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【追悼】「ザナドゥ」「フィジカル」で永遠のゲイアイコンとなったオリビア・ニュートン=ジョン

2022年08月09日

 8月8日、オリビア・ニュートン=ジョンが家族に見守られながらなくなりました。73歳でした。彼女がいかにしてゲイアイコンとなったか、また、どのようにゲイコミュニティをサポートしてきたかをご紹介し、追悼といたします。
(今日はオリビア・ニュートン=ジョンだけでなく、三宅一生さんの訃報も届きました。何という日でしょう…) 
 
 1948年、英国のケンブリッジに生まれ、オーストラリアで育ったオリビア・ニュートン=ジョン。
 1974年のシングル「愛の告白 (I Honestly Love You)」が全米1位を獲得し、グラミー賞最優秀レコード賞と最優秀女性歌唱賞に輝きました。同年、ユーロビジョン・ソング・コンテストにUK代表として出場しましたが、ABBAに敗れました。1975年には「そよ風の誘惑」も大ヒットし、グラミー最優秀女性カントリー・ヴォーカル・パフォーマンス賞にノミネートされました。
 1978年、ミュージカル映画『グリース』でジョン・トラボルタと共演し、スターダムにのし上がりました。PinkNewsは、『グリース』のラストでオリビア演じるサンディが「良い子」のイメージを捨て、ピタッとした黒いパンツを履き、タバコを吸い、「自分自身のセクシュアリティを持つ女性」に変身したことで、ゲイアイコンとなったと評しています。世間の人たちが眉をひそめるような「bad」な自分を表出させること(ある意味カミングアウト)は、ゲイが通ってきた道とそっくりだと。

 1980年、オリビアはあのジーン・ケリーと共演し、ELOやクリフ・リチャードの楽曲をフィーチャーしたローラーディスコ映画『ザナドゥ』に出演しました。批評家の評価はさんざんで、あまりヒットもしませんでしたが、その「ザ・80年代」とも言うべきビカビカでキテレツでダサダサでトゥーマッチなテイストは、ある意味CAMPであり、ゲイ的には大ウケでした。主題歌の「ザナドゥ」は全英チャート1位を記録、今でも世界中のゲイクラブやディスコでかかっていると思います(二丁目にも以前「ザナドゥ」というDJバーがありましたね)


 そして、オリビア・ニュートン=ジョンのゲイアイコンとしての地位を決定的なものにしたのは、1981年にリリースしたシングル「フィジカル」のミュージックビデオでした。かつてはお嬢様的なイメージだったオリビアがトレードマークのロングヘアをバッサリ切り、レオタードを着て、というだけでも十分に衝撃的なのですが、お腹がたるみまくった男性たちが魔法のようにマッチョに生まれ変わり、しかし、彼らはオリビアには目もくれず、手に手を取ってロッカールームに消えて行く…という結末だったのです。オリビアは最後に、一人残ったぽっちゃり系のおじさんと手をつないで終わります。この「ジムでワークアウトに励んでるマッチョなイケメンはみんなゲイ」という真実を描いたビデオは、まさに伝説的な、ゲイ史に残る傑作MVとして語り継がれることになりました。

 
 1996年には、エイズ禍の時代のゲイに光を当てた映画『ラスト・パーティ』にも出演しています(日本未公開)。ゲイアーティストのニック(エリック・ロバーツ)が開いたパーティをめぐる作品で、エイズ患者が尊厳なしに死んでいく問題を世に訴えた最初の作品の一つだと言われています。この映画に出演したことで、彼女は「HIV/エイズについての世間の意識を高めることに貢献した」とゲイのファンに賞賛されました。
 
 オリビア・ニュートン=ジョンはそれだけでなく、プライドイベントにも出演し、ずっと同性婚を支持してきました。
 2008年には、満を持してシドニーのマルディグラのアフターパーティに出演し、ゲイやレズビアンのダンサーたちとともに「ザナドゥ」をパフォーマンスしています。
 2011年には、ニューヨーク州で同性婚が認められた翌日のニューヨーク・プライドに出演しています。その時のパフォーマンスについて『Advocate』誌で、「その日は、愛し合うカップルたちの喜びや興奮が電気のように空中を飛び交っているように感じました」と語っています。「婚姻の平等へのリスペクトを込めて。私は、互いに愛し合うカップルの結婚について、誰もそれをジャッジしたり否定したりする権利はないと信じています。愛は愛です。(ニューヨークで同性婚が)認められたことは素晴らしい。長い間リレーションシップを築き、互いに支えあってきた人々は、結婚する権利を認められるべきです」


 自分自身も(30年もの長きにわたって)乳がんと闘っていたのに、疲れ知らずのサポーターとして同性婚実現を応援してきたオリビア・ニュートン=ジョン。本当に素晴らしいアライの方でした。

 
参考記事:
6 times Olivia Newton-John was the ultimate gay icon: From Xanadu to defending LGBTQ+ rights(Pink News)
https://www.pinknews.co.uk/2022/08/09/olivia-newton-john-gay-icon-death/

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