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【同性パートナーシップ証明制度】名古屋市は12月から、豊後高田市、勝山市は来年4月から導入の意向

2022年11月09日

 名古屋市が11月に「ファミリーシップ制度」を導入する方針とお伝えしていましたが、12月1日からになるそうです。11月14日から宣誓の予約を受け付けます。
 名古屋市の「ファミリーシップ制度」は、パートナーとして共同生活を送っているか、送ることを約束した二人が市に宣誓し、市が宣誓書受領証(パートナーシップ・ファミリーシップ証明書)を発行するものです。名古屋市では、成年に達している、少なくとも一方が市内在住か転入を予定している、宣誓者どうしが婚姻していないなどの要件を設けました。希望すれば、生計を同一にする子の名前も宣誓書受領証に記載し、家族関係を証明できます。
 市は制度の趣旨を「さまざまな事情で婚姻や養子縁組制度を利用できない方々の生きづらさや困難の解消を図る」と説明、河村市長は「それぞれの人生を最大限に楽しみながらと言いますか、生きていくというのは固有の権利でございますので、それを応援するのは当たり前だということでございます」と話しています。
 遺産の相続権の保障など法的な効力はありませんが、家族として市営住宅に入居することや、医療機関で家族として病状説明を受けることもできるようになります。
 こちらにもまとめていますが、名古屋市では、2018年6月に河村市長が同性パートナーシップ証明制度の導入を検討する考えを示したものの、なかなか導入されませんでした。4年半が経って、ようやく実現を見ることになりました。名古屋のみなさん、おめでとうございます! 

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 沖縄県南城市が、パートナーシップ・ファミリーシップ制度の導入を前向きに検討するそうです。
 市議会の一般質問で瑞慶覧長風(ずけらんちょうふう)市議が、誰もが自分らしく生きられる南城市づくりというテーマで質問し、「パートナーシップ制度に合わせファミリーシップ制度も同時並行で導入に向けて市民への意識啓発や導入目的共有を行ない、制度設計を進めていきたい」という前向きな答弁を得たそうです(詳細はこちら
 沖縄県で制度導入を実現しているのは(意外にも)まだ那覇市と浦添市のみですので、南城市が3例目となりそうです。

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 大分県豊後高田市の人権擁護審議会(時枝博文会長)は10月28日、「パートナーシップ宣誓制度」の導入の承認を佐々木敏夫市長に答申しました。市は2023年4月の導入を目指し、8月に審議会に諮問していました。審議会はまた、制度を市の要綱で定めることも承認し、導入にあたって市民や事業所への啓発を行なうこと、導入後の行政サービスの拡充、すでに導入した自治体と相互利用協定を結び、転入先で新たに宣誓しなくてすむようにすることなども要望しました。
 答申を受け、佐々木市長は「あらゆる差別をなくすため、制度をしっかり拡充していきたい」と話しました。
 大分県では臼杵市、竹田市、豊後大野市の3市が制度を導入済みで、豊後高田市で実現すると4例目となります。

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 福井県勝山市は、来年4月に「パートナーシップ宣誓制度」を導入することを発表しました。「多くの夫婦と同等の権利を得られるような制度設計を目指していく」とのことです(実際は法的な効力はないので、同等の権利は得られないのですが、市としてできることをできる限り実現していくという意向だと受け取れます)

 北陸三県では、2020年までは制度導入の動きがありませんでしたが、2021年7月に金沢市で導入されたのを嚆矢として、石川県では3市が導入済みで、福井県でも越前市が導入、勝山市が続きそうです。富山県も県と富山市が導入を検討しています。 
 2015年に学術研究グループが実施した大規模な意識調査では、北陸地方が全国でも最も同性愛嫌悪が顕著な地域であったことが浮き彫りになっていましたが、地元のLGBTQ+Allyコミュニティのみなさんの活動のおかげもあって(金沢ではプライドパレードも開催されて)、このように支援的な方向に変わってきたのだと思います。きっと、他の地方のコミュニティの方々をも勇気づけることでしょうし、今後も素敵な動きが見られるのではないかと予感されます。

 一方、富山市では、市議会自民党会派が1月に開いた勉強会に旧統一教会関連団体関係者(「国際勝共連合」で婦人問題を担当していた女性)を講師として招き、「危機に立つ結婚と家庭のあり方―同性パートナーシップ制度問題を考える―」と題した講演は「同性愛は心理的障害」「家庭崩壊や性道徳の退廃が原因となって、性自認が混乱したり、同性愛に依存するケースも少なくない」「同性カップルの子育ては悪影響がある」「制度のニーズは高くない」「同性パートナーシップ制度の拡大に歯止めをかけましょう!」などと説く内容であったことが明らかになっています…。富山市に限らず、旧統一教会が地方政治にも接近し、LGBTQ施策に歯止めをかけてきたケースについて、今後もっと真相が明らかにされ、きちんと追及されることを望みます。


参考記事:
20の政令市の中で18番目…性的少数者の『ファミリーシップ制度』名古屋市が12月からスタートへ(東海テレビ)
https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20221107_22952
多様な「家族」 名古屋市公認 ファミリーシップ(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221108/ddl/k23/040/147000c
名古屋市が家族認定制度を導入 12月から、性的少数者ら支援(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/577999

「パートナーシップ制度導入を」 豊後高田市、審議会が答申(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221108/ddl/k44/040/334000c

夫婦と同等の権利付与へ 勝山市が「パートナーシップ制度」23年春導入(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/578558
パートナーシップ宣誓制度、北陸でも導入相次ぐ(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC0440W0U2A101C2000000/

富山市議会 自民系2会派“旧統一教会と関係” 調査結果公表(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20221020/3060011676.html
富山市議会が旧統一教会との関係発表(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQBN76KMQBNPISC00M.html
「同性婚反対」地方にも旧統一教会の影 市長選支援、市議と勉強会(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221105/k00/00m/040/079000c

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