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【同性パートナーシップ証明制度】北海道美瑛町、岩手県宮古市、群馬県玉村町、神奈川県秦野市伊勢原市、福井県、岐阜県、山口市が導入へ

2023年06月14日

 戸籍上同性のカップルなどを結婚に相当する関係であると公的に認める同性パートナーシップ証明制度は、先月末時点で全国278の自治体で導入されています。今月も様々な動きがありましたので、地域順にお伝えします。

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 北海道上川管内の美瑛町が、同性パートナーシップ証明制度を2024年にも導入する方針を明らかにしました。
 12日に開会した定例町議会の町政執行方針で角和町長は「互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいと誇りを持つことができるまちの実現へ、制度の導入を新たに検討する」と述べました。町総務課によると、7~9月に町自治基本条例に基づくまちづくり委員会を開催し、パブリックコメント(意見公募)も実施します。
 道内で制度を導入しているのは札幌や函館など8市で、町村では初めてだそうです。
  
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 岩手県宮古市が早ければ今年9月に同性パートナーシップ証明制度を導入する方針を示しました。
 宮古市の山本市長は5月31日に開かれた市議会の一般質問に答え、「先行して制度を導入している自治体から聞き取りなどをしながら制度構築の検討を進めている。審議会やパブリックコメントなどで市民の意見を聞きながら今年9月をめどに制度を創設したいと考えている」と述べました。
 宮古市によると、制度の導入は昨年12月から検討していたということで、先行して制度導入を決めた一関市と盛岡市の担当者に電話で聞き取りをするなど情報収集も行ないました。今後、速やかに市の審議会で議論を進め、制度の要綱を策定したいとしています。
 岩手県では、昨年12月に一関市で、今年5月には盛岡市で制度が導入されています。

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 群馬県玉村町は2日、来年4月に「パートナーシップ宣誓制度」の導入を目指していることを明らかにしました。石川真男町長が同日の町議会での一般質問に答えたものです。町企画課によると、今後、役場内の担当者らでつくる人権対策連絡会議で体制づくりや事務手続きなどに取り組みます。石川町長は、「制度を導入することで、婚姻という異性どうしと同じ権利が認められない方々への心の支えになれば」と述べています。
 群馬県では、県のほか大泉町、渋川市、安中市、千代田町、吉岡町の2市3町が独自の制度を設けています。

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 茨城県龍ケ崎市は、若者の新婚生活を応援する補助事業「U29新婚生活スタート応援補助金」を始めます。経済的負担の軽減や定住促進に結びつけるねらいです。県の「いばらきパートナーシップ宣誓制度」の宣誓者や外国人も対象に含めるそうです。補助の対象となるのは今年1月1日以降に婚姻した夫婦(カップル)で、婚姻時にいずれかが30歳未満であること、申請日までにそろって3ヵ月以上市内に居住していることなどが条件です。萩原勇市長は記者会見で、人口減少と少子化を念頭に「若者への支援が必要だ。持続可能なまちづくりのため、引き続きさまざまな角度からサポートしたい」と述べました。

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 神奈川県秦野市が7月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入します。宣誓日の予約は6月5日から受け付けています(詳細は市のホームページをご参照ください)

 同じく神奈川県の伊勢原市も7月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入します(詳細は市のホームページをご参照ください)

 神奈川県では全33市町村のうち、これで32市町村で制度が導入されることになり、残った真鶴町でも検討が進んでいます(5月の町議会で議論されています)。もうすぐ、香川県と同様、全市町村での導入がコンプリートしそうです。

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 今年3月、多様な性に関する県民の理解を深めるための条例と併せて県としての制度導入を目指すと発表していた石川県で、5月16日に制度創設に向けた有識者会議が始まり、「(事実婚カップルなど)みんなが使える制度がいいのでは」「(LGBTQに対する)都市との理解度のギャップに苦しむ人もいる。日本最新のものがあれば」などの意見が出ました。超党派LGBT議連の会長も務めた馳浩知事は「たとえば外国籍の人とのカップルであれば、ビザの問題も出てくる。こういった課題について、国に突きつけることも考えたい」と語りました。一方、24日の県議会総務企画県民委員会では、委員から慎重な声が相次いだといいます。委員の一人である福村章県議(自民)は取材に対し、「他の分野でも、普通は県が議員に勉強会を開いたり何度も情報共有したりする。県民全体の周知のために、県が広報を出したり、各地に出向いたりして勉強会を開いてもいい。なぜこの話題だけ、こんなに急ぐのか」と述べました。馳知事は26日の記者会見で、県議らの反応について問われ、「様々な意見があるならば、丁寧に足踏みすることも大事ですし、説明に回ることも必要ですし、県民とのコミュニケーションの中で対応したい。一方的に私の意見を押しつけることはない」と語り、関連議案の提出時期が当初予定から遅れる可能性も示唆しました。
 
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 福井県が「パートナーシップ宣誓制度」の導入を検討していることが9日、明らかになりました。昨年6月に杉本達治知事は県議会で、当事者と話し合いの場を持って「何とかしないといけないと感じた」「制度導入で社会の理解が深まる」と述べ、当事者や支援団体などの話を聞いて調査・研究していくとの方針を示していましたが、今回、制度導入に向けて検討が始まったことが報じられたかたちです。
 福井県では越前市、勝山市、鯖江市、あわら市で制度が導入されています。県としての制度導入が実現すれば、上記の石川県も近く導入予定ですから、北陸三県すべてで制度導入が達成されることになります。2015年の全国意識調査では、北陸が「近所の人が同性愛だったら嫌悪感を抱く」と答えた人の割合が全国で最も高い地域でしたが、この数年で大きく変わりました。富山、石川、福井の当事者や支援団体の方たちの働きかけのおかげだと言えるでしょう。素晴らしいことです。

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 2020年に古田肇知事が制度導入を検討すると表明していながら、その後、動きが見えなかった岐阜県が「パートナーシップ宣誓制度」の案を明らかにしました。
 13日に開かれた県の「多様な性に関する懇話会」の中で岐阜県が明らかにしたものです。制度の対象は、双方が成人の性的マイノリティカップルや事実婚のカップルで、少なくとも一方は県内在住か転入予定であることなどが条件で、お二人がパートナーシップを宣誓すると県が「受領証」(証明書)を交付、受領証があれば公営住宅への入居や、医療機関での手術の同意などが可能になることを想定しています。申請はオンラインでも可能にするそうです。県は、すでに制度を導入する自治体との間で差異がないよう連携を促し、民間の不動産業者や医師会などの団体にも制度への協力を求めていくとしています。会合のなかで委員からは、保守的な地域性のため制度を利用すると住みづらくなる場合もあるので、”絵に描いた餅”にならないよう、地域で性的マイノリティについての理解を進めてほしいといった意見が出されていました。
 県は、制度の案をさらに検討したうえでパブリックコメントを実施し、導入を進める意向です。
 「多様な性に関する懇話会」の座長を務める中京大学教養教育研究院の風間孝教授は、「岐阜県が性の多様性を肯定する姿勢を示す意味で大変意義がある。県民に理解が広がる取組みをさらに進めることが重要だ」と語りました。
 岐阜県内では関市と海津市ですでに制度を導入しています。 

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 愛知県長久手市は今月から、「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入しました。お二人揃って市役所の「たつせがある課」に出向き、宣誓を行なうと、宣誓受領証(証明書)を交付されます。交付された方は、市役所などでの申請を一部、パートナーが代行できるようになったり、市営墓地の使用権を継承できたり、また学校の保護者面談や市主催の育児教室などにパートナーも参加できるようになります。
 愛知県内ではすでに約3割の自治体で制度の導入がなされているそうです。

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 京都府大山崎町が6月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。
 お二人がパートナーシップ宣誓をすると、宣誓受領証(パートナーシップ証明書)を交付するもので、この証明書があれば、犯罪被害者等見舞金の支給、災害見舞金の給付を受けられるようになります。

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 鳥取県知事は6月1日の記者会見で、「多様な性を認め合う社会づくりに向けた検討」として、県としての制度導入について「本県では事実婚の異性カップルについては法律婚の婚姻届を出した人と同様に扱っていて、同性カップルについてもそういう処遇をしようというふうに切り替えています」「県営住宅の入居だとか、職員の扶養手当とか、いろんなところですでにそうした差別をやめているということで、パートナーシップ宣言してなくても扱ってしまうという直截なやり方をしている」と述べました。また、窓口で対面で手続きすることにハードルを感じる当事者のことを想定し、他の地域で行なわれているような、パートナーシップ宣誓をして証明カードを交付するというかたちではなく、「例えば届出をしていただくことで、どっかで役所として持っておくと、それで、もし証明が必要ならそれを使ってもいいですよっていうのをつくる」「そういう、もう少し地域の風土にあったような使いやすいやり方というのもあるのではないか、そういうものを事実婚同様のサービス提供と組み合わせていくことによって、鳥取型の「誰もが多様性というものを尊重されて暮らしやすい社会」をつくっていけないか、そんなイメージを今、持っております」と述べました。
 鳥取県では、同性パートナーシップを宣誓したり登録したりして役所から証明書を発行してもらうという制度のかたちではない、新しい制度が実現するのかもしれません。注目していきましょう。
  
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 山口市が「パートナーシップ宣誓制度」を導入する方針を明らかにしました。「あらゆる人が自分らしく活躍できる共生社会の推進に向けて取り組みたい」との姿勢です。県内の自治体では宇部市に続いて2例目となります。伊藤市長は12日の市議会で「先進市である宇部市と情報共有を図りながら具体的な内容や時期を決める」と述べ、制度の導入に向けた動きが進む見通しです。
 山口市では今年のGWに初のプライドパレードが開催されていました。
 
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 最後に、東京新聞の「異性の事実婚にも「パートナーシップ制度」対象拡大の動き 背景に選択的夫婦別姓 東京都内は遅れ気味?」という記事をご紹介します。
 全国の自治体の同性パートナーシップ証明制度で、異性の事実婚夫婦も対象に含める動きが広がっていて、選択的夫婦別姓実現までの「一時しのぎ」として利用する事実婚夫婦も少なくありませんが、東京都内は都など対象外とする自治体が多く、都内の当事者からは「都も対象を広げてほしい」という声が上がっているということです。
 生来の姓の変更を望まず、会社員の夫と事実婚で長男を育てる東京都葛飾区の団体職員女性は「性別を問わずパートナーシップ制度を利用できれば」と語ります。賃貸住宅が手狭となり、住宅購入を検討中ですが、住民票の続柄に「妻(未届)」と記しているものの、不動産業者に薦められた銀行ではペアローンは組めないと言われたそうです。市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の調べでは、都内で同性パートナーシップ証明制度がある22自治体のうち、事実婚も含めているのは武蔵野、国立の両市と墨田区のみです。前出の女性は「民間保険の手続き書類には、パートナーシップ証明書交付者は家族と認めるという記述があった。対象が広がると助かる」と話しています。2年前、都内で最初に異性カップルを対象に含めた国立市では、利用した23組の約半数が異性カップルで、「住民票とは別に、持ち運べるカードがあるのがいい」などの声が寄せられているといいます。2022年の内閣府男女共同参画白書によると、事実婚の割合は推定2〜3%で、人口換算では200万〜300万人。全国陳情アクション事務局長の井田奈穂さんも「法制度が未整備のなか、都も事実婚夫婦に対象を拡大してほしい」と話しています。
 ただし、自治体の制度によるパートナー関係の証明は法的効力がないため、配偶者の相続権がないほか、不妊治療や保険手続きを認められない可能性があり、あくまで「対症療法」にすぎません。働く女性が増えるなか、別姓夫婦を法的に認める「選択的夫婦別姓」の導入を求める声も高まっています。5月中旬、選択的夫婦別姓・全国陳情アクションが開いた超党派議員向けの勉強会で、日本経済団体連合会ソーシャル・コミュニケーション本部統括主幹の大山みこさんは「国内でも多くの人が困っている。ぜひスピード感を持って対応してもらいたい」と話しました。勉強会で登壇した米国やスイスで働く国連職員ら女性7人は、旧姓の通称使用が海外では通用せず、旧姓時の業績がアピールできないため「むしろ昇進やキャリアの足を引っ張っている」「即戦力として採用されても、事務手続きで数ヵ月間もめる」と、旧姓併記の弊害を報告、世界標準である選択的夫婦別姓の早期導入を求めました。
 


参考記事:
性的少数者パートナーシップ制度 美瑛町が24年度にも導入へ(北海道新聞)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/860356/

山本宮古市長 パートナーシップ制度 9月にも導入の方針示す(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20230605/6040017886.html
パートナーシップ9月にも導入 宮古市(河北新報)
https://kahoku.news/articles/20230531khn000058.html

パートナーシップ制度、来春導入を目指す 群馬・玉村町(上毛新聞)
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/293692
 
若者の新婚生活応援 茨城・龍ケ崎市補助、最大10万円 負担軽減や定住促進狙う(茨城新聞クロスアイ)
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16862234179588

性的少数者らへのパートナーシップ「なぜ急ぐ」 石川で創設に壁(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASR504QY3R5KPISC004.html

福井県が「パートナーシップ宣誓制度」の導入検討 性的少数者への県民理解促進(福井新聞)
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1803216

県が「パートナーシップ制度」導入へ制度案を明らかに(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20230613/3080011456.html
同性・事実婚カップル「パートナー」証交付検討、岐阜県 公営住宅や手術同意などで提示(岐阜新聞)
https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/244195
パートナーシップ制度導入に向け要綱案 県が公表(中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/709120

パートナー制度、長久手市が導入(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20230614/ddl/k23/040/136000c

「パートナーシップ宣誓制度」山口市が導入へ(テレビ山口)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tys/540119
山口市が「パートナーシップ宣誓制度」の導入にむけ、前向きに検討(山口放送)
https://kry.co.jp/news/news102zj1wq6cqsmzh2uuj.html

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