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人生いろいろ…メディアでフィーチャーされた多彩なゲイの方たち

2024年12月27日

 この半月ほどの間にいろんなゲイの方たちがメディアでフィーチャーされています。テレビ番組だったり、インタビュー記事だったり。著名なタレントさんだったり、二丁目のごく身近な方だったり。まとめてご紹介します。

 
 12月14日、週刊女性PRIMEに、多方面で活躍する(飛ぶ鳥を落とす勢いの)ドリアン・ロロブリジーダさんのこれまでの人生に迫るロング・インタビューが掲載されました。子どもの頃から「着飾って歌い踊ることが大好き」だったドリアンさんは、高校時代に近所のゲイの仲良しグループと知り合い、そのカラオケ大会で友人が派手なメイクと衣装で登場したことに衝撃を受け、「カッコいい!」と思ったことがドラァグクイーンの始まりで…といったお話から、ドラァグクイーンとしての活躍、パートナーのキラさんとの出会い、そして結婚という、これまでの人生を振り返る素敵なお話です。

 12月21日には文春オンラインに、1990年代からドラァグクイーンを始め、東京都公認大道芸人になったり、ドリアンさんらと一緒に八方不美人を結成したり、様々に活躍し、絶大な人気を博してきた(今年30周年を迎えた)エスムラルダさんのロング・インタビューが掲載されました。なぜエスムラルダさんが多くの人に愛され、人望篤く、ドラァグクイーン界の「仏」と呼ばれ、こんなに素敵な人生を送ることができているのか、その秘密や人となりがよくわかる、とても素晴らしい記事でした。(個人的には、私が担当編集をしていた『バディ』誌での連載の話が出てきたのもうれしかったです)
 
 12月23日には山梨放送で、本当に「仏」に仕えるメイクアップアーティストの西村宏堂さんの講演の模様が放送されました。ホールを埋め尽くす500人の聴衆を前に、西村さんは自身がゲイとして経験したり感じたことを交えながら「“自分は価値があるんだ”という心の中の炎を守りさえすれば、負けずに生きていけるのではないか」「パズルのピースのように今までいなかった人、今まで空いていた隙間に自分がピタッと入る。無かった形や色だからこそ、社会全体がより完成に近づいていって色鮮やかに力強くなっていくと思う」と語っていました。
 
 12月26日、二丁目のaktaで「認知症サポーター養成講座」を開いているNPO法人コラルト代表の「たいこん」さんこと山田泰輔さんへのインタビュー記事が集英社オンラインに掲載されました。たいこんさんは何十年も前からゲイのシェアハウスを運営したり、2010年の「gaysian games」の運営にも携わるなど、いろんなコミュニティ活動をしてきた方ですが、お母様が認知症に直面したことや、二丁目の周囲の方たち(老舗のゲイバーのママなど)の訃報に接するなかで、LGBTQ当事者の老後について考えるようになり、NPO法人を活用して自分たちに必要なしくみを「見える化」していきたいとして、今の活動を始めたんだそうです。
 
 同じ26日、テレビ朝日『今でも好きですか?』に大学生のゲイの方が出演し、高校時代からの親友にカムアウトする場面が放送され、「”普通”に生まれたかった」と涙をこらえながら語る彼に、親友が「いや、普通でしょ」と即答し、その反応にMCの庄司智春さんも「最高だね」とコメント、SNSでも「こういう世界であってほしい」といった反響が寄せられている、という記事が掲載されました。

 さらに、26日、先月亡くなった『94歳のゲイ』の長谷忠さんについて、2022年から取材を続けてきた久保玲さんが綴った記事が毎日新聞に掲載されました。長谷さんが1991年に「日本初、ゲイを描いた」として公開されたドキュメンタリー映画『らせんの素描』に出演し、「自分の心は女で、男に愛されたい」と語っていたことや(久保さんが取材でSOGIについて尋ねると、「生まれ変われるなら女性になりたい。でも100%女になりたいわけではない」と答えたそうです)、2018年に当時住んでいた東大阪市で、釜ケ崎で暮らす高齢者たちの紙芝居劇を観て「僕も入れてほしい」と伝え、釜ケ崎へ「人生の捨てどころとして引っ越してきた」こと、その劇団で「世間がおかまを笑ってる 世間がおかまをわるく言う 男がおかまをよけてゆく なんでおかまがわるいのよ からだいっぱいぶっつけて 世間の壁に体当たり」という歌詞の自作の歌「大阪おかま野郎」を女装して歌っていたことなどが語られていました。死後、自宅から「LGBT」と題が付けられた一編の詩が発見され、友達だったボーン・クロイドさんに宛てて「私のことを忘れないでね。年老いた私のことを……」というメッセージも書かれていたそうです。
 
 どれも本当に素敵な、心があったかくなるようなお話です。ぜひ読んでみてください。
 20年くらい前まではメディアに出られる方は本当にごくわずかでしたが、今はこうして、多くの方がゲイであることをオープンにしたうえで活躍したり、テレビに出たりしています(テレビや週刊誌も以前はゲイをバカにしたり色物扱いしてきましたが、今はこんなにフレンドリーです)。美輪さんやピーコさんが切り開いてきた道だと思います。(ピーコさんといえば、こちらのお話も素敵でしたね)
  
(文:後藤純一)
 
 
参考記事:
「中学生で“ゲイ”に出合った」いま注目のドラァグクイーンが語る男性との結婚と亡き母への想い(週刊女性PRIME)
https://www.jprime.jp/articles/-/34662

高学歴ドラァグクイーン・エスムラルダさんインタビュー(文春オンライン)
#1 https://bunshun.jp/articles/-/75384
#2 https://bunshun.jp/articles/-/75385
#3 https://bunshun.jp/articles/-/75386

「無かった形や色だからこそ…」LGBTQ僧侶が語る“自分らしく生きる”ヒントとは?(山梨放送)
https://news.ntv.co.jp/n/ybs/category/life/ysb04ff61a9adc48a3b9c5096f9c1998a0

孤独に不安を覚えるのは単身者だけではない LGBTQ当事者が新宿二丁目から発信し続ける「のんびりとした認め合いの関係」(集英社オンライン)
https://shueisha.online/articles/-/252467

「俺も普通に生まれたかった」 ゲイを告白された親友が“返した言葉”に庄司智春「最高」 視聴者も「泣いた」と反響(niftyニュース)
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12189-3688963/

私を忘れないで 95歳、ある性的少数者の死(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20241225/k00/00m/040/028000c

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