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エイズ予防指針改正案で、HIV陽性者の診療や介護拒否は偏見・差別に当たると明記されることになりました

2025年08月07日

 厚生労働省は7日、HIV陽性者やエイズ患者に対する診療や介護サービスの提供拒否は「偏見・差別」にあたると明記したエイズ予防指針の改正案を専門家部会に示しました。患者らの差別解消につなげる狙いです。部会は指針の改正案を大筋で了承し、今後パブリックコメント(意見公募)にかけて広く市民の意見を募ったうえで2025年度中に予防指針を告示公開する予定です。


 1999年4月、それ以前の差別的だったエイズ予防法が廃止され、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下感染症法)が施行され、エイズ予防に関する指針も告示されました(このとき初めてゲイ・バイセクシュアル男性が「個別施策層」として定義され、現在に至るコミュニティセンターなどでのHIV予防啓発の法的根拠ができました)。それ以降、エイズ予防指針はだいたい5年に一度、見直しが行なわれており、いま現在、4回目の、2025年度中の改正に向けた審議が進んでいます。

 今日読売新聞で報道されたのは、長く治療をしていて高齢になったHIV陽性者も増えているなか、医療機関や介護施設で受入れを拒まれるケースが問題視されていることから、その改善に向け、指針案に「医療・介護従事者らによる診療やサービス提供の拒否は、偏見・差別にあたる」と明記されることになったということでした。また、昨年の新規HIV感染報告数のうちエイズを発症してわかった方が33.6%を占めたことに鑑み、早期診断・治療につなげるための検査体制の強化も盛り込まれるそうです。

【追記】2025.8.12
 『日経メディカル』によると、今回のエイズ予防指針改正案のポイントとして厚労省は、(1)HIV・エイズ対策における基本的人権のさらなる尊重、(2)個別施策層のHIV感染症に関わる実態把握などの継続・強化、(3)複合的な対策による予防、検査・相談体制の強化、(4)長期療養を見据えた医療体制の整備の4点を挙げています。例えば(3)ではPrEPの有用性や、早期診断に向けた検査機会確保のための保健所による外部委託や郵送検査の活用などについて記載するそうです。
 エイズ予防指針と並んで見直しに向けた議論が行なわれている性感染症予防指針に関しては、性的接触があれば誰でも感染リスクがあることを前提に、特別な配慮を必要とするそれぞれの層に配慮した施策が重点的に盛り込まれました。具体的には(1)指針の対象者の拡大とハイリスク層の設定、(2)実態把握などの継続・強化、(3)予防、感染拡大防止の強化、(4)医療体制の充実がポイントとして挙げられています。学校・社会教育における関係機関との間の連携の強化が必要であることなども明記されます。
 これら改正案に対して、大きな異論は出ませんでしたが、介護従事者や歯科の領域だけでなく、ごみ収集などで体液に触れる可能性のある職種などへも幅広く啓発する必要があるのではないか、という意見や、性風俗産業に従事する女性と利用する男性で梅毒の報告数が多いとの分析に対して画一的だとの批判的な意見が上がったそうです。
 
 
 6月のHIVコラムでもお伝えしたように、長年HIV/エイズについて報道してきたジャーナリストの宮田一雄さんが、5月に開催されたエイズ予防指針に関する小委員会を傍聴し、こちらにレポートしてくださっています。人権尊重ということや、HIV陽性者やLGBTQへの差別をなくすことが重視されているのは素晴らしいのですが、一方でトランスジェンダーなどが個別施策層に指定されていないという問題もあることがわかりました。宮田さんは結びで「行政側はこれまで個別施策層を対策のパートナーとしては遇しておらず、そのことが、指針を見直すたびに「記載は間違っていなかったが、結果として絵に描いた餅に終わった」という反省につながっていました。そうした反省に終止符を打てる(あるいはその契機となる)指針の策定と運用を期待したいと思います」とコメントしています。

 


参考記事:
エイズ患者の診療や介護拒否は「偏見・差別」と明記…厚労省が予防指針改正へ(読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20250807-OYT1T50188/

エイズと性感染症、予防指針を改正へ 年度内に告示(MEDIFAX)
https://mf.jiho.jp/article/261367

エイズ・性感染症予防指針の改正案が感染症部会で了承(日経メディカル)
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/hotnews/int/202508/589844.html

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