら」と信頼してカミングアウトして相談したときに校長や他の先生にも広まってしまう「アウティング」のリスクがあることを懸念する、どのように制度設計するのかと尋ね、谷内繁こども家庭庁設置法案等準備室長は「LGBTQの悩み相談は尊重されなくてはならない、どこまで共有するかという点は、人権も配慮しながら対処していく」と答えました。
 それから、石川議員は、平成18年に制定された豊島区こどもの権利に関する条例の「子どものみなさん、あなたの人生の主人公はあなたです(中略)あなたという人は、世界でただ一人しかいません。大切な、大切な存在なのです」という宣言を紹介しつつ、子どもに寄り添うコミッショナーの制度を設けている国が世界に60ヵ国以上ある、学校でLGBTQへのいじめがあった際、先生も「お前がナヨナヨしてるからだ」と言ってしまう事例も聞かれるなか、独りで立ち向かうことが難しい当事者の子どもをサポートする大人が必要なのではないか、として「こどもコミッショナー」の設置を提案しました。野田大臣は「豊島区の言葉、いいですね」と語り、「コミッショナーについては審議会でもたくさん質疑があった。国会での審議を受け止めて、子どもや子育て当事者や有識者の意見を聞き、施策の充実に取り組んでいきたい」と述べました。
 石川議員は、「私もLGBTQのユースを支援するNPO法人の代表をつとめていたが、行政の支援や民間基金など一切なかった、教育委員会にも「親にも言えないような子どもが参加しているのに」と言って断られた。今でも団体は手弁当でやっている」として、LGBTQの子どもの居場所づくりに取り組む団体への支援が必要なのではないかと問いました。野田大臣は、「すべての子どもが安全な居場所を得て、幸せな状態で成長していくことを目指す。LGBTQの子どもも当然含まれていくが、居場所について実態を把握する調査研究の結果を踏まえ、多様な支援をしていく」と答弁しました。
 最後に石川議員は、同じ当事者で年齢が近い人に対し、孤立しがちな当事者も心を開き、居場所を見つけられるとして、「ピアサポートが重要だ」と語り、子どもにとって真に居心地の良い場所「サードプレイス」として、欧米のようなユースセンターの設置にも取り組んでいただきたいと訴え、野田大臣は「私も当事者として不妊治療のピアサポートをしてきた。そういう意味では、LGBTQが語り合える場は大切だと思っている。最前線で人々を支えているのは、まさにそういう経験をしたNPOであることは理解している。よりよいかたちで支えられるよう取り組む」「(ユースセンターについては)調査研究のなかに居場所づくりも入っている。先行事例を研究する」と述べました。

 同性婚については明確に賛成とおっしゃってはいただけませんでしたが、「すべての子ども」にLGBTQの子どもも含まれると明言され、(どこまで実現するかはまだわかりませんが)様々な支援に取り組んでいくとの姿勢も見えて、たいへん有意義な質疑応答になったのではないかと感じました。
 LGBTQユースの居場所づくりについては、プライドハウス東京だけでなく、「にじーず」という団体が様々な場所で活動していますし、福岡名古屋群馬熊本香川長野西宮など全国各地の団体が取り組んできました。こうした団体の活動の意義が国にも認められ、支援が行なわれるようになるといいですね。
 

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