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【同性パートナーシップ証明制度】栃木県が9月導入へ、その他、静岡県、長野県などの動きをお伝えします

2022年05月25日

 栃木県の福田富一知事は24日の市町村長会議で「パートナーシップ宣誓制度」を9月に導入することを明らかにし、全25市町が賛同しました。今後、県が制度の要綱を作成します。福田知事は「性的マイノリティの方々の生きづらさを少しでも解消し、誰もが自分らしく生きられる社会を目指していきたい」と述べました。
 県人権施策推進室によると、事前に予約したうえで県庁を訪れ、パートナーシップ関係にあることを宣誓したカップルに、宣誓カードを交付、宣誓カードの提示により、県や市町などのサービスが利用できます。具体的には、公営住宅への入居のほか、家族として病院で面会することも認められ、また、新婚夫婦などが協賛店舗で割引などの特典を受けられるとちぎ結婚応援カード「とちマリ」も利用できるそうです。会議後、福田知事は「共生社会を目指すために全市町一体で取り組むという体制が整った」と語りましたが、一方で、サービス内容が決まっていない市町もあるそうで、「全てのサービスが9月に出そろうか、まだわからない」と述べました。
 今年10月に開催予定の「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」を控え、多様性を意識した制度の導入を目指していました。県議会では、超党派の議員が性の多様性に関する理解促進を目指す条例を作ろうとしていましたが、自民党内で意見がまとまらず、頓挫していました。福田知事は2月の記者会見で、条例の成立を待たずに今秋、制度を導入する考えを示していました。 
 都道府県としては茨城県、大阪府、群馬県、佐賀県、三重県、青森県、秋田県、福岡県の8府県が「パートナーシップ宣誓制度」を導入しており、栃木県は全国で9例目となりそうです。
 

 同じく県として「県パートナーシップ宣誓制度」の導入の意向を発表していた静岡県は、骨子案をまとめました。
 宣誓を希望する二人の戸籍上の性別や性的指向、性自認は問わず、双方が18歳以上の成人で、どちらかが県内在住か転入予定であれば、住民票の写しなど必要書類を添えて宣誓書に署名し、県から受領証や受領カードの交付を受けることができます。希望に応じて、受領証には養育する未成年の子の氏名などが記載できるそうです(ファミリーシップ制度でもあります)
 県によると、同性カップルの抱える生きづらさや不安の例として、自身の存在が社会から認められていないと感じる、パートナーが救急搬送された際に病状の説明や面会で家族として扱ってもらえないのではないかと不安、住宅を借りる時に二人の関係を理解してもらえないかもしれない、といったことがあるため、今後、県が提供する行政サービスについて、宣誓者を婚姻カップルと同様に取り扱えるよう、申請の要件と手続きを見直し、公営住宅の入居申込みや公立病院の面会などで家族同様に扱われるよう県内市町と調整するそうです。民間企業に対しても、生命保険の受取人指定や携帯電話の家族割引の適用などで異性婚と平等な待遇を行なうよう働きかけるそうです。
 県は公式サイトで骨子案を公開し、6月3日まで県民のパブリックコメントを募集しています。
 静岡県は昨年10月、2022年度中に「県パートナーシップ宣誓制度」を導入する意向を発表していました。東京都が11月1日からですので、もし静岡県がその前に制度を導入すれば、全国で10例目となりそうです。


 長野県では、LGBTQ支援団体「レインボーフェローズナガノ」が17日、同性パートナーシップ証明制度を県で導入するよう阿部守一知事に要望しました。阿部知事は「皆さんの思いに寄り添った対応をしたい」と前向きな姿勢を示したうえで、市町村長とも協議するとし、団体にも「一緒に考えてほしい」と継続的な意見交換を求めました。
 県内では松本市と駒ケ根市がすでに制度を導入しており、長野市が2022年中に導入予定、辰野町が検討中です。県もパートナーシップを宣誓したカップルに県立病院での面会や県営住宅への入居を認めるという取組みをすでに実施しているものの、松本市・駒ケ根市に居住する方以外は現状、パートナーシップ証明が受けられないため、せっかくの県の取組みの恩恵を受けることができません。
 「レインボーフェローズナガノ」の千葉澄香さん(塩尻市)は、集めた239筆の署名とともに、阿部知事に要望書を手渡しました。同団体の顧問弁護士である宮井麻由子弁護士(塩尻市)は、同性カップルや同性が好きな人も長野県に暮らしており、県がこの事実を前提として施策を進めることが日常的な差別の解消につながると訴えました。千葉さんは「私たちの存在を認めてもらうのがいちばんの目標です」と語りました。
 阿部知事は「LGBTQの方をはじめ、全ての人たちが生きづらさを感じなくて済む社会をつくっていかなければいけない」と述べ、制度について「大至急考えなければいけないと思っている」と答えました。


 それから、北海道で「パートナーシップ宣誓制度」を導入している札幌市と北見市が協定を結び、両市間の引っ越しであれば手続きを簡素化して制度を継続利用できるようにしました。道内では江別市や函館市も同制度を導入してお理、札幌市は今後、道内外の自治体との連携拡大を進めていきたい考えを示しました。札幌市の秋元克広市長は「多様性を認める自治体が増えることが重要」と語りました。
 
 
 今年4月1日、福岡県や秋田県など全国の約50の自治体が制度を導入し、人口カバー率が総人口の過半数に達しましたが、今後、栃木県、静岡県、東京都、長野県…と都道府県単位での導入が続いていくと、人口カバー率が総人口の2/3くらいになることでしょう。
 日本の地方自治体の2/3が戸籍上同性のカップルのパートナーシップを異性婚と同等だと見なすようになると、さすがに国も同性婚について検討せざるをえないのでは…と期待されます。
 
 

参考記事:
県、パートナーシップ制度9月導入へ(栃木放送)
http://www.crt-radio.co.jp/news/6093
栃木県、パートナーシップ制度導入へ 9月1日から(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220525/k00/00m/040/029000c
性的少数者カップルに公的証明書 栃木県、9月にも導入(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ5T35W8Q5SUUHB007.html
県の性的少数者カップル制度 9月に導入へ 県が自民に説明(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQ5N72TCQ5NUUHB00H.html
パートナー制 9月導入 性的少数者への公的後ろ盾を 栃木県方針(下野新聞)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/591045

生きづらさ解消へ 「県パートナーシップ制度」骨子案 同性婚・事実婚、家族同様に(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220517/ddl/k22/040/172000c

県単位で「パートナーシップ制度」導入を 性的マイノリティ当事者団体が要望 全国では7府県が導入(長野放送)
https://www.nbs-tv.co.jp/news/articles/2022051700000005.php
同性パートナーシップ制度化を 県に要望(長野日報)
http://www.nagano-np.co.jp/articles/93700

「パートナーシップ宣誓制度」札幌市と北見市が協定へ(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220513/7000046466.html
パートナー制度で連携 6月から札幌市と北見市(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220521/ddl/k01/040/034000c

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