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【婚姻平等訴訟】大阪地裁判決に対し、各方面から批判の声

2022年06月22日

 『結婚の自由をすべての人に』訴訟の大阪地裁判決に対し、各方面から批判の声が上がり、支援的な報道も続いています。まとめてご紹介します。

 
 まず、国際人権団体「アムネスティ」が「同性婚に対する「差別的」判決 平等への打撃」と題し、国に結婚の平等の早期実現を求める声明を発表しました。
「6月20日、大阪地方裁判所は、政府による同性婚禁止を支持する判決を下した。これは日本における平等の権利に深い打撃を与えるものであり、日本でLGBTIの人びとが直面している偏見と、それに対処していない政府の姿勢を浮き彫りにするものだ。
 昨年、札幌地方裁判所が同性婚を認めないのは憲法に違反すると判断し、この問題の進展に希望を与えたが、今回の判決で同性カップルは振出しに戻ったと感じるだろう。
 アムネスティは日本政府に対し、あらゆる分野で同性カップルを差別しているすべての法律、政策、慣行を徹底的に見直すよう要請する。同性婚に対する抑圧的な禁止は過去のものとして葬り去らなければならない」
「運動家たちの長年の努力にもかかわらず、日本では性的指向、性自認、表現、性的特徴に基づく差別を撤廃するための国内法を導入できていない。
 アムネスティは、日本政府に対し、LGBTIの権利に優先的に取り組み、包括的な差別禁止法、とりわけ性的指向、性自認、性表現、性的特徴を理由とする差別を禁止する法律を導入するよう引き続き求めていく」

日本:同性婚に対する「差別的」判決 平等への打撃(アムネスティ)
https://www.amnesty.or.jp/news/2022/0621_9601.html



 ロバート・キャンベル氏は21日、日本テレビ系「スッキリ」に出演し、「一人の当事者として、まず私は落胆しました」「司法が分かれた。札幌の判決とだいぶ違うと感じた」と口を開きました。そして、「同性婚を認めないことが合憲であるということの根拠に、当事者たち、つまり同棲している同性カップルの人たちが、異性と結婚した場合に得る利益とそれほど変わらない、(不利益が)緩和されようとしていることを一つの根拠としている。全く違う。相続権、共同親権、遺族年金とか、根本的な社会保障は婚姻制度の中にいるか、外にいるかによって全然違うわけです」「私は、がんもどきじゃあるまいし、本物の婚姻と似たものを並べる意図が何かを考える時、似たものに差し引かれる利益、そこに想定されると思う。やはり、同等の権利が獲得されないと、人格の尊厳は保障されない。確保されないと私は思う」と冷静かつ強い口調でコメントしました。
 視聴者数の多い影響力のある番組で、キャンベルさんがこのように語ってくださったこと、素晴らしいです。

ロバート・キャンベル氏 同性婚認めないのは「合憲」判決に落胆「人格の尊厳が保障されない」(スポニチ)
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12278-1702854/
 

 信濃毎日新聞は、21日の社説で、「同性愛者を差別的に取り扱うことを容認するのか。「法の下の平等」の観点から、看過できない判決だ」と、毅然と大阪地裁判決を批判しました。
「どの性別を好きになるかという性的指向は個人の意思で変えられない性質だ。性的指向の違いで、生まれながらに持つ法的利益に差を設けてはならない。
 札幌地裁はこの観点から、同性婚を認めないのは「合理的根拠を欠く差別」とした。
 さらに札幌地裁は「異性愛者の理解がなければ利益を受け得ないとするのは、自らの意思で同性愛を選択したのではない同性愛者の保護に欠ける」と認定した。
 これに対し、大阪地裁は「同性間の人的結合関係にどのような保護を与えるかについては、議論の過程にある」と指摘。現状では同性婚を認めなくても違憲ではないとした。
 問題は、同性愛者の人権を社会が「与える」ものと認定したことではないか。大阪地裁は法の下の平等を軽視している。
 弁護団は控訴する方針で、声明で「極めてずさんな判断」と批判した。当然の反応だろう。
 多様性を尊重するのは社会や国際的な潮流だ。大阪地裁も同性婚の法的措置がないことが、将来は違憲となる可能性を指摘した。
 政治は判決にかかわらず、議論を深める必要がある。参院選では野党の大半が導入を公約しているのに、保守派が影響力を持つ自民党は触れていない。選挙戦の論戦で考え方を明らかにするべきだ」

〈社説〉同性婚請求棄却 「法の下の平等」の軽視だ(信濃毎日新聞)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022062100114



 京都新聞の21日の社説では、原告のうちの1組が京都在住の女性カップルであったことにも触れながら、「札幌とは正反対の判断で、国側の主張にほぼ沿った判決内容となっている。「法の下の不平等」に苦しんできた当事者には到底受け入れがたい判断だろう。多様性を認め、性的少数者の権利を擁護していく国内外の潮流に逆行しているのではないか」と批判されています。
「共同通信が今年になって実施した世論調査では、同性婚を「認める方がよい」が71%にのぼり、若い世代ほどその割合が高かった。
 判決は、同性カップルが共同生活を営む利益を実現する制度について、「国民的議論が尽くされていない」とも指摘した。
 同性婚の導入について、政府は「慎重な検討を要する」との立場だが、時代が求める変化に向き合うべきだ。性的少数者が不利益を被らないよう、環境整備に向けて党派を超えた検討を求めたい」

社説:同性婚大阪判決 法整備の議論は不可欠(京都新聞)
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/818745



 佐賀新聞の22日の社説は、「明らかに後退した結論だが、判決理由には法整備のヒントも含まれており、国は参考にするべきだ」と主張しています。
「国民の間でも議論が整理され、深まっているわけではない現状を指摘しながら「同性カップルに関する何らの法的措置も取られない立法不作為が、将来的に違憲となる可能性」にも言及した。国は重く受け止めるべきだ」
「判決は、異性、同性カップルの「利益の差は緩和されつつある」と言うが、疑問が残る。自治体の対応では限界がある。公営住宅入居が可能になるなどのメリットは自治体によってまちまち。制度がない自治体に転居したらメリットは失われるし、制度があっても連携協定がない自治体なら、また最初から手続きをし直さねばならない。パートナー間の相続や財産分与などは、法制化によらなければ解決できまい。国は自治体任せにしてはならない」
「性的少数者の生きづらさは、社会全体で解消すべき問題だ。国は早急に重い腰を上げなければならない。長い年月が必要な司法判断の積み重ねを、待つ必要はない」

「同性婚訴訟判決」多様性認める法制議論を(佐賀新聞)
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/873622



 北海道新聞は、『結婚の自由をすべての人に』北海道訴訟の弁護士や原告の声を紹介しています。
 北海道訴訟弁護団の加藤丈晴弁護士「これ以上に最悪な判決はない」と怒りをあらわにし、議論が尽くされていないことなどを理由に違憲性を否定した判決内容について「人権や、個人の尊厳の問題だという基本的な理解が欠けている」と批判しました。
 原告で、帯広市内で同居する国見亮佑さんとたかしさんは大阪地裁判決を傍聴しましたが、「同じ制度を使わせないのは差別にほかならない。当事者の思いを踏みにじる判決だ」「絶望しかけたが、ここまでの道のりで応援の熱量も上がっている。連携を深め、気持ちを新たに闘っていきたい」と語りました。

道訴訟原告ら「尊厳の理解欠如」 大阪地裁、同性婚「合憲」判決(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/695981/


 ハフポスト日本版も、複数の記事で、原告の方たちの声や、判決後の会見の様子を伝えています(いつもLGBTQの権利について熱心に報道してくださっています。ありがとうございます)

「人権侵害を解消せず、司法の役割を放棄した」。判決に原告側が訴えたこと【結婚の平等裁判】(ハフポスト日本版)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_62b015dce4b06594c1d88994

パートナーシップでは「婚姻届の紙切れにも届かない」。判決に原告が訴えたこと【結婚の平等裁判】(ハフポスト日本版)
https://news.goo.ne.jp/article/huffingtonpost/nation/huffingtonpost-62b16a5ee4b0cdccbe61f0ff.html


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