g-lad xx

NEWS

『ハートストッパー』のキット・コナーが、映画やドラマでもっとバイセクシュアルの人物が描かれるべきだと語りました

2022年12月03日

 LGBTQの高校生のリアリティや喜びを描いた名作ドラマ『ハートストッパー』で、主役のチャーリーの好意を受け止めたラガーマンのニックを演じ、世界を熱狂させたキット・コナーが、映画やドラマでもっとバイセクシュアルの人物が描かれるべきだと語りました。
 
 
 英国の高校に通っている主人公のチャーリーは、華奢でなよなよしたわかりやすいタイプのゲイで、校内でカミングアウトもしているのですが、学年を超えたミックスの授業で、ラグビーをやってて男の子からも女の子からも人気な「スクールカースト上位」のスポーツマン、ニックと隣の席になり、意外にもニックはホモフォビアまるだしのイヤな奴ではなく、紳士的で優しい人だったので、チャーリーはニックに恋してしまいます…。報われそうにもないニックへの恋のことを友人たちやゲイの先生に相談するも、「絶対にうまくいかない」「ストレートに恋することがどんなにつらいか」とたしなめられ、あきらめかけるのですが、意外にもニックは、チャーリーに惹かれはじめていることに気づき、ネットで「ゲイ」というワードを検索したり、自身のセクシュアリティについての葛藤を経て、チャーリーの気持ちを受け止める…という、まさかの展開、夢のような青春ドラマとして世界を熱狂させた『ハートストッパー』。このニックを演じたことでキット・コナーは俳優として一躍有名になりますが、キット・コナー自身の性的指向についてネット上で様々に憶測が飛び交ったり、一部、ストレートのくせにゲイ役を演じて金儲けしやがって(「クィア・ベイティング」じゃないのか)的な言われ方もするようになり、キットはTwitterの更新をやめてしまいました。それに対してチャーリー役のジョーが、「質問をするのは自由ですが、だからといって、他人のプライベートをすべて知る権利が与えられるわけではないと思います。ドラマに出ているからといって、自分の人生をネットにばら撒かれることを望んでいるわけではありません」と苦言を呈したりもしたのですが、一部のファンによる詮索行為はやまず…。そして10月31日、キットはひさしぶりにTwitterを更新し、「一時的に戻ってきました。僕はバイです。18歳にカミングアウトを強要するとはなんとおめでたいことなんでしょう。ドラマの趣旨をちゃんと理解していない人がいるみたいですね。では」と投稿しました。
 無理やりカミングアウトさせられたかたちとなったキットに対し、『ハートストッパー』原作者のアリス・オズマンは、「『ハートストッパー』を見たにもかかわらず、嬉々として他人のセクシュアリティに関する憶測に明け暮れ、ステレオタイプで判断する人たちの気持ちが理解できません。その人たちが、今信じられないくらい(自分がしたことを)恥ずかしく思っていることを願います。キット、あなたは素晴らしいです」と語って応援し、同作でベンを演じるセバスチャン・クロフトも「キット・コナー、世界は君にふさわしくない。友よ、愛してる」とサポートを表明、ダーシーを演じるキジー・エッジェルも「キット、あなたのことを愛してる。あなたがものすごくツラい思いをしていることを申し訳なく思う。あなたは不当な扱いを受けている」と擁護しました。

 そんなキット・コナーが放送映画批評家協会賞のトークイベントに参加し、ドラマや映画でLGBTQコミュニティのキャラクターが描かれることがまだまだ少ないことが問題になっているが、そのなかでもバイセクシュアルの人々が描かれることは少ない、と語りました。
「バイセクシュアルのコミュニティは、ショッキングなほど少ないリプレゼンテーションしか得られていないと思います。特にバイセクシュアル男性のキャラクターは。LGBTQIA+コミュニティにおいてバイセクシュアルの人々は非常に多いので、それはショッキングです。巨大なコミュニティであるにもかかわらず、ドラマや映画に描かれることが少ないのです」
 また、(半ば無理やり、自分自身もバイセクシュアルであるというカミングアウトをさせられ、苦しい経験をしたものの)『ハートストッパー』という作品に出演したことについては、「(ニックの)旅や経験を描くことができたのは、本当に喜ばしいことでした」と語りました。
 
 カミングアウトの強制によって傷ついたり苦しい思いをしたであろうキットですが、『ハートストッパー』という名作においてニックという役がどれだけ素晴らしいかということの意義について肯定的に受け止めてくれていることは、多くのファンを安心させたことでしょう。そして、バイセクシュアル男性のリプレゼンテーションのことも、多くの人々が考えさせられることになったはずです。キット・コナーがこれからも、バイセクシュアル男性のロールモデルとして、いろいろ発信していってくれることを期待します。

 

参考記事:
『ハートストッパー』キット・コナー、現実にバイセクシャルは多いのに画面の中には登場しない(フロントロウ)
https://front-row.jp/_ct/17589185

『ハートストッパー』ニック役のキット・コナー、セクシュアリティを詮索されカミングアウトを余儀なくされる(フロントロウ )
https://front-row.jp/_ct/17581673
『ハートストッパー』キット・コナー、バイセクシャルであることを「無理やり」カミングアウトさせられた?(海外ドラマNAVI)
https://dramanavi.net/articles/185130
「HEARTSTOPPER」キット・コナー、性的指向のカミングアウトを無理やりさせられた!? 「18歳の僕にこんなことさせるなんて…」 ツイッターで世間に物申す(TVgroove)
https://www.tvgroove.com/?p=103270

INDEX

SCHEDULE

    記事はありません。