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「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京地裁判決、結論としては「合憲」ですが、同性カップルが家族になる法制度がない現状は「同性愛者への重大な脅威、侵害であり、憲法24条の2項に違反する状態にある(違憲である)」と言及されました

2022年11月30日

 11月30日午後1時半頃、東京地裁には傍聴を希望する方たちが300人くらい集まり、長蛇の列を成していました。
 運よく傍聴することが叶い、満席の第103号法廷に。静けさのなか、原告や弁護団の方たちが座っていて、多くの人々が同性婚実現への願いを胸にそれを見守っている姿に感涙しました。会場に、願いや思いが満ちていました。誰も一言も発しないのに、ただそこに人々が集まっているというだけで泣けるということがあるのだなと実感しました。
 池原桃子裁判長ら3人の裁判官が出廷し、写真撮影の時間の後、おもむろに判決文が読まれました(判決の要旨はこちら、全文はこちらに掲載されています)
 判決は、前半は大阪地裁判決と似て、男女が子を産み育てるという伝統云々とか、社会通念云々といった言葉で、憲法24条、14条には違反しない(合憲である)とされたため、みなさんが落胆するため息が聞こえるようでしたが、後半、子育てもしていてすでに実質的に男女と異ならないような社会生活を送っている同性カップルが家族になる法制度がない現状は「同性愛者への重大な脅威、侵害であり、24条2項※に反する(違憲状態にある)」として、国会は(それが結婚かパートナー法かは議論するとして)同性カップルを家族と認めるような法制度を作らなくてはいけないといった趣旨のことが述べられました。違憲状態にあるというところで、会場の方たちが色めき立つ様子がうかがえました。
 判決が読み上げられると、すぐに閉廷となりました。廊下で弁護団の方などが、判決の解釈をめぐって話し合っているのが見えました。

※日本国憲法第24条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
(2)配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 裁判所の外には、マスメディアの大量のカメラや、レインボーフラッグやプラカードを持ったLGBTQ+Allyの方たちなどが大勢…200人くらい待っていて、判決の行方を見守っていました。
 しばらくして、原告と弁護団のみなさんが登場し、「違憲状態」という旗出しを行ない、一斉にフラッシュが焚かれ、弁護団の代表の寺原さんが、どういう判決だったかを簡潔に伝え、また、原告の方も一言ずつコメントしていました。
 原告と弁護団のみなさんが移動する際は、多くの方が「おつかれさまでした」「ありがとう」と言って拍手を送っていました。
 
 その後、17時からは、城山トラストタワーで記者会見と判決報告会が行なわれました。
 記者会見では、弁護団の声明が読み上げられ、原告の方々のコメントが語られ、寺原弁護士が判決についての補充説明を行ないました。寺原さんが「同性間の人的結合関係を保護することは社会全般の安定に資すると言っている。これは札幌地裁も言ってないこと。よく性的マイノリティが生きやすい社会はすべての人にとって、と言われるが、まさしくそのことを言っている」と評価していたのが印象的でした。
 判決報告会では、二次訴訟の原告の方々や、地方の原告の方のコメント、さらに、石川大我参議院議員、大阪の弁護団の方、長年ともに暮らしてきたレズビアンカップルの方など、様々な方が語りました。そのなかで、日弁連でLGBTQのことに携わっている本多弁護士が「判決文を読むと、法制度が存在しない状態が『違憲状態』であるという文章であり、状態について違憲だと言ったのであって、『違憲状態』が『違憲』よりも弱いというように割り引いて考える必要はないと私は考える」と言う場面があり、最後の東京弁護団の中川弁護士のまとめのスピーチでも「本多さんの考えは正しい、違反するとはっきりと書いてある」と述べられました。中川弁護士はさらに「今日の判決、ぜひ喜んでください。間違いなく歴史に残る判決です。みんなの力で勝ち取った歴史的な判決です」と熱く語っていて、勇気づけられました。
 のちほど詳しくレポートします。

 いろんな方が語っていましたが、今回の画期的な部分もある大きな前進を見た判決は、これまでの、先人たちやみなさんの少しずつの頑張りの積み重ねのおかげで、なされたものでした。まずはそのことを喜び、祝いましょう。
 そして、ここまで、3年9ヶ月にわたって裁判を闘ってきた原告や弁護団のみなさんに、心から感謝申し上げます。
 

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