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コミュニティセンター「haco」の方にインタビュー

福岡の住吉(ゲイバーがたくさんある街)にあるコミュニティセンター「haco」。福岡県のHIV予防啓発の拠点として、情報を提供したり、展覧会やイベントを開催したり、さまざまな活動を展開してきました。「haco」の運営に携わっているLove Act Fukuoka(LAF)の方にお話をお聞きしました。

コミュニティセンター「haco」の方にインタビュー


「haco」の情報はこちら
2014年11月に初開催された福岡レインボーパレード。参加された方は、会場に「haco」のブースがあったり、たいへんインパクトのある作品が展示されていたりしたのをご覧になったかと思います。「haco」は福岡の住吉(ゲイバーがたくさんある街)にあるコミュニティセンターで、福岡県のHIV予防啓発の拠点として、情報を提供したり、展覧会やイベントを開催したり、さまざまな活動を展開してきました。そんな「haco」にパレードの前夜、おじゃましてみました。土曜の夜ということもあり、たくさんの人が出たり入ったり、和気あいあいとした雰囲気で、あったかいなあと思いました。「haco」を運営するLove Act Fukuoka(LAF)の牧園さん(トップ写真右)にお話を聞いてみました。(聞き手:後藤純一)






−−「haco」設立の経緯からお聞きしたいのですが、もともとLove Act Fukuoka(LAF)はゲイナイトを開催したり、コンドームを配ったりしてたんですよね?

牧園さん:そうですね。2002年頃から「Colors」というイベントをやって、フリーペーパーやコンドームを配りはじめました。

−−「haco」ができたのは2007年でしたっけ?

牧園さん:はい。その前の年に、市川先生※からセンターを作らないかというお話をいただいて。いったん断ると次はないだろうということで、侃々諤々してたんですが、私ともう1人、フリーな立場の人間がいたので、じゃあやろうと。

−−昼間サラリーマンをやっている方がコミュニティセンターの運営にあたるのは大変。フリーランスな方が必要だったんですね。

牧園さん:それと、表に顔を出せるかどうかという話もあって。やっぱり抵抗がある人も多いんです。そういう意味でも、私ともう1人は大丈夫でした。そこからバタバタと準備をはじめ、けっこうタイトでしたが、2007年の7月にオープンしました。

−−その後、展示をやったり、パンフレットを作ったり。福岡のHIV予防の拠点として。

牧園さん:そうですね。

−−コミュニティセンターができたことによって、住吉の方たちの意識が変わったりとか、反応みたいなところはどうですか?

牧園さん:はっきりとしたことが言えるわけではないんですが、1階にあるので、話題にはなりましたね。イベントやっていっぱい来てもらおうとしてたので、「イベントスペースでしょ」みたいな反応もあって。可視化はされたかな、と思います。

−−認知が進んできた。

牧園さん:HIVのことが可視化されたのは間違いないと思います。ここから出たときにバッタリ知り合いに会って「HIVなの?」って言われた人もいるそうです。いろんな認識をされている。コミュニティの何かを変えたかというのは、わからないですけど。

−−いろんな方が来られますよね。待ち合わせに使ったり。

牧園さん:見る人によって、いろんな捉え方をされてると思います。さっきも電話で相談があったり。ここで、もう1人のスタッフを紹介したいと思います。灰来人(ハイライト)っていうんですが、彼は陽性者で、感染がわかってからここに来るようになりました。

灰来人さん:最初は、ここで陽性者のケアもやってるのかな、と思って、訪ねてきました。その時はそこまで手が回ってなくて、主に予防啓発として情報発信をするということだったんですけど、自分がステイタスを開示しても特別扱いされないので、居心地がよくて。たまたまデザイン関係の仕事をしていたので、啓発資材の相談を受けたりして、いついてしまいました。

−−そうなんですね。東京だとぷれいす東京がHIV陽性者支援をしていたり、JaNP+がスピーカーとかアドボカシーの面で活躍していますね。福岡はどうなんでしょう?

牧園さん:ケアに関しては、団体はないんです。「人権と共生を考える エイズ・ワーカーズ・福岡」という団体が電話相談をやっていますが、陽性者どうしが顔を合わせてというようなことはやっていなかったと思います。

−−そこまでは。

牧園さん:この場所ではできない。

灰来人さん:私が入ったこともあって、そういうプログラムの要望も出てきて。予防というのは陽性者を外して考えるものではないだろうということで、陽性者の交流会を始めました。2年くらい前から、だいたい数ヶ月に1回のペースでやっています。

牧園さん:JaNP+の方に協力していただいたりしながら。珍しい例だと思います。予防から分化じゃないけど。

灰来人さん:わざわざ遠くから見える方もいらっしゃるんです。

−−陽性告知を受けて不安になる方も多いと思うので、そういうプログラムがあるといいですね。

牧園さん:カウンセラーではないので、最初の相談に関しては受けられない。地方ですから、顔をさらすということにも不安があって、もし関係のある人がいたらいやだな…と躊躇する方も多いんです。告知はある程度限定していて、来られる方も、いろんなことに折り合いがついて、自己肯定ができて、そのうえで、誰かとつながりたいと希望する方たちです。本当にケアが必要な方は、プロのカウンセラーにつなぎます。

−−なるほど。そういうなかで陽性者の手記集もできたり?

灰来人さん:実は手記集の方が先にできていたんですけどね。

牧園さん:これを作るってなったときに、手記をお願いして。ついでに灰来人にデザインもお願いした。

灰来人さん:そういうところからだんだん、いろんなものを作るようになって。 

牧園さん:まだまだ偏見も多いなかで、開示してるのも珍しいと思います。JaNP+さんみたいにメディアに出たりはできないけど。

−−話は変わりますが、もうすぐ世界エイズデーということで、検査情報のパンフを作られたんですね?(写真右)


牧園さん:お金がないので、大きなイベントは特にしないんですが、福岡県および福岡市と連携して、毎年共同で作成しています。

−−ドラァグクイーンの方が登場して、親しみやすいテイストになってますね。

牧園さん:中身は、保健所の方に全面的に協力していただいて、取材をしっかりやって。モデルはパレードの実行委員の子。いい形で巻き込めたかな、と。カメラマンは実はノンケさんで、Webで呼びかけたら来てくれたんです。いろんな交流の基点として機能している。

灰来人さん:自分たちだけだと足りないけど、外部のいろんな方に助けていただいて。

−−ここがある意味、ハブみたいな役割を果たしている。

牧園さん:「akta」さんがよく言ってるけど、基本的にはそういう機能ですよね。九州っていう視点で、いろんなところとつながって。

−−そういう意味でも、拠点は大事ですよね。

牧園さん:目に見えるという形にするのが重要。

灰来人さん:人が集まって何かが生まれる。場所あればこそ。

−−去年くらいから、コミュニティセンターの存続が危ないんじゃないかと言われていて。「akta」も動いてるけど、こちらも?

牧園さん:「akta」と同じレベルで大変です。一蓮托生なので(笑)

−−地方の方が、重みがあるというか、あるのとないのとでは大違いという気もするのですが?

牧園さん:意味合いというか、役割が違うかも。基本的にはハブとして存在していて。東京は国際的なレベルですからね。

灰来人さん:ただ、福岡もアジアの玄関口って昔から言われていて、韓国や台湾の観光客がよく来られるんです。

牧園さん:コミュニティペーパーを持って帰って、地元のバーに置くんですって。それを持って来る。

−−へええ! 海を渡って?

牧園さん:観光が盛んになってきている。中国、韓国、台湾、アメリカ、欧州…。

灰来人さん:福岡ってスタートポイントで、まず福岡に来てそこから長崎に行ったり、阿蘇に行ったり。

−−そうなんですね。

牧園さん:でも、コミュニティ側が対応できてない。外国語ができないので。最近、台湾からここに来たいって言っている子もいて。在米領事館とも交流があるので。もしかしたら海外から来られる方向けに何かできるかもしれません。

−−夢は広がりますね。

牧園さん:いっぱいやれそうだね、と話をしている。ただ、人手が足りない。身ひとつなので。

−−さっきもボランティアの方がバーに配布に。

牧園さん:ずいぶん助けてもらってます。

−−和気あいあいとしていて、いい雰囲気ですよね。

牧園さん:だいたいあんな感じです。ゆるい感じで。時間とかもルーズで、みんな定刻には来ない(笑)

−−沖縄時間っていうのはよく聞きますけど。

牧園さん:同じです。ついでに言うと、体型もゆるい。私は福岡体型って言ってるんですけど(笑)

灰来人さん:それでいてせっかち、短気っていうのが博多っ子。九州男児って言うけど、幻想ですよと(笑)

−−いやあ、博多っ子、素敵です。どうもありがとうございます!


※市川先生
名古屋市立大学看護学部教授・市川誠一氏。akta(Rainbow Ring)やMASH大阪、ANGEL LIFE NAGOYAなど、全国のゲイ・バイセクシュアル男性向けHIV予防啓発は、市川先生が厚生労働省から委嘱されているエイズ対策研究の事業費によってまかなわれてきました。

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