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『ダンシング・クィア』で芥川也寸志サントリー作曲賞を受賞した向井航さんの新作『クィーン』が上演されます

2025年08月13日

 一昨年、『ダンシング・クィア オーケストラのための』で第33回芥川也寸志サントリー作曲賞を受賞した向井航さんの新作『クィーン』〜ユーフォニアム、エレキギター、女声アンサンブルと大オーケストラのための(オルガン付き)が8月30日に初演されます。

 
 向井航さんの『ダンシング・クィア オーケストラのための』はクィア・アクティビズムやフロリダ銃乱射事件をテーマとした作品で、スピーカー(語り手)が椎名林檎さんのライブのようにメガホンを持ってしゃべるパフォーマンスが含まれていたり、Ballroomカルチャーへのオマージュが捧げられたりしています。「既存の作品とは異なる提示に作曲家の生き様が現われ、そのアクチュアリティのある表現が高く評価された」として第33回芥川也寸志サントリー作曲賞を受賞しました。芥川也寸志サントリー作曲賞(旧名「芥川作曲賞」)は、ちょうど文学界における芥川賞のように、日本の現代音楽の作曲家にとって登竜門となっている賞です。
 同賞には賞金だけでなく、新しいオーケストラ作品が委嘱されるという特典があり、受賞から2年後の「芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会」で初演されることになっています。それが今月30日に開催される第35回芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会で、向井さんの『クィーン』ユーフォニアム、エレキギター、女声アンサンブルと大オーケストラのための(オルガン付き)という新作が初演されることになりました。
 
 CINRAの記事「坂東祐大、山根明季子……いま、現代音楽が面白い。アニメやクィアもテーマにする気鋭作曲家たちを紹介」によると、向井さんは『ダンシング・クィア』での受賞と同じ2023年に『ドラァグの身体』と題した個展を開いていて、そこではドラァグクイーンが出演するオペラ『NOMORI』を上演し、自らもドラァグクイーンとなって舞台に登場したそうです。さらに2024年6月には、同作を拡張させたオペラ『The Mirror of Nomori』をウィーンで上演しています。
 
 向井さんは新作『クィーン』〜ユーフォニアム、エレキギター、女声アンサンブルと大オーケストラのための(オルガン付き)について、こう語っています。
「パンクカルチャーから派生したサブカルチャーに「クィアコア」というムーブメントがある。1980年代半ばアメリカにて始まった社会/文化的運動で、クィアなパンクス達が、己の権利のため、そして、あらゆる差別に反対するため、声を上げた。前作の『ダンシング・クィア』でもクィアのために戦う様々な人々の声を取り上げたが、今作『クィーン』では声を、よりパンクに、そしてよりクィアに扱おうと考えた。もう一つのテーマには、ヘンツェやルーセルを始め、多くの作曲家が扱ったギリシャ神話『バッコス』を選んだ。バッコスの信女に見立てた女声アンサンブルが、クィアでパンクな饗宴をシアトリカルに、この日限りでサントリーホールに出現させる。」

 サントリーの公式サイトによると、この女声アンサンブルを担う歌い手の一人が個々・マユミ・歌楽寿さんという、女装ソプラノとして声楽におけるジェンダー概念に囚われない自由な表現を追求している方です。
 
 『クィーン』の初演(かつ、この日限りの上演)は、いろんな意味でクィアで素敵な演奏になりそうです。
 興味のある方は、足を運んでみてください。


第35回芥川也寸志サントリー作曲賞選考演奏会
日時:8月30日(土)15:00開演(14:20開場) 
会場:サントリーホール 大ホール

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