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「不当な差別はあってはならない」と修正した与党案について、公明は「法の趣旨が変わらないなら検討も否定しない」、立民は「変える必要はない。差別の意味を狭めるなら大問題」と表明しました

2023年05月09日

 昨日、LGBT理解増進法案をめぐる自民党内での合同会議で、「性自認を理由とする差別は許されない」を「性同一性を理由とする不当な差別はあってはならない」に修正する案が示されたものの、「差別」を明記することに反対する意見が相次ぎ、継続審議となったこと(詳細はこちら)を受けて、公明党の山口代表は、法の趣旨が変わらない範囲で、文言を検討することは否定しないとの考えを示し、サミットまでに合意を示すことが議長国である日本の立場として望ましいと重ねて強調しました。
 一方、立憲民主党の岡田克也幹事長は2021年の与野党合意の内容に触れ、「変える必要はない。差別の意味を狭めるならば大きな問題だ」と述べました。同党の泉健太代表は党会合で「自民党がぐずぐず言っている状況が続いている。超党派の議員連盟でまとめた法案を通すことを主張していきたい」「早く結論を出して取り組まなければサミットにも間に合わなくなり、世界からより遅れてしまうことを大変危惧している」と訴えました。また、立憲民主党の幹部は、「後退していて受け入れられないと思う。“何かやってる感”の見せかけの法案だ」と批判しました。
 国民民主党の玉木代表は「骨抜きになっていないのか、チェックする必要がある」と慎重な姿勢を示しました。
 
 自民党は10日に改めて合同会議を開催し、「性同一性」の定義などについて協議し、12日にも再度会議を開いて法案を最終決定し、来週に公明党とすり合わせをした上で与党案を国会提出したい考えだと報じられています。
 TBSの報道によると、自民党の閣僚経験者は、「最悪の場合、サミット前に政府も国会も『法案成立』に努力しているというのが内外に見えれば、ギリギリ合格点かな」と語ったそうです。
 
 この状況について松岡宗嗣さんは、「骨抜き法案をさらに後退、Gender Identity概念を歪曲し、「フリさえ示せば良い」という議長国。合格もなにもG7参加資格すらない状況では」とコメントしています。
 ほかにも、Twitter上では、「意味を持つのは、国として、社会としての差別の解消が期待される法整備です。後退に後退を重ねて法案成立に取り組んでいる、その姿勢を見せればよい、という現状のどこが合格なのでしょうか。何もしていないよりも悪いと思います」「こんな小細工は国際社会には通用せず、日本の信頼を損なうことになるでしょう」といった声が上がっています。

 TBSの報道番組「Nスタ」では、なぜLGBT理解増進法案をG7広島サミット前に成立させるべきなのか、について解説していました。ホラン千秋さんの「G7各国の対応を見ますと、日本だけが法的に認められていない状況ですよね」とのコメントに対し、松田丈志さんは「性的少数派の皆さんの権利や、平等性を保っていくことは、やっていかなきゃいけないことだと思います」「遅れてるのは間違いないので、少しでも早く、この法案が通って性的マイノリティの皆さんも過ごしやすい状態が日本で作れるといいなと思います」とコメントしていました。さらにホランさんは「国民レベルでは認めてもいいのではないか、と賛成派の方が大半を占めるデータもたくさんあるわけです。けれども保守派の皆さんは、「差別はあってはならない」というところ、“不当な”と付けないと安心できないというのが、日本の政治の現状なのかなと感じます。そもそも“不当”も“正当”も差別にはなくて、その中で、どうしても付けなければいけないというところで「日本って、まだそこなんだな」と思ってしまいますよね」と語りました。日比麻音子キャスターは、「何よりも当事者の方々の声をしっかり聞けているのかどうかが重要だと思います。G7における“ただのアピールポイント”にはしてほしくないと思います」とコメントしました。
 その後、カナダの取組み(世界で4番目に同性婚を認めたこと、出生証明書やパスポートの性別表記でM/Fのほかに第三の性(X)を認めていること、プライドパレードにトルドー首相も参加していることなど)も紹介されていて、意欲的な姿勢が感じられました。
 さらに、性的マイノリティの人権問題に詳しい青山学院大学法学部の谷口洋幸教授が「海外でも長年議論を続けた結果、LGBTの理解が進んだ。日本もG7までと期限をつけず議論を続けていくことが大切」とコメントし、ホランさんが「G7サミット前に理解を示す」と山口代表の話がありましたが、仮に成立しなかったとしても、G7が終わってしまったので、この議論が下火になってしまうことだけは避けたいですよね」とコメントしました。
  

参考記事:
“LGBT法案 G7広島サミット前の成立望ましい” 公明 山口代表(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230509/k10014061441000.html
立民 泉代表 “LGBT法案 サミットまでに成立させるべき”(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230509/k10014061711000.html
“LGBT”議員立法「差別は許されない」文言扱い議論続く 自民(NHK政治マガジン)
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/98944.html
「性自認」→「性同一性」に差し替え 「差別は許されない」→「不当な差別はあってはならない」に LGBT理解増進法案で“保守派へ配慮”の自民修正案に各党評価分かれ(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/475285
「LGBT法案」保守派配慮の自民修正案に公明「否定すべきでない」 野党反発「見せかけの法案」 “サミット前に提出”意見も(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/476503
LGBT法案G7サミット前の成立は実現する?“先進国”カナダではパスポートにジェンダーXの選択欄も【Nスタ解説】(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/477028
自民“LGBT法案”調整難航 G7前成立「厳しい」の声も(FNN)
https://www.fnn.jp/articles/-/525463
公明、修正案検討否定せず LGBT法趣旨不変なら(共同通信)
https://nordot.app/1028500310673752064
立民、LGBT自民修正案を批判 「差別の意味狭まる」(共同通信)
https://nordot.app/1028619472535241089?c=39550187727945729
LGBT法案、「与党案」を国会提出で調整 自民党内からは異論も(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230509/k00/00m/010/212000c
LGBT法案、G7前に提出 「差別」文言、自民が修正案(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15631458.html

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