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「Rakuten Fashion Week TOKYO」東京コレクションに同性結婚式を思わせる「マリエ」ルックが登場、オープンリー・ゲイの工藤司さんのブランド「KUDOS」「SODUK」のショー

2022年09月05日

 国内最大規模のファッションイベント「Rakuten Fashion Week TOKYO」が9月3日、全6日間の日程を終えて閉幕しました。そのメインイベントである「東京コレクション」では、オープンリー・ゲイのデザイナー、工藤司さんが男性どうしの結婚式を思わせる「マリエ」ルックのショーを展開し、ニュースになりました。

 工藤司さんはベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーに留学してファッションを学び、パリの職業訓練校でパターンを学びながらJACQUEMUS(ジャックムス)やY/PROJECT、JW ANDERSONのデザインチームで働き、帰国後、メンズを中心とした「クードス(KUDOS)」と、「KUDOS」を反転させた名前を付けたウィメンズブランド「スドーク(SODUK)」を立ち上げました。
 ブランドは、6色のレインボーカラーを用い、「LOVE」や「HOPE」の「O」が風船のように重なったデザインのTシャツによって認知度が高まりました(今年の東京レインボープライド2022のパレードに参加したカーラ・デルヴィーニュ「HOPE」のTシャツを着ていました)
 『VOGUE』のインタビューで、日本のジェンダー平等や性の多様性に関する課題について質問された工藤さんは、「同性婚がなかなか認められないことは非常に残念です。日本はBL(ボーイズラブ)など漫画や作品のカルチャーは人気が高く、同性愛を認めている傾向であるのに、法律上でのサポートが得られないことは不思議に思います。誰もが好きな人と結婚できる権利は、最低限のセーフティーネット。ただ同性婚の法制化を求めるための社会運動が起こっている一方で、当事者皆がセクシャリティをオープンにして、権利獲得のために立ち上がらなければいけないと言うのは、違和感があります。僕はゲイであることをオープンにしていますが、中にはカミングアウトせずに静かに暮らしたいという人も多くいます。当事者だから声をあげなきゃいけないという風潮はよくないと感じますね」と語っています。
 
 そんな工藤さんは今回、「Rakuten Fashion Week TOKYO」に初参加し、「KUDOS」と「SODUK」の2023年春夏コレクションをランウエイショーで披露、2ブランドをミックスし、50人のモデルを起用した60ルックで東コレの初舞台に臨みました。
 お客様にも「白い装いを取り入れたドレスアップをお願いします」とのお願いがあり、タイトルに「something better」「gay marriage」「be good」「you are just beautiful」「pink」「do i like him?」「yes i like him」など大量の英単語が羅列されたショーは、「袖や裾にクラッシュ加工が施されたホワイトのセットアップとビーズが垂れ下がったようなデザインのヘッドピース、至る所に花を挿した白のワンピース、後ろ身頃が極端に大きく布団を着ているように見えるトップスに白のワイドパンツ、首元にスパンコールがあしらわれたシースルードレスを着用した4人のメンズモデルがそれぞれペアを作り、歩く」まるで同性結婚式のような趣になりました。これはクラシックなファッションショーのラストに登場するウェディングコレクション「マリエ」を表現した演出で、あえてショーの順番を反転して「マリエ」を最初に登場させています。会場には感動で涙を流すゲストもいて、拍手喝采だったそうです。
 工藤さんは、「昔のショーってちょっと飽きるぐらいに長くて、最後にマリエ(ウエディングドレス)が出てくる。そこで、僕らしく同性婚のマリエを、しかもファーストルックでやろう、と思い立ち、冒頭のグループは白を基調にスタイリングを組みました。足もとは、コロナ禍で山登りを始めて買い集めるようになり、いずれコラボしたいと思っているサロモン(SALOMON)のスニーカーです。今の僕らだったらマリエにそういうものを合わせるかな、と。ステージを木で作ったのも、飾らないウエディングにしたかったからです」と語っっていました。
 ショーの中盤で披露されたリングが連なったベストも、マリエの表現なんだそう。「南京錠をかけると二人の愛が永遠のものとなる、と言われているパリの橋『ポンデザール』をイメージして、南京錠で繋がっているんです。マリエの新しい解釈です」

 ファッション界から届いたとても素敵なニュースでした。
 工藤司さんの今後の活躍にも期待しましょう。



参考記事:
クードスとスドークを手掛けるデザイナー工藤司に訊く、ファッションデザインとアイデンティティの大切さ。(VOGUE)
https://www.vogue.co.jp/fashion/article/kudos-soduk-tsukasa-kudo-interview

ファッション・ウィーク東京閉幕 同性婚への肯定メッセージも(毎日新聞)
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-1848517/
クードスとスドークが初のショー同時開催。2つのブランドが呼応するオプティミズム。【2023SS 東コレ】(VOGUE)
https://www.vogue.co.jp/fashion/article/2023ss-kudos-soduk
「クードス」「スドーク」の初舞台は王道のショーを再解釈 同性婚の実現を願うマリエルック(WWD)
https://www.wwdjapan.com/articles/1421845
クードスとスドークが初のランウェイショー、メンズモデルのマリエルックも登場(fashionsnap)
https://www.fashionsnap.com/article/kudps-soduk-show/

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