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性的マイノリティ男性をトイレ個室におびき出して現金を脅し取った男女4人が恐喝容疑で逮捕されました

2024年07月05日

 7月5日の読売新聞の報道によると、性的マイノリティ男性を誘い出して現金を脅し取ったとして、奈良県警高田署は4日、葛城市の会社員の男など男女4人を恐喝容疑で逮捕しました。4人とも容疑を認めています(うち3人はすでに起訴されているそうです)
 
  
 奈良県警の発表はこのようになっています。
「恐喝で男女4人を逮捕《高田署》
 共謀のうえ、1月31日、大阪市内の公園トイレにおびき出した被害者に因縁をつけ、「警察に言うぞ。職場に言うぞ。痴漢やったら示談金は50から100万くらいやぞ。」などと申し向け、被害者から現金25万9000円を脅し取ったとして、7月4日にかけて、男3人(20歳から21歳)及び女(20歳)をそれぞれ恐喝で通常逮捕しました」

 読売新聞がこの件について独自に掘り下げて取材したのでしょう、この被害者は性的マイノリティ男性(仮にAさんとします)で、犯人たちは、性的少数者が利用するサイト(ゲイ向けの出会い系掲示板などでしょう)に書き込んでAさんを公衆トイレの女性用の個室におびき出し、Aさんがそこに入ると、中で待っていた女性が大声を上げ、Aさんが驚いて外に出ると、待ち構えていた男性3人と女性でAさんを取り囲み、「警察に言うぞ。職場に言うぞ」などと脅し、示談金として25万9000円を払わせたという話です。
 犯人たちは6月にも同様の手口で逮捕されていて、主犯の葛城市の会社員の男の自宅を家宅捜査した際、Aさんに名前と住所を書かせた示談書が見つかり、発覚したということです。
 
 2000年2月に新木場でSさんというゲイの方が少年を含む男性たちに撲殺される事件がありました。主犯格の犯人は「金を巻き上げても相手はホモなので警察に被害届も出さないのでやりやすかった」「相手がホモなのでムカついていた」などと供述しており、ゲイを狙った暴行(ヘイトクライム)であることが明らかになっています(詳細はこちら
 今回の恐喝事件も、Aさんがゲイ(またはバイセクシュアル男性)であることと、出会い系掲示板を使ってトイレでハッテンしようとしていたことをネタに、警察に言うぞ、職場に言うぞと脅して金を巻き上げるというケースで、新木場事件と同様の悪質なヘイトクライムであると言えます。絶対に許せませんし、こうした悪質な犯罪が蔓延ることのないよう、厳しく取り締まっていただきたいものです。
 
 一方、もし出会い系掲示板などで今回のような、本当はゲイじゃないのに恐喝目的で嘘の情報を書き込んでおびき出すような犯罪に遭遇してしまったとしたら、どう対処すればよいのでしょうか。
 まず、基本的な法律の知識を持っておくことは有効です。
 恐喝とは相手を脅迫して恐れさせ、財産を出させることを言います。恐喝罪は10年以下の懲役に処されます。なお、脅迫とは「生命、身体、自由、名誉または財産に対して害悪を告知すること」ですが(脅迫だけでも「2年以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑」に処されます)、性生活に関する事柄は「特定の機微な個人情報」に該当し、個人情報のなかでもその取扱いにより厳しい制限が課されますので、性生活に関する事柄を持ち出して「職場にバラすぞ」などと脅して金品をせしめようとする行為は明らかに恐喝に該当します。すぐに警察に110番したり、被害届を出すことが重要です(警察はもちろんプライバシーを守りますので、職場などに伝わることはありません。警察でゲイに関する差別的なことを言われることも今はないと思いますし、もしあったとしてもそれはそれで然るべき機関に相談し、対処してもらえます。法律が味方してくれます)
 いざ、そういう犯罪に巻き込まれてしまったら動揺してしまうかもしれませんが、犯人は「職場にバレたら困るに違いない」と踏んで脅してきますから、「別にバレても平気」「言うなら言えばいい」と毅然と返すことは有効なはずです。仮にもし職場に伝わってしまったとしても「恐喝目的のやからに因縁をつけられた」「言いがかりだ」などと言って内容を否定するなどして乗り切れると思いますし、万が一ゲイであることやハッテン行為のことが事実だと見なされたとしてもそのことで会社が解雇したり職場での差別や噂話などを野放しにすることは法的に認められていない(パワハラ防止法でSOGIハラ=LGBTQ差別は禁じられています)ということをぜひ憶えておいてください。会社には相談窓口が設けられているはずですし、もしないとしても、各都道府県に設置されている総合労働相談コーナー(「性的指向・性自認に関連する労働問題も対象としています」と明記されています)に相談できます。
 時代は進み、社会は(法制度も)すでにゲイを守るようになっています。脅しに屈せず、毅然と立ち向かいましょう。
 
※なお、YouTubeを見てもノンケがハッテン場に潜入してみたとか公園のトイレでゲイを釣ってみたとかたくさんありますし、爆サイなどの掲示板でもハッテン場の情報が容易に検索されてしまう時代ですから、公園やトイレなどは、いつ悪意を持ったノンケたちにつけこまれるかわからない危険な場所だと覚悟したほうがよいでしょう。お住まいの地域によっては、近くで営業している有料ハッテン場(サウナやクルージングスポットなど)がない方もいらっしゃるでしょうが、今は9monstersなどのアプリも使えますし、できるだけ安全に出会いましょう。公園やトイレなどでのハッテンにはくれぐれもお気をつけください。
 
 
参考記事:
性的少数者の男性を公衆トイレ女性用個室に呼び出し、現金脅し取る…男女4人を恐喝容疑で逮捕(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240704-OYT1T50206/

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