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2/14、差別禁止法を求める院内集会が緊急開催されます

2023年02月08日

 岸田首相は8日午前の衆院予算委員会で、荒井元首相秘書官の差別発言について「多様性を尊重し、包摂的な社会を実現する政府の方針について、国民に誤解を生じさせたことは誠に遺憾だ。不快な思いをさせてしまった方々におわび申し上げる」と述べました。
 この件が報道されるや、「誤解」じゃないでしょう、との声が多数、上がりました。
内田樹さん(神戸女学院大学名誉教授)「発言について「誤解を生じた」というのは謝罪でも釈明でもなく、単なる責任転嫁です。自分がほんとうに言いたいことを「自分が使い慣れない他人の言葉を借用して」表現したために、自分の真意が誤解されたということなのでしょうね」
清水潔さん(ジャーナリスト、日本テレビ報道局記者/特別解説委員)「本日8日午前の段階でも、まだ差別発言を「国民が誤解した」と言ってます。つまり国民がアホってこと?」
北丸雄二さん「誤解じゃないよ、理解だよ。なるほどそれが本音ね、という理解」
ラサール石井さん「誤解している人は1人もいません。国民すべて言葉通りに受け取りました」
 
 さらに、西田昌司政調会長代理が「差別禁止は分断生む」と発言した件についても、批判が噴出しています。
佐々木中さん(京都精華大学人文学部准教授)「「そもそも国民に人権があることがおかしい」と言い放った西田がまたぞろ支離滅裂なことを言っている。結局は差別したいだけ。自民はこんなのばかり」
松岡宗嗣さん「自民党幹部が「LGBT理解増進法案」を検討していることに対し、西田昌司議員「人権侵害など逆の問題が出てくる」と。むしろいま政府が性的マイノリティの人権を侵害しているような状況で、何を言っているのか。差別をなくしたくないという意思表示でしかない」
上川あやさん(世田谷区議)「18年、世田谷区がLGBT、民族、国籍差別を禁止する条例を議論した際も、自民は「周囲が委縮し、当事者がかえって孤立する」との珍説を披露。実際は当事者に安心が広がった以外に弊害を聞かない。またぞろ自民の妄想かと…」
青野慶久さん(サイボウズ社長)「差別を禁止したら、差別をしたい人との間に分断を生むのは当然です。差別をし続けたい人の理屈ですね」
想田和弘さん(映画作家)「思わず笑ってしまった。自分を差別主義者だと言っているようなものですよ、西田さん。たとえば黒人差別の歴史を見ても、差別が分断を生むのであって、差別禁止が分断を生んだわけではないでしょう。禁止されると困るのかな」
乙武洋匡さん「差別が禁止されると社会に分断が生まれるのだそうです。つまり、西田議員は「差別する人々の立場も尊重しよう」というお立場のようです。日本国憲法、ご存知ないのかな」とコメントするなど、非難轟々です。

 各方面からの批判は依然、続いています。
 谷口洋幸青山学院大学教授(国際人権法)は、「国内でも、人権教育・啓発推進法に基づき、性的少数者に対する理解を増進する施策は、既に20年にわたって実施されている。それでも、首相秘書官という公務員が差別的な発言をした。「理解増進」を進めるだけでは不十分だということが証明されたといえる。法整備は次の段階に入り、当事者が差別されたと感じた時に差別を救済できる制度を作るべきだ。首相は「多様性」や「包摂」という言葉を使う。だが、「社会が変わってしまう」という発言は、性的少数者を社会の中に入れるという考え方ではなく、今の社会制度を揺るがせない程度に、「かわいそうな人」として、枠組みの外に追加するという発想なのではないか。今の社会の枠組みがLGBTQの存在を想定せずに作られているのだから、同性カップルにも結婚を認めれば、社会は多様性を包摂する方向へと進む。差別的な発言を止めるためにも、市民社会が声を上げ続け、具体的な課題から法整備を進めることが重要だ」と語っています。

 小林節慶応大名誉教授は、「「個人の尊重」を中心価値とする日本国憲法(13条)の下では、先天的に同性婚を好む人々の幸福も、少数派ではあろうとも、異性婚と同様に同性婚も認める法制度として保障されるべきが筋である」「「社会」も、全ての「個人の尊厳」が確保されたより良い社会に進歩するだけである。だから、暴言を発した首相秘書官の更迭で済ますのではなく、同性婚の法制化を急ぐべきである」「首相が何をためらっているのか、不可解である。首相は単に非科学的な偏見を墨守しているようにしか見えない。誰も同性婚を強要しているのではなく、単に他者の同性婚を「放任」することを求めているだけである」とコメントしています。

 秋田魁新報の「社説:秘書官の差別発言 性的少数者の人権守れ」では、「田首相も同性婚の法制化には慎重で、性的少数者の権利保護への具体策は見えない。こうした姿勢は差別、偏見を助長、容認することにつながりかねない。首相には、性的少数者への理解増進を図る法の早期成立などに指導力を発揮し、真に多様性を尊重する社会づくりを進めることが求められる」「多様性尊重が見せかけでないなら、岸田首相は行動で示すべきだ」「性的少数者や同性婚に対する理解は進み、多様性を受け入れる方向で社会は既に変わりつつある。その中で国が不作為を続けることはあってはならない」と述べられています。

 福島民友新聞の「【2月8日付社説】秘書官の差別発言/首相自身の考えが問われる」では、「政府の掲げる「多様性を尊重した包摂的な社会の実現」は本来、さまざまな価値観を持つ人が共存できるよう「社会を変える」ことにほかなるまい」「性的少数者の権利を保障することや、同性婚を認めるよう求める声がある一方で、消極的な考えを持つ人も一定数いるのは事実だ。重要なのは、少数者の人権をどう守るかを理性的に議論する機運をつくっていくことだ」と述べられています。

 ラジオ関西が市民に意見を聞いたところによると、「学生時代の友人が、同性カップルとして(東京都内で)パートナーシップの宣誓をした。かつては差別に苦しんだ時期もあったようだが、今は幸せに暮らしている。世代の違いで認識が異なるかも知れないが、国民レベルでは、LGBTQを受け入れる意識が高まっていると思う。政府の中枢を担う人物として世界の動きに逆行する発言だ」(神戸市30代男性)、「5月には岸田首相の出身地・広島でG7サミットもある。唯一、同性婚やLGBTQなどへの差別禁止を制度化していない国が日本だけとは残念だ」(高槻市60代女性)といった声が上がっていました。

 『ひみつのなっちゃん。』で急逝したドラァグクイーンの役を演じたカンニング竹山さんは、「そもそも同性婚が日本で認められていない意味がわからん!」と語りました。「僕は、LGBTQの人たちを受け入れないとか認めないとかっていうことの意味が全くわからない」「男性が男性と付き合おうが、女性が女性と付き合おうが、そして結婚しようが何がおかしいのかな?」「同性同士が結婚したところで何の不都合が生まれるの? 同性婚は社会の決まりの根幹がおかしくなるとかいうけど、本当におかしくなるのか?」「根幹が揺らぐといったときに、同性だと子どもを生み育てないということかとも考えるけど、うちみたいに子どものいない夫婦もいる。それは一緒じゃないかと思う」「世界的に見れば、先進国では同性婚が認められているところもある。それは、力で抑え込む政治をしてないからですよね」「抑え込まない政治というのは、個々を尊重するわけだから、同性婚にしたって認めていかなければならないのではないかと思う」「LGBTQの人たちが結婚しても、僕らに何か迷惑がかかるか!? 男性と女性の結婚と同様に、幸せしか生まないと思うんですよ」「僕の職場である芸能界は男性が好きな男性も比較的多くいるように思いますが、これまで嫌な思いをしたことも、困ったことも、トラブルになったこともない」「国民ひとりひとりが幸せな生活を営むべきだし、LGBTQのみなさんだって国民だよ。どんな形であれ幸せが生まれることに対して国はバックアップしていかなければならないと思う」「何度もいうけけど、同性婚が認められない意味がわかんない。「同性婚されるとこのように困るんです」って、明確なダメな理由があるんなら説明して! G7の中で同性婚を認めていないのが日本だけっていうのもなんなの!? 同性婚を認めると何かが変わってしまうの? 何が問題なのか教えてくれ!」
 ちょっと感動的ですらある、力強く、素晴らしいコメントでした。拍手!

 
 そんななか、LGBT理解増進法ではなく差別禁止法を求める院内集会が2月14日に緊急開催されることがアナウンスされました。
 6日、LGBT理解増進法の成立に向けて前向きに取り組む旨の報道がありましたが、荒井秘書官だけでなく、これまで(杉田議員や簗議員をはじめ)政権与党の議員から幾度となく差別発言がなされている状況、人権保障のための法律が整備されていない状況に鑑みると、必要なのは差別禁止法です、G7の中で差別禁止法を持たないのは日本だけ、度重なる差別問題は差別禁止法がないことの帰結でもあり、必要なのは「理解を深めること」ではなく「差別がない社会を構築する」ことだと確認すべく、集会を開催します、との趣旨です。YouTubeLiveでの生配信もありますので、遠方の方などもぜひ、ご参加ください。大勢が参加することで、メディアもその熱気を伝え、世論形成や法整備に近づくことにもなると思います。
 
LGBTQ+緊急国会 〜理解ではなく差別の禁止を!〜
日時:2023年2月14日(火)17:30-19:30
会場:参議院議員会館1階講堂
※手話通訳(日本語)あり
集会の様子はYouTubeLiveでの配信を予定しています

 2月14日といえば、2019年2月14日に「結婚の自由をすべての人に」訴訟がスタートしてからまる4年を迎える日です。かつて、日本で同性婚が実現するなどということは夢のまた夢でしたが、この4年間でずいぶん社会が変わってきました。原告や弁護団、支援者の方々のおかげであり、私たち一人ひとりの働きかけのおかげでもあると思います。そのことを労い合い、称え合いながら、さらに法整備の実現を目指して連帯を深める日にもなるのではないでしょうか。
 
 
 

参考記事:
首相、改めて陳謝「国民に誤解生じさせた」 元秘書官差別発言(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230208/k00/00m/010/023000c
 
煮え切らないLGBT対応の影に身内の反発 識者がみる首相の発想法(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR286HGQR28UTFK019.html
ここがおかしい 小林節が斬る! 同性婚の法制化で「家族観」も「社会」も変わるものではない 正しい価値観が前進するだけ(日刊ゲンダイ)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/318371

社説:秘書官の差別発言 性的少数者の人権守れ(秋田魁新報)
https://www.sakigake.jp/news/article/20230208AK0009/
【2月8日付社説】秘書官の差別発言/首相自身の考えが問われる(福島民友新聞)
https://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20230208-756953.php

首相秘書官のLGBTQ差別発言「国民感覚との“ずれ”」「オフレコなら何でもありか」「G7前にスタンス決めて」関西でも意見さまざま(ラジオ関西)
https://jocr.jp/raditopi/2023/02/07/483264/

カンニング竹山 荒井秘書官LGBTQ差別発言で考えた「同性婚のどこが悪いの?」(AERA dot.)
https://dot.asahi.com/dot/2023020700059.html

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