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ツルバダのPrEP薬としての使用が承認されました

2024年08月29日

 ギリアド・サイエンシズは28日、厚生労働省がツルバダのPrEP薬としての使用を承認したと発表しました。国内で初めてのHIV感染症の予防薬となります。

【関連記事】
厚労省が製薬会社にPrEP薬を開発要請
https://gladxx.jp/news/2023/10/8997.html
ツルバダのPrEP利用の承認申請が行なわれました
https://gladxx.jp/news/2024/02/9255.html
 
 ツルバダは抗HIV薬(HIV感染症の治療薬)としてすでに承認されていますが、あらかじめ性交渉の前に服用することで(PrEP)予防投与としても効果が期待できるということで、海外でも10年以上前からPrEPに使用されてきました。
 厚労省は日本エイズ学会から予防薬としての使用を認めるよう要望を受けていて、昨年、ギリアド・サイエンシズに対して、開発要請をしていました。
 
 ギリアド・サイエンシズのプレスリリースによると、ツルバダのPrEPとしての適応は、2012年に米国で初めて承認され、2016年には欧州医薬品庁(EMA)、その後、中国、台湾、韓国を含むアジア諸国でも承認されました。そうした海外での使用経験から、PrEPを必要とする人々に対して高い予防効果が認められています。
 世界保健機関(WHO)も、安全な性行為の実践やコンドームの正しい使用に加え、包括的なHIV感染予防策の一環として、HIV感染のリスクが高い集団におけるPrEPを推奨しています。
 ギリアドのケネット・ブライスティングCEOは、「私たちの目標は、新規感染者をゼロにし、日本および世界でのHIV流行を終結させることです。HIVの流行終結には、効果的なPrEPの使用と普及が必要であり、ツルバダのPrEPとしての承認は重要なマイルストーンです。当社は引き続き、日本におけるHIV流行終結に向けて、規制当局や医療従事者、関係団体やコミュニティと連携してまいります」と述べています。
 ギリアド・サイエンシズは、2030年までのHIV流行の終結を目指す「HIV/AIDS GAP6」にも協力していますし、TRPやプライドハウス東京にも協賛しているアライ企業です。


 PrEPに関するオンラインセミナーなどにも度々出演している谷口俊文ドクター(千葉大学医学部附属病院)は、「保健所や検査イベントなど、HIV検査を行う場所でも「HIVを予防する薬、PrEP」のことを周知できるようになります。より多くの人にHIVを予防する手段があることを知って欲しいです」とコメントしています。
 
 なお、こちらの記事でもお伝えしたように、厚労省は予防投与については公的医療保険を適用しない方針で、ツルバダがPrEP薬として承認されても保険適用の対象にはならないそうです。保険が適用されなければ恐ろしく薬価が高くなり、ほとんどの人は自費で買うことが難しくなるだろうと予想されます。
 国立国際医療研究センター(東京)エイズ治療・研究開発センターの水島大輔治療開発室長は「感染リスクが高い人が確実に服用するには公費助成の仕組みも必要だ」と話しています。

 また、ベアクリニックさんもコメントしているように、これまではツルバダの海外ジェネリック医薬品の輸入が特別に認められていましたが、今後は国内規制に則り、輸入は認められなくなります(個人輸入については、税関での通関が困難になったり、海外サイトでの販売の停止が予想されるそうです)(ベアクリニックではデシコビおよびデシコビの海外ジェネリック医薬品を提供しているため、現時点では問題ないそうです)
 

参考記事:
HIV治療薬「ツルバダ」を予防薬としても承認 国内初のHIV予防薬に(TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1387931
抗HIV薬、感染予防で初承認 ギリアド社の「ツルバダ」(共同通信)
https://nordot.app/1201447225240780823?c=302675738515047521
ギリアド社の抗HIV薬「ツルバダ」、予防で国内初承認 「公知申請」で治験の一部省略(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20240828-SEHRLFCNYZKEXKDR4XFGP3L5OI/
ギリアド、HIV-1感染症の曝露前予防としてツルバダの日本での公知申請に基づく承認事項の一部変更承認取得(共同通信PRワイヤー)
https://kyodonewsprwire.jp/release/202408275444

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