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インド最高裁が同性婚を認めるべきかどうかについて審理することになりました

2022年12月17日

　インド最高裁が11月25日、同性婚が認められるべきだと訴える同性カップルからの請願を受け取り、審理することになりました。インド最高裁は2018年、同性間の性行為を禁じる刑法（ソドミー法）を違憲だと判断し、LGBTコミュニティにとって大きな勝利となりました。もし最高裁が彼らの訴えを認めれば、インドがアジア第2の同性婚承認国となるため、国際社会も注目しているようです。
　
　
　英国の（世界最大級の）LGBTQメディア「PINK NEWS」によると、訴えを起こしたのはSupriyo ChakrabortyさんとAbhay Dangeさんのカップルで、請願は、この国の裁判所婚※の法の下で、結婚する権利がLGBTQの市民にも拡大されるべきだと訴えるものです。
　現在、インドは同性婚を認めていませんが、同性カップルにも一定の法的な権利を認める「Unregistered cohabitation（未登録の共同生活）」という事実婚のような権利が承認されていますが、それは、同性カップルには、結婚したカップルのような養子縁組などの権利は与えられないことを意味します。
　お二人は、最高裁は裁判所婚によって異宗教間のカップルの結婚する権利を保護しているのであるから、それをLGBTQにも拡大するべきだと、また、結婚は個人の自由と経済的なことに関わることを含意するものであるから、LGBTQをそのような法的な権利から排除するのは、平等の権利への侮辱を意味すると主張しています。
　この裁判の議長を務める最高裁のD.Y.Chandrachud主判事は、政府に婚姻平等に関する態度を示すための4週間の猶予を与えました。

※裁判所婚：インドにおける婚姻には、裁判所で行なうSpecial Marriage Act（裁判所婚）とヒンズー教に則ったHindu Marriage Act（宗教婚）の2種類があります。1954年に成立した裁判所婚は、異教徒どうしまたはヒンズー教徒と異教徒の結婚を制度化したものです。

　請願はもう1つあり、それはParth Phiroze MehrotraさんとUday Rajさんから提出されました。LGBTQカップルを結婚できなくさせることは憲法14条と21条の侵害であると主張するものです。
　請願書には、「もし申立人たちが同性カップルとして結婚法の適用が認められたら、お互いや子どもたちに対する無数の実際的な困難に直面することがなくなるでしょう」「結婚という基本的な権利の否定は、完全に憲法に違反しています」と述べられています。

　Supriyo ChakrabortyさんとAbhay Dangeさんのカップルは、2021年に結婚式を挙げて国中の注目を集めました。テランガーナ州で初の同性結婚式と見られます。彼らの故郷であるハイデラバードでの挙式には二人の友人や家族が参列し、彼らが祝福するなか、二人は誓いの言葉を述べました。また、Twitterにもたくさんの祝福のコメントと、結婚が認められないことを嘆くコメントが寄せられました。


　同性愛に関するインドの歴史を概観すると、2006年にマンヴェンドラ・シン・ゴーヒル王子がゲイであることをカムアウトし、世界的にセンセーションを巻き起こしました（王家からは勘当されてしまいましたが、ゲイの人権擁護とHIV予防の活動を展開しました）。植民地時代から残っていたソドミー法（同性間の性交を違法とする法律）が2009年に最高裁判決で撤廃されたのを機に、初のゲイショップができ、ゲイ＆レズビアンの雑誌『Pink Pages』が創刊され、ゲイ専門の旅行会社もでき、にわかにシーンが盛り上がりました。しかし、2013年に再び最高裁判決でが同性間の性交が違法とされ、ムーブメントも下火に…それが覆され、再び合法化された（確定した）のは2018年のことです。
　2019年にはニュージャージー州に住むアミット・シャーさんとアディティア・マディラージュさんのカップルが伝統的なインド式の結婚式を挙げたことがSNS上で話題になりました（詳細はこちら）
　今年4月には国会議員のSupriya Sule議員によって同性婚法が提出されています。
　近年（インドネシアとは対照的に）急速に社会のLGBへの理解や支援が進んできています。（ちなみにトランスジェンダーに関しては、伝統的にヒジュラーと呼ばれる「第三の性」の人々が認知されていたこともあり、パスポートのサードジェンダー表記がすでに認められているほか、2014年に最高裁がトランスジェンダー差別を撤廃するよう国に求める判決を下しています）
　
　この勢いで最高裁がもし、異教徒との結婚の権利を保護する裁判所婚の精神をLGBTQにも拡大するべきだとの訴えを聞き入れ、同性カップルにも結婚の権利を認める判決を下し、婚姻平等が実現したら、アジア第2の同性婚承認国となります。そして（約14億の人口のうちの5％と見積もって）7千万人くらいの方たちが一気に結婚できるようになります（ウエディングとかホテルとかいろんな産業が活気づき、あちこちで祝宴が開かれ、景気がよくなりそうですね）。行方を見守りましょう。
　
　

参考記事：
Two same-sex couples seek recognition of same-sex marriage from India Supreme Court（PINK NEWS）
https://www.thepinknews.com/2022/11/25/same-sex-marriage-petition-india-supreme-court/?fbclid=IwAR1TGZXdZoPJw8eNEaZnSr76hD5SpzG4A4QnIu95m5ni0vZmuk--vOHfQrY


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