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大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス』のメインキャスト、ウィル・バイヤーズがゲイであることが明らかになりました

2022年07月21日

 世界的に大ヒットを記録しているNetflixオリジナルドラマ『ストレンジャー・シングス』のメインキャストであるウィル・バイヤーズがゲイであることを、ウィル役のノア・シュナップが明らかにしました。ティーンもたくさん観ている人気ドラマの主要なキャラクターがゲイで、親友に恋していることが明確にされたこと、そして劇中では悩めるウィルを兄のジョナサンが抱きしめるシーンも描かれていることの意義は決して小さくないと言えるでしょう。
 
 
 『ストレンジャー・シングス』は米インディアナ州で起こった少年の失踪事件をめぐる超常現象ミステリードラマなのですが、80年代のアメリカンポップカルチャーへの愛にあふれていて、音楽ももちろん80sですし、『E.T.』や『グーニーズ』、『スタンド・バイ・ミー』、『炎の少女チャーリー』などの映画にオマージュを捧げる設定やシーンが満載で、そういうところでも人気を集めているようです(シーズン4に採用されたケイト・ブッシュの「Running Up That Hill」が注目を集め、MVが1億回再生を突破したというニュースも素敵です)
 
 『ストレンジャー・シングス』のあらすじはこんな感じです。
「ホーキンスという小さな町を舞台に、少年ウィルの失踪事件をめぐり、家族や友人、地元警察が不可解な事件に巻き込まれていく。ウィルを探す親友のマイク、ダスティン、ルーカスの3人は、謎の少女「11(イレブン)」と出会う。平和を取り戻したはずの町や人々に再び“裏側の世界”の脅威が迫る…」
 
 ウィル、マイク、ダスティン、ルーカスは、このドラマのメインキャストです。シーズン1第1話から小学生として登場し、ずっと一緒に成長し、シーズン4に至ります(現在は高校生です)。そんな主役級の仲良し4人組のなかで、ウィルがゲイであり、親友のマイクに恋をしているということを、ウィル役のノア・シュナップが明らかにしました。

 ノア・シュナップは『Variety』誌に対し、「シーズン1でヒントはありました。いつでもあったと思います※。でも、これは彼がただ友達よりもゆっくり成長しているということなのか?と、本当のところは分からなかった。しかし今、彼は成長して、スタッフは非常にリアルで明らかなことにしました。彼がゲイであり、マイクを好きなことは100%明らかです。しかしそれまでは、ゆっくりなものでした。すごく綺麗に出来上がったと思います。なぜなら、キャラクターを突然ゲイにすることは簡単ですから」と語りました。
「僕がパリにいた時に、40歳くらいの男性が僕のところへ来て、『ワォ。このウィルというキャラクターにはとても良い気持ちがする。そして僕は彼にとても共感できる。あれは本当に僕が子どもの頃のようなんだ』と言ってくれました。それを聞いて本当に幸せでした。スタッフはこのリアルなキャラクターと、リアルな旅、リアルな苦しみを書いていて、本当に上手くやっている」
「難しいものだったと思うよ。ずっと前のシーズン1では、ダファー兄弟がこのキャラクターをどの方向にもっていこうとしているのか知らなかった。だから僕は観客と一緒に解明しようとしてたんだ」
「でも彼らと話して、番組を観た今、彼らがどうしたいのかわかっている」
「これはカミングアウトへの葛藤だけではない。彼がデモゴルゴンに囚われたこと、そして今カミングアウトしたら彼を一度も認めたことがない友人たちに受け入れてもらえるかどうか恐れを抱いているということを考慮しなきゃならない」

※CINRA『シリーズ冒頭に伏線も。『ストレンジャー・シングス』はウィルのセクシュアリティーをどう描く?』によると、ドラマのなかですでに、ウィルがゲイであることを示唆するシーンが何度も描かれていました。シーズン1の第1話でウィルは、その服装や繊細さといった周りとの違いを理由にいじめられていて、「ロニー(今は別居しているウィルの父親)はあの子をゲイだと言ってた」と母親のジョイスがホッパー署長に話し、彼が「そうなのか?」と答えるやりとりが描かれていました。シーズン3では、マイクがウィルに「きみが女の子を好きじゃないのは僕のせいじゃない!」とケンカした弾みで言うシーンがありました。シーズン4の第1話では、ウィルが高校の授業の発表で「歴史上の英雄」としてアラン・チューリングの名を挙げていました。

 ドラマの舞台が80年代のインディアナ州の小さな町であることから(インディアナ州は共和党優勢の保守的な州です)ウィルがゲイであることを周囲にカムアウトするのはとても困難だということが窺い知れます。しかし、それでも、ウィルが秘密を抱え、独りで苦しむのではなく、身近に味方が現れ、支えてくれるシーンが劇中で描かれました。
 ウィルがマイクの恋愛相談に乗りながらマイクへの思いを語る様子を見ていたウィルの兄・ジョナサンが、悩む弟に「自分は味方だ」と言って抱きしめるシーンでした。
 このシーンについてノアは、こう語っています。
「あのシーンはもともと脚本になかったんです。車の中で僕が泣いて、バックミラー越しにそれを見ているジョナサンの保護者のような愛情を、スタッフが見るまで。スタッフは、これについてのシーンが必要だってなっていました。そこで撮影中にあのシーンを書いたんです。
 ウィルは独りではないということを視聴者が見るのは非常に重要です。それまでは僕たちが見ていたのは、ウィルが苦しみ、落ち込んで、自分自身でいられなくなっているところでしたから。ジョナサンは明言せずに話していました。ウィルみたいな人物に、ジョナサンはウィルのことを気にかけていて、何があってもウィルを受け入れると話すには完璧な方法です。あれはすごく健全だと思います」
 
 そして現実では、意外な人物がゲイであるウィルのことを応援していました。
 シーズン2から登場し、シーズン3では重要なキャラクターの一人となっていたマレー・バウマン。陰謀論者で、ノリがクレイジーな濃いキャラですが、そのマレーを演じたブレット・ゲルマンが自身のTwitterで、ウィル・バイヤーズとマイク・ウィーラーを組み合わせた「バイラー」というペアネームを使い、二人の恋を応援したのです。
「バイラーがバイラーのためにあるのであれば、私もバイラーを支持する。もしあれが(カップリングの)マッチなのであれば、そうであるべき。マイクがそれに乗り気でないなら、私もバイラーを支持しない。なぜなら、そうなるとウィルが傷つくから。私はエルにも傷心になってほしくないし。でももしバイラーがそうであるならば、私はバイラーを最高に支持する!!!」
 彼の元にはホモフォビックなコメントも寄せられましたが、きっぱりとこう述べました。
「あなたたちホモフォーブが私をゲイと呼ぶことが侮辱になると考えているのは哀れだ。それ(ゲイと呼ぶこと)は褒め言葉だ。だからありがとう。どのようなかたちであれ、私は愛を届ける。そしてそれができない君たちは、何かを直視するのが怖いんじゃないのか」
「私はLGBTQ+コミュニティとともにある」
「明確にさせてほしいが、私はイレブンとマイクのことも支持している。もしそれが運命なら。私はウィルに自分自身への愛や、愛を見つけてほしいし、彼が本当の自分を見つけることも願っている。自分自身であることや、自分が愛している人について、誰も恥じるべきではない」
 この力強いアライとしてのコメントに、きっと多くのゲイの子どもたちが励まされたことでしょう。素晴らしいですね。

 
  
参考記事:
『ストレンジャー・シングス』ノア・シュナップ、ウィルの「セクシャリティ」を明言(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17556294
ノア・シュナップ、『ストレンジャー・シングス』のウィルはゲイ(BANG Showbiz)
https://nordot.app/921886753393983488
『ストレンジャー・シングス』ウィルのセクシャリティ、マレー役が愛情いっぱいの素敵反応!(フロントロウ編集部)
https://front-row.jp/_ct/17557281

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