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バイデン大統領の署名によって「結婚尊重法」が成立、米国全土で婚姻の権利が守られました

2022年12月14日

 米上院が同性婚保障法案を可決、成立する見通しにとのニュースでお伝えしていたように、11月29日、同性婚の権利を連邦レベルで保障する「結婚尊重法」が上院で採択されました。12月8日には下院で再び採択され、13日、バイデン大統領が署名し、めでたく成立しました。これにより、結婚は男女間のものと限定した連邦法が無効となり、各州に対しては、同性婚や異人種間結婚を含め、州外の結婚証明書の有効性を尊重することが義務づけられます。

 バイデン氏はホワイトハウスの署名式で「愛は愛、権利は権利、正義は正義、というのが米国の基本的な理念だ」「結婚は単純な問題だ。誰を愛し、その愛する人に対して誠実でいられるか。この法律は、誰もが政府の干渉を受けずにこの質問に答える権利を持つべきだと認めるものだ」と語りました。さらに、「結婚できても、同性愛者であることを理由にレストランを追い出されれば、それは間違っている」と指摘し、職場や公共の場、学校などでのLGBTQ差別を禁止する「イクオリティ・アクト(平等法)」の実現を議会に訴えました。
 また、式典ではシンディ・ローパーが「米国人は今、愛する人を愛せる。同性愛者や彼らの子どもたちが将来のことを心配しなくて済むようにしてくれた人々に感謝したい」と祝福の言葉を寄せたあと、LGBTQ支援のアンセムとして数十年にわたって歌い続けてきた「トゥルー・カラーズ」を披露し、感動を誘いました。サム・スミスも「ステイ・ウィズ・ミー」を披露したそうです(「This ain't love, it's clear to see(これは愛じゃないってはっきりわかっている」という歌詞を「This is love, it's clear to see(これが愛だっていうことははっきりわかっている)」と変えて、結婚の権利が守られたことを祝福したそうです)
 そして「結婚尊重法」が成立したことを祝し、この夜、ホワイトハウスがレインボーカラーにライトアップされました。


 今回の「結婚尊重法」が制定されることになったのは、2015年に最高裁判決で米国全土での婚姻平等が達成されたものの、今年6月に(トランプ政権下で保守派の判事が多数送り込まれた)最高裁が、人工妊娠中絶の権利を覆す衝撃的な判決を下したあと、次は同性婚だと名指しで述べられたことから、婚姻の権利の後退を危惧したバイデン政権が急いで成立させたものです。その際、長年同性婚(婚姻平等)に反対してきた共和党も、上院で12人、下院では39人の議員が法案賛成に回りました。法案を共同提案した共和党のポートマン上院議員は、息子がゲイであることをカミングアウトしたのをきっかけに2013年に同性婚支持に転じていました。
 
 マサチューセッツ州が米国で初めて同性婚を認めた2004年には、世論調査で同性婚を支持する人たちが31%、反対がほぼ倍の60%という状況でしたが、いま現在、米国民の7割が同性婚を支持するようになっています。
 朝日新聞の記事によると、米国でも最も古いLGBTQ権利擁護団体の一つである「ラムダ・リーガル」のジェニファー・パイザー氏は、このように社会が変化してきた理由について、「同性婚に反対する人たちは『家族制度の崩壊につながる』『子どもが危険にさらされる』と主張した。しかし、実際に同性婚が実現すると、その主張がいかに荒唐無稽かが示された」「同性婚を認めることはむしろ、同性愛者に法的保護や社会的な安定を与えることにつながった」と述べています。パイザー氏はまた、米国で同性婚に反対を明言する政治家が減ったことも大きいとしています。慎重な立場をとってきた共和党でも、現在は同性婚の権利を認めつつ、宗教的な信念に基づいて積極的には関与しない権利もある、といった立場を取る人が多いそうです。一方、かつて同性婚に向けられた「社会にとって脅威となる」といった言動は現在、トランスジェンダーの人々に向けられています。「同じような動きが、対象を変えて続いている」とパイザー氏は心配しています。


 

参考記事:
米 同性婚の権利を連邦レベルで保障する法律 大統領署名で成立(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221214/k10013922471000.html
米、同性婚擁護法が成立 バイデン大統領署名(共同通信)
https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/202212/0015889464.shtml
同性婚保護法が成立 大統領「愛と権利重要」(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022121400286
米国、同性婚の権利保護法が成立 バイデン氏が署名(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1408F0U2A211C2000000/
米国で同性婚の権利を守る法が成立 十数年で世論と政治が大きく変化(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQDG4STCQDGUHBI00H.html
シンディ・ローパーさんも歌って歓迎 米で同性婚保障法成立(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221214/k00/00m/030/031000c
米、同性婚の権利保護法が成立 バイデン大統領署名(ロイター)
https://jp.reuters.com/article/usa-congress-marriage-biden-idJPKBN2SY00H
同性婚の権利を保護する法案、バイデン大統領の署名で成立 米国(CNN)
https://www.cnn.co.jp/usa/35197355.html
シンディ・ローパーさんも祝福 米で同性婚保護法成立(AFP)
https://www.afpbb.com/articles/-/3443268
シンディ・ローパー/サム・スミス、同性婚の権利保護法成立を記念してホワイトハウスで歌唱(Billboard)
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/119965/2
サム・スミス、同性婚を認める連邦法の成立を祝福「これが愛だってはっきりわかっていた」(ELLE)
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a42258658/sam-smith-cindy-lauper-same-sex-marriage-221216/

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