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【同性パートナーシップ証明制度】一関市が岩手県で初めて導入、北関東3県が連携協定を締結、その他の動きをお伝えします

2022年12月25日

 12月23日、岩手県一関市が「いちのせきパートナーシップ宣誓制度」を導入しました。当事者二人に限らず、生計が同じ親や子も家族と認められます。
 一関市は来年度から、宣誓したカップルが市営住宅に入居できるようにするほか、税務証明書の申請や交付手続きの簡略化も予定しています。 
 一関市は「盛岡市など同じような取組みを進める自治体とも連携を強め、性的マイノリティの人たちの悩みや生きづらさの軽減につながれば」としています。一関市いきがいづくり課・伊藤信子課長は、「性の多様性に関して市民に理解を深めてもらえればと考えている」と語りました。

 岩手県では、いわてレインボーマーチをはじめ、LGBTQへの理解や支援を求める動きが広がりを見せていますが、同性パートナーシップ証明制度を県内の自治体で導入したのは一関市が初めてです(盛岡市も来年5月までに導入する方針です)


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 群馬・栃木・茨城の3県は20日、「パートナーシップ宣誓制度」で連携協定を結びました。いずれかの県で制度を利用している人が他県に転出する際、簡単な手続きにより転出先でも制度を継続利用できるようになります。
 茨城県は2019年7月、群馬県は2020年12月、栃木県は今年9月に制度を導入し、いずれもパートナーシップ宣誓をすれば宣誓受領書(証明カード)が発行されるという制度です。
 今回の協定締結により、いずれかの県で宣誓済みの人は他県に転出しても申告するだけで新しいカードが交付され(これまではいったん証明カードを返納し、転居先の県で再び戸籍などに関する必要書類をそろえて申請する必要がありました)、また3県の協力医療機関でカードを相互利用できるようになり、県境をまたいでも病院で家族と認められることになります(これまで、群馬県の方が、栃木県在住のパートナーが緊急搬送された際、家族として病状を聞いたりすることができませんでしたが、今後は(協力医療機関であれば)できるようになります)

 茨城県は8月に佐賀県、11月に岡山県笠岡市、鹿児島県指宿市と同様の協定を結び、今回、栃木県・群馬県とも協定を結びましたが、大井川和彦知事は23日の定例記者会見で、さらに連携先を増やす意欲を表明しました。一方で「ここまでが自治体ができることの限界。宣誓制度が広がっていることが国に対する大きなメッセージ」と語り、国に制度整備を提言する考えを示しました。
 
 群馬県では大泉町、渋川市、安中市、千代田町、吉岡町も独自に制度を導入していますが、県はこれらの自治体との連携も進める考えで、年明けにも対応を始めるそうです。 

 なお、栃木県では11月5日、性の多様性に関するイベントにKABA.ちゃんが登壇し、県の「パートナーシップ宣誓制度」導入について「栃木すごいね。あたし好きになっちゃった。東京でも、やっとこないだですよ」と語り、120人以上の参加者から拍手が起きたそうです。(自身が担当したSMAPの曲「世界に一つだけの花」の振付けを教える一幕もあったそう。素敵ですね)
 宇都宮大学の公認サークル「LGBTs研究会 にじみや」に所属するシマさん(仮名)は、ノンバイナリーの方ですが、出身地の東北地方では性的少数者への理解は進んでいないと感じ、制度については「少しずつ浸透しており、地方でも必要だと思い始めているのだろう。周りの目もあり、最初はどうしても批判的な声も出るが、何年かすれば当たり前のことになるのでは。進めることが大事」と語ったそうです。
 日光市のパートナーシップ宣誓第1号となった奥山瑞明さんは、カナダ人のパートナーの方が配偶者ビザを手にすることができず、毎年ビザを更新しないといけないことに言及し、「一歩前進だが、将来は同性婚が法的に認められてほしい」と訴えました。
 
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 連携協定といえば、札幌市と苫小牧市が22日、「パートナーシップ宣誓制度」を利用する市民が両市間で転出入する際の手続きを簡略化する連携協定を結んだことを発表しました。来年1月4日から運用を始めます。札幌市の連携協定は北見市、江別市に続いて3例目です。(苫小牧市は北見市とも連携協定を結んでいます)
 
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 埼玉県白岡市が、2023年1月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を始めるそうです。同制度の導入は埼玉県内の市町村で39例目となります。

 県としての制度導入を求める声も以前から上がっていて(こちらの署名をご覧ください。来年1月17日に県に要望書と陳情を上げるそうです)、県議会が提案した「性の多様性を尊重した社会づくり条例」もパートナーシップ・ファミリーシップ制度など必要な施策の整備を県に求める内容になっていますが、大野元裕知事は11月の定例会見で「(家族制度をめぐる)法律や憲法に課題がある以上、実効的な取り組みにならない」と述べ、制度創設には後ろ向きです。レインボーさいたまの会の加藤代表は、自治体ごとに制度の保障内容や対象が違い、転出入により受けられる行政サービスが異なったり、適用外になったりする恐れがあると指摘し、「制度は導入して終わりではなく、自治体間の連携が重要。保障内容のばらつきを補うためにも、県が制度を導入する意義は大きい」と訴えています。
 
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 和歌山県那智勝浦町で「レインボーフェスタ那智勝浦」を開催している丸山都さんが12月20日、「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」の導入を求める1万1798人分の署名を町に提出しました。トランス男性である丸山さんは、「誰もが自分らしく生きていける社会になってほしい」「まずは自分が生まれ育った町から変えていけたら」と考え、活動を始めました。レインボーフェスタ那智勝浦実行委員会の仲間の方たちなどといっしょに11月から署名を集めていました。
 受け取った堀順一郎町長は「早急に関連の要項をつくることを約束する」と応えました。丸山さんは「予想外に多く集まり、協力に感謝している。町が制度導入に向けて動き、希望の光が見えた」と語りました。
 
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 2022年は1月1日の鹿児島市、所沢市などから始まり、100を優に超える自治体で制度が導入され、全国の導入自治体数は合計で242(人口カバー率は62%)に達しました(「みんなのパートナーシップ制度」より)。一関市はそのトリを飾る市になりました。
 来年も静岡県や富山県、長野県、盛岡市、長岡市などですでに導入が予定されています。
 大井川知事も語っているように、自治体でできることには限界があります。一日も早く同性婚が認められることを祈ります。一方、これまで制度を導入してきた自治体や、そのために尽力してきた方たちに感謝したい気持ちです。
 

 
参考記事:
県内初の「パートナーシップ制度」スタート 一関(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20221223/6040016376.html
【岩手県】「パートナーシップ制度」一関市が県内初導入(テレビ岩手ニュース)
https://news.tvi.jp/news1170ocurzcm7iwfbqcn.html
一関市が「パートナーシップ宣誓制度」施行 岩手県内初 東北の自治体で3番目(IBC岩手放送)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/250220
一関市で「パートナーシップ宣誓制度」導入 県内で初めて<岩手県>(岩手めんこいテレビ)
https://www.fnn.jp/articles/-/462868
パートナーシップ宣誓制度、きょう施行 一関市、県内で初の導入(岩手日報)
https://www.iwate-np.co.jp/article/2022/12/23/131665

北関東3県 パートナーシップ宣誓制度で連携協定(とちテレ)
https://news.livedoor.com/article/detail/23435125/
性的少数者のパートナーシップ制度、北関東3県が連携(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC231ES0T21C22A2000000/
性的少数者の「パートナー制度」 群馬・栃木・茨城の3県が連携へ(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQDR4DZCQDRUHNB005.html
北関東3県、パートナー制度で連携協定 国に整備を提言の考えも(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221223/k00/00m/010/208000c
【速報】パートナー宣誓制度 茨城県、栃木・群馬と連携協定(茨城新聞)
https://news.goo.ne.jp/amp/article/ibaraki/region/ibaraki-20221223123000.html
パートナーシップ宣誓制度 北関東3県が連携 群馬県としては初めて(上毛新聞〕
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/221022
パートナーシップ宣誓制度導入で一歩前進(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQDV7DHPQDPUUHB00H.html

札幌市と苫小牧市、パートナー制で連携協定 転出入を簡略化(北海道新聞)
https://nordot.app/978663041672691712?c=724086615123804160

パートナーシップ 白岡市1月から宣誓制度を導入(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221229/ddl/k11/010/073000c
 <回顧2022>パートナーシップ制度 埼玉県内で38市町導入も県は後ろ向き(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/221835?rct=saitama

性的少数者暮らしやすく 公的制度求め町へ署名提出 那智勝浦(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20221221/ddl/k30/040/272000c

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