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【署名のお願い】PrEPを安価に、安心して利用できるような仕組みづくりを求めます

2024年09月26日

 ようやくツルバダが薬事承認されましたが、予防目的では保険適用されないため、月に7〜8万円という高額な薬価になってしまうそうです。そのため、HIV予防や陽性者支援、性の健康を推進する活動を行なう団体が集まり、PrEPを安価に、安心して利用できるよう求める署名を立ち上げました。

 
 こちらのレポートでもお伝えしたように、PrEPは、性別やセクシュアリティにかかわらず、誰もが自身で主体的にコントロールしながら利用できるHIV予防法です(しかも、3ヵ月に一度の定期健診が伴うため、他のSTIの感染も発見しやすくなります)。WHOも推奨しており、2030年までのHIV流行終結を目指すうえで、PrEPの普及は必須と言えます。今回、ようやく薬事承認され、以前は公に認められていないからという理由でノータッチだったような病院やクリニック、保健所、検査所等でも、これからはパンフレットを置いたり、堂々と推奨できるようになりますし、全国的周知されていき、地方でもPrEPを扱うクリニックができたりして格差が縮まり、多くの人がPrEPを利用しやすくなるような環境が整う、そのベースができました。
 PrEP in Japanの調査によると、回答者の7割がPrEPでのHIV感染予防を希望していて、PrEP利用にあたって気になることとして9割超の人たちが費用面を挙げ、半分以上の人がPrEPに対して1ヵ月に払える金額として5000円未満と回答しています。しかし、保険適用されないことから、ツルバダは1錠約2500円、月に7〜8万円という高額な薬価になる見込みで、せっかく承認されたのに、このままだとPrEPを利用できるのは経済的に余裕のある一部の人に限られてしまうのではないかと懸念されます。

 そこで、HIV陽性者の支援や調査研究・発信などを行なってきたぷれいす東京の生島嗣さん、二丁目でコミュニティセンターを運営するほか、今年の日本エイズ学会で会長を務めるaktaの岩橋恒太さん、「PrEP@TOKYO」を運営したりPrEP利用者の手記集も発行しているカラフル@はーとの翁長祐太さん、ピルコンの染矢明日香さん、#なんでないのプロジェクトの福田和子さんは9月28日、SAPプロジェクト(Safe Access to PrEP)として「HIV感染を薬で予防する方法、PrEPを日本でも当たり前の選択肢に!」との署名を立ち上げました。
 
 SAPプロジェクトは「費用を理由に「HIVを予防したい」という気持ちをあきらめなくてすむように、そしてPrEPがもっと広く知られ、使いやすくなるように」、厚生労働省や製薬メーカーに対し、PrEPを必要とする人が確実にアクセスできる環境整備のため、以下の3点を要望しています。
 
1)PrEPへの安心・安全なアクセスを実現してください!
 PrEPを必要とする人は、日本国内にたくさんいます。一人でも多くの人に届けるために、PrEPに使用する薬の供給を安定させることを求めます。行政と製薬企業それぞれが、希望する人々が安全にPrEPにアクセスできる体制を整えてください。またPrEPとしてのツルバダの薬事承認により、ツルバダのジェネリック薬の国内での流通がなくなる見通しです。しかし価格の面から、国内で海外製のジェネリック薬が選べることも必要です。

2)経済的に厳しくても入手できる価格にしてください!
 月に5000円を負担するのが難しい人でもPrEPを安価に利用できるような制度を、行政と製薬企業が協力して構築してください。経済的な理由でPrEPという予防方法をあきらめることがないようにしてください。

3)医療従事者、支援者を含め、すべての人が正しいPrEPの知識を得られる啓発・情報発信をしてください
 医療従事者、支援者を含むすべての人に向けて、行政と製薬企業がそれぞれPrEPに関する情報の啓発を促進してください。医療機関等でのPrEPを必要とする人への処方や検査と見守りの機会を増やし、使用者への差別・偏見がないようにしてください。
 
 
 HIVは社会的に影響の大きい感染症であるため、PrEPの利用を考えている人々だけでなく、その性的パートナー、HIV陽性者や家族など周囲の人たち、医療や行政などたくさんの人に関わる社会的な課題です。PrEPによる恩恵を受ける人がこの日本にもたくさんいます。HIV感染を劇的に減らし、ゼロに近づけるという夢を、現実のものにしていくためにも、利用したい人がふつうに安心して利用できる仕組みづくりを求めていきましょう。
 みなさん、ご協力をよろしくお願いいたします。ゲイだけに限った話ではありませんので、周りの友人や同僚、ご家族などにもぜひ、勧めてください。

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