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レインボーとしまの会 代表理事の小吹文紀さんへのインタビュー

2018年9月19日、豊島区の高野区長が条例によって同性パートナーシップ証明制度を創設することを発表しましたが、そこにはレインボーとしまの会の活躍もありました。代表理事の小吹さんのお話をお届けします。

レインボーとしまの会 代表理事の小吹文紀さんへのインタビュー

2018年9月19日、豊島区の高野区長が条例によって同性パートナーシップ証明制度を創設することを発表しましたが、そこには、石川大我区議だけでなく、レインボーとしまの会というNPO法人の活躍もありました。レインボーとしまの会 代表理事の小吹文紀さんにお話をお聞きしました(区長さんの発表の後、豊島区庁舎内の、議場の横にある応接室でお話を聞きました)


ーーまずは、区長さんが豊島区で同性パートナーシップ証明制度を創設すると語ったことについて、今のお気持ちを聞かせてください。

議会で請願が採択されて、行政としてきちんと受け止めていただけたこと、うれしいです。感無量です。特に、条例で、というのは、行政も議会の方も制度を真剣に考えてくださっているということですから、重いことだと思っております。

ーー渋谷区を除いては、これまでどの自治体も要綱で定められていて、宣誓して受領証をもらう形でしたので、条例を制定するのは全国で2番目ということになりますね。条例となると、議会の承認も必要ですし、なかなかできない、スゴいこと、と言えるのでしょうか。

そうですね。やはり、条例というのは自治体の法律なので。要綱も価値はあるんですが、法的な重みが違います。条例としてやって行こうというのは、重く受け止めていただいてるという印象です。

ーー要綱は自治体の首長が独自に定めるルールですよね。例えば渋谷区だと公正証書の提出が求められ、数万円の費用や手間がかかるため、なかなか気軽には申請できないという話を聞きますので、同性パートナーシップ証明制度としては、要綱の宣誓方式のほうがいいのでは?という見方もあると思うのですが…。

私は損害保険の会社で働いているのですが、実は、東京海上日動火災や損保ジャパン日本興亜など、同性パートナーも家族として扱う商品を出している保険会社というのは、渋谷区の証明書だけを正規のものとして扱っています。渋谷区以外の証明書の場合、条例を根拠法令としていないので、別で書類を作らなければならないんです。

ーーそうだったんですか? 知らなかったです…。

要綱は首長が個人的に定める内規であって、法的根拠はなく、極端な話、首長が変わったら、なくなる可能性があります。一方、条例は法令ですから、そういうことはありません。条例を変えたり廃止したりするためには、議会で改正の審議が必要になります。

ーーなるほど。条例の重みということの意味がよくわかりました。おそらく、これまで要綱で定めて宣誓という形で同性パートナーシップ証明を実現してきた自治体の多くは、条例案を議会にかけたとしても反対が多くて成立しないだろうと予想されるような議会構成だったこともあって、条例の制定をあきらめたという事情もあるのではないかと思うのですが、豊島区はその点、大丈夫、ということなのでしょうか。

おそらく区長さんも、大丈夫だろうと見込んで、条例で、とおっしゃってるんだと思います。

ーーそもそも今年6月の第2回区議会定例会で請願が採択されて、と区長さんがおっしゃってましたが、これはレインボーとしまの会が提出したものでしょうか?

そうですね。レインボーとしまの会が取りまとめて、660名の署名を添えて、請願を提出しました。豊島区における「パートナーシップの宣誓制度」創設に関する請願、豊島区の区営住宅に「同性パートナー」も入居できるよう求める請願の2つを提出し、どちらも区議会で採択されました。

ーー素晴らしいですね。そもそも、レインボーとしまの会は、豊島区のLGBTの方たちによって、そういう施策の推進を求めて結成された団体なのでしょうか。

そうですね。私だけでなく、今ここにはいないのですが、女性の共同代表もいて、一緒にやってきました。豊島区男女平等推進センターの登録団体として、LGBTのことだけじゃなくいろんなマイノリティのことにも関わり、センターのイベントを一緒にやったり、今年のレインボーウィークには巣鴨地蔵通り商店街で地元の方々とふれあうイベントも開催したり、住民として、活動を積み上げてきました。現在はNPO法人になっています。

ーー地道な活動、頭が下がります。ここまで来るには、やはり、石川区議がいてくれたから、ということも大きかったですか?

石川先生は2期目ですが、性的マイノリティということを公にして、なお支持されて、当選したということは、区民のみなさんの信頼を勝ち得たということですから、議会でも、大切にしなければならない、という土壌があったと思います。

ーー世田谷区も中野区もそうですが、やはり当事者の議員の方がいらっしゃる、ということは大きいのでしょうね。今回、条例を制定する、ということは発表されましたが、中味はまだこれからだと思います。どのようなものになってほしいと思いますか?

宣誓なのか、登録なのか、これからだと思うんですが、やはり、長い間連れ添ってきたり、そういう人たちが、様々な場面でも困難を感じている、そういう方たちを支援していきたいと区長もおっしゃっていましたけど、住みやすい街を目指す豊島区としては、制度も使いやすい、利用しやすいものになればよいのではないかと思っております。

ーーどうもありがとうございました。


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