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暴行罪に問われたTransgenderJapan元共同代表の浅沼智也さんに無罪判決が言い渡されました

2025年01月16日

 青森県内に住む知人の女性に東京都内のホテルで抱きついたとして暴行罪に問われたTransgenderJapan元共同代表・浅沼智也さんの判決公判が16日、青森地裁で行なわれ、小沢光裁判官は無罪を言い渡しました。


 浅沼さんは2023年2月に都内のホテルの一室で青森県内に住む40代の知人の女性に背後から抱きついたとして、強制わいせつの疑いで昨年3月に青森県警に逮捕されました。その後、暴行罪に切り替えて起訴されました。
 判決は、検察側が証拠とした浅沼被告と知人女性とのメッセージのやりとりについて、「暴行の事実を推認させる力はかなり限定的で、証拠価値も乏しい」として、「知人女性の証言は不自然な点が多く、にわかには信用しがたい内容である」と指摘、「被告が暴行を加えたと認めるには合理的な疑いが残る」と判断しました。
 
 判決後、浅沼被告は記者団に対し、「罪が晴れてホッとしている。私を信じてくれた仲間に感謝している」「(警察官は)LGBTQへの知識に乏しく、人格を否定するような差別的な発言を受け、苦しい思いをした」「3ヵ月余り勾留され、ひどい思いをしてきたので、検察は控訴しないでほしい」と語りました。
 
 弁護側は判決について「密室の事件という難しさがあったが、浅沼さんがくじけずに闘い続けた結果だと考えている」と述べました。

 判決について青森地方検察庁は「判決内容を精査し、上級庁とも協議のうえ適切に対応したい」とコメントしています。


 一般社団法人TransgenderJapanは判決を受けて声明を出しました。
「弊団体は、浅沼の「性暴力」加害を組織的に隠蔽し被害者に二次被害を与えているとの事実に反する風評により、団体としての社会的評価を低下させられました。その影響は現在も続いています。この間の事実経過に対する弊団体の主張は『A氏および一部団体との問題に関する事実経過の報告』をはじめ、ホームページ上で公表したとおりです。今回の浅沼に対する判決は、一審判決ではありますが、そもそも「強制わいせつ罪」ではなく「暴行罪」で起訴されたことに加え、「背後から抱きついた暴行」があったとすら認定されなかったものです。つまり、TGJPおよび弊団体への非難の前提であった浅沼による「性暴力」加害の存在が認められなかったものと受け止めています」
 
 
 なお、裁判を傍聴していた「irOdori」代表の吉田彩夏さんは、「裁判官はメッセージのやりとり、被害を受ける経緯、被害状況、被害後の状況、告発の経緯における原告の主張とそれに対する考えを一つずつ説明した。すべてにおいて「しかしながら」と切り出し「信用しがたい」などと指摘した。例えば被害当日撮影された写真のホテルの部屋と原告の主張した部屋の間取りが異なることや、告発は暴行ではなく原告の団体と被告団体(TGJP)の対立が背景では、と」「もちろん私は暴力を全く許容できない。しかし、判決主文・理由を聞いた私は違和感を持たず、支持できると感じた」「この判決を受けまた賛否の声が出てきているが、私としては早く共に同じ方を向いてトランスジェンダーイシューの解決に尽力していってほしいと願うし、私も引き続き尽力していく」とXでコメントしています。

  
 

参考記事:
暴行罪に問われたトランスジェンダー団体元共同代表に無罪判決(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20250116/6080024632.html
「知人女性抱きつき」に無罪 人権擁護団体元共同代表(共同通信)
https://nordot.app/1252445624042618983?c=39550187727945729
性的少数者団体の元共同代表に無罪判決 暴行罪「合理的な疑い残る」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/AST1J2SMDT1JUBNB001M.html

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