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レインボー祭り実行委員長のToshiさんにインタビュー
今年も新宿二丁目仲通りでレインボー祭りが開催されます。二丁目を盛り上げるために、二丁目振興会に加盟するお店の方々が一丸となって行う「巨大なビヤガーデン」のような縁日のようなお祭りです。実行委員長である「Base」のマスター、Toshiさんへのインタビューをお届けします。


今年の御神輿は男子も女子も参加!
Toshiさん(以下T):基本はいつも通りですが、唯一、目新しいのが、女子神輿です。毎年野郎神輿というのを出しているのですが、二丁目の女子の中にも神輿を担ぐ人がいるという話を聞き、女子神輿を出そうという話になって。早い時間に男子がやって、次に女子の神輿があって、3回目に男女混合っていう。そういう企画を立てています。
ーー素敵!
T:ビアンの方たちもどんどん二丁目に根を下ろして、お店も増えているし、とても団結力があって、いい感じ。僕らも女子神輿って見たことがないので、想像つかないけど。
ーーゲイチームより野郎っぽかったりして?
T:そうかもね(笑)。楽しみです。

16時にBrass Mix!の演奏でスタート!
T:一回ダメってなったら、ゆるくなることはまず無いですね。そもそも仲通りは道幅が狭いし、歩道も狭い。警察が言う基準だと、本来であれば、今の形がスジ。本当は歩道にテーブルを出すにしても、寸法を図ったり、火の口がいくつあるかとか、細かい書類を提出する必要がある。でも、最初の頃は、大雑把というか、目をつぶってくれていたところがあって、ああいう派手なことをやれていた。で、警察の方も、いざフタを開けてみたら、人の数がハンパないし、歩道をふさいで動けなくなるし、これは危険だということで、警戒するようになったわけです。
ーー5000人くらい集まるから、確かに、身動きできないくらいの混雑になってましたよね。
T:基本的なところに立ち返られちゃった。歩行者天国の形をなしてない、人が滞留しないようにしろ、道をふさぐものは出すなと言われて。プラス、地域住民からのクレームがちょこちょこ寄せられている。土曜日の夜とか、歩道に車座になって酒盛りしたり、車道に出たり。しょっちゅうパトカーが出ている。悲しいことに、今、二丁目の印象がすごく悪いんです。毎週末パトカーが出動するような街で道路を通行止めにしてハデなお祭りをしたいって言われても、警察はなかなかいい顔をしないよね。
ーーそうなんですね…。
T:近隣住民のクレームに目をつぶるわけにはいかないし、地域の活性化のためにやるということに対してノーとも言えない。警察も板ばさみ。そういう中で、双方歩み寄って、この形でお願いしますと言って許可をもらっているわけです。地味になったと言われるのは心苦しいけど、今の実態からしたら、この形でしかやれない。これが身の丈に合っているんです。
ーーなるほど…。
T:初期のアキさんや隼人さんの遺志を継いでがんばっているけど、そもそも、二丁目でお祭りがやれていること自体が奇蹟。単純に考えて、振興会の持ってる力で、よくやれてると思う。これだけの大きなお祭りをやらせてもらってることが幸せなことであって。警察にも、近隣の方にも無理を言って、やらせてもらっている。ここから信頼を築いたり、いろんなことをちょっとずつ。そうじゃないと華やかにはできない。そこまでの力もないし。

昨年は終盤、大雨に降られて大変でした。
今年はきっと晴れるハズ!
T:そうそう。そこが大事。去年のレインボー祭りでも「これは奇蹟です」と言いました。こんなショボい力で、一度も途切れずにやれてることが奇蹟。欲を出せばきりがないけど、その前に力をつけないと、と思います。振興会はお店のマスターたちの集団で、みんなお店をやりながら片手間でやっている。空き時間に集まって話し合って、準備して。実行委員会を立ち上げて。
ーー理事会ではなく実行委員会なんですね?
T:そうなんです。振興会は7つのブロックに分かれていて各ブロックに理事がいるんですが、今年から、理事じゃないマスターも参加して実行委員会を作っています。今まで理事が中心になってやっていたけど、もう少しいろんな人に、ということで。
ーーある意味、組織改革?
T:初めての試みの実行委員会なので、 軌道に乗るのにはまだまだ時間がかかるかもしれません。今までとあまり変わらないけど、少し人が増えた。みんなにもわかってほしいし、マンパワーが分散したほうが楽にできるかな、と。
ーーそうやって新しい体制で、いろいろできることを模索していこう、という。
T:少しだけね。先々のことを考えて。二丁目は20代~30代が中心なので、もっと若いマスターにも参加してほしいという気持ちもあった。でもみんな本当に協力的で。振興会に加盟しているのは今や150店舗にもなっていて。全部がレインボー祭りに参加するわけじゃないけど、みんな協力的なんです。裏では批判もあるだろうけど、空中分解もせず、当日いっしょうけんめい動いてくれて、「よかったね、楽しかったね」でくくれているので、スゴいと毎年思う。こんな至らない理事会で、うまく伝えられないことも山ほどあるのに、みんなよくやってくれてると感謝しています。素晴らしい。
ーーお祭り自体が楽しくて、お客さんも喜んでくれるからっていうのもありますよね。
T:そうだね。マスターたちも、横のつながりができたり、新鮮だったり、みんなでやったっていう喜びがあって。終わると、みんな笑顔になってくれて…そうやって11年続いてきた。二丁目が好きで、二丁目を愛していて、もっと盛り上がったら、みんなが喜んでくれたらっていう気持ち。
ーー二丁目の活性化につながるお祭りですものね。
T:景気もよくないし、なんとかしたいっていう気持ちもあって。二丁目は日本一のゲイタウンという自負もあるし。本当は面倒くさいとかそういう気持ちもあるけど、当日は多くのマスターがお店ほったらかしでブースに出て、一生懸命売ってたりする。
ーー裏ではいろんなドラマがあるんですね。
T:最近は女の子パワーもすごくて。協力的だし。団結力がある。あとは、近隣住民からクレームが来ないような環境作りからやらないといけないね、ということで、月に1回、第2日曜の朝5時半から、マスター含め有志で「二丁目清掃会」というのを始めたんです。明け方、みんなが帰る頃にゴミ拾いをして。地域の方にもアピールしている。
ーー素晴らしい! きっとたくさんの人たちが「二丁目はやっぱりいい街だなあ」って思ってくれるでしょうし、レインボー祭りにも大勢来てくれると思います。当日を楽しみにしています!

第11回東京レインボー祭り
日時:8月15日(日)16時~19時
会場:新宿二丁目仲通り
主催:新宿二丁目振興会
400名に旅行券や商品券が当たるスタンプラリー抽選会も開催!
抽選会場は「mf」近く(お墓の前)のテントになります。
(詳しくはこちら)
タイムテーブル(予定)
16:00 オープニング(「Brass Mix!」演奏)
16:30 野郎神輿
17:30 女子神輿
18:00 男女混合神輿
18:30 エイサー(「新虹(あらぬーじ)」)
※荒天の場合、翌週22日に順延します
INDEX
- 来年ワシントンDCで開催されるワールドプライドについて、Destination DCのエリオット・L・ファーガソンCEOにインタビュー
- 『超多様性トークショー!なれそめ』に出演した西村宏堂さん&フアンさんへのインタビュー
- 多摩地域検査・相談室の方にお話を聞きました
- 『老ナルキソス』『変わるまで、生きる』を監督した東海林毅さんに、映画に込めた思いやセクシュアリティのことなどをお聞きしました
- HIV、梅毒、コロナ、サル痘…いま、僕らが検査を受けるべき理由:東京都新宿東口検査・相談室城所室長へのインタビュー
- NYでモデルとして活躍する柳喬之さんへのインタビュー
- 虹色のトラックに込めたゲイとしての思い――世界的な書道家、Maaya Wakasugiさんへのインタビュー
- ぷれいす東京・生島さんへのインタビュー:「COVID-19サバイバーズ・グループ東京」について
- 二丁目で香港ワッフルのお店を営むJeffさんへのインタビュー
- 東京都新宿東口検査・相談室の城所室長へのインタビュー
- 俳優の水越友紀さんへのインタビュー
- 数々のLGBTイベントに出演し、賞賛を集めてきた島谷ひとみさんが今、ゲイの皆さんに贈る愛のメッセージ
- 今こそ私たちの歴史を記録・保存する時−−「LGBTQコミュニティ・アーカイブ」プロジェクト
- LGBT高齢者が共同生活できるシニアハウスの設置を目指す久保わたるさん
- 岩崎宏美さん出演のクラブパーティを開催するkeiZiroさんへのインタビュー
- 英国の「飛び込み王子」トム・デイリーについて、裏磐梯のゲストハウスのオーナー・GENTAさんにお話をお聞きしました
- ニューヨーク在住のフォトグラファー、KAZ SENJUさん
- ジョニー・ウィアーが来日!(映画『氷上の王、ジョン・カリー』公開記念トークイベント)
- 畠山健介さんへのインタビュー
- トークセッション「ダイアモンドは永遠に――日本におけるドラァグクイーン・パーティーの起源」
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