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日本初? ゲイによるゲイのための総合スポーツイベント
この9月の3連休、テニスやバレーなどのスポーツサークル(5種目)が集まり、ゲイによるゲイのためのスポーツイベント「gaysian games」が国立オリンピック記念青少年総合センターを貸し切って開催されます(東京都が後援についています)。試合に出場しない方も観覧や応援、レセプション・パーティに参加できます。主催するお二人へのインタビューをお届けします。
(写真:右がカツミさん、左がタイスケさん)
もともとゲイコミュニティではテニスやバレーボールのサークルがたくさんあり、数百人規模の大きな大会を開催したり、交流を深めたりしてきました。(なぜかはわかりませんが、ゲイの間では、野球やサッカーよりも、テニスやバレーのほうが断然、人気があります。『エースをねらえ!』や『アタックNO.1』の影響なのでしょうか)
今回、テニスやバレーボールだけでなく、バスケットボール、バドミントン、卓球といった種目も加えた5種目のスポーツサークルが集まり、国立オリンピック記念青少年総合センターを貸し切り、東京都が後援について、ゲイによるゲイのためのスポーツイベント「gaysian games」が開催されることになりました。
こうした大規模で本格的な総合スポーツイベントはおそらく日本で初めてで、将来「ゲイゲームズ」につながるようなエポックになるのでは?と期待します。
実行委員会の中心メンバーであるカツミさん(バー『SMASH』マスター)とタイスケさん(広報やレセプションイベントの企画を担当するリーマンの方)のお2人にお話をお聞きしました。(聞き手:後藤純一)
カツミさん&タイスケさんへのインタビュー
国立オリンピック記念青少年総合センター
ーーカツミさんはこれまでにも様々なテニスやバレーの大会を開催されてきたそうですが、そもそもそうした大会を行うようになったきっかけを教えてください。
カツミさん(以下K):もともとスポーツは好きだったけど、そういう大会をやるようになったのは17年前から。昔はゲイの世界って、つきあいが限られてるようなところがあったけど、毎週会ってスポーツやってるうちに、ふだんからつきあえる仲間ができて。
タイスケさん(以下T):そのほうが仲良くなれる。自分なんかも、もともとはあまりゲイの世界に関わらないようにしてたけど、すごく勇気づけられたよね。
K:家族みたいなね。ほら、うちらって親戚づきあいもあまりなかったりするし。そういうつきあいが大切だと思う。
ーー本当に大切ですね。ある意味、コミュニティ作りの一環なんですね。
K:それが発端ですね。楽しくやりたい。大会をやることによってすごく広がりが生まれて。
T:大会をやるようになって、2年目3年目くらいから等比級数的に参加者が増えたよね。いちばん多い時で何人くらい?
K:13年前のテニス大会のときの470人が最大かな。試合内容を充実させるためには360人くらいがMAXかな、ということに気づいて。その後にいろんな地区に広がりはじめて。
ーー500人近くも? スゴい! 僕はスポーツに疎いのであまり知りませんでしたが、クラブイベントやパレードとかだけじゃなく、スポーツ大会もかなり大きいんですね。今回、国立オリンピック記念青少年総合センターを貸し切るという形で総合的なスポーツイベントを行うことにしたのは、どういうきっかけで?
K:まず、去年申し込んでみたら、運よく場所が取れたということがあって。
T:たまたま取れたから。後づけなんだけどね。
ーー会場が取れたから、これはやるしかないと。
K:スポーツ棟は全館貸切で、宿泊棟も150人くらいはOKです。
T:これは1年以上前からのプロジェクトなんです。会場から始まって、いろいろ話し合いを続けて、構想を練って。これも本当に幸いなのですが、「akta」のメンバーなどが進めている「エイズ予防のための戦略研究」とコラボして、東京都福祉保健局の後援も取れたんです。
ーーそれは素晴らしい!
ホール(宴会場)
T:宴会場みたいなホールがあるんですが、19日(日)の18時半頃からレセプション・パーティを予定しています。「新虹」のエイサーがあり、「Living Together」なライブ&リーディングがあり、Campy!ガールズによるショータイムがあり。立食パーティ形式で、食べ放題飲み放題な感じで。
ーー交流を深めながら、ショーやライブも楽しめる。そしてHIVのことも身近に、という感じですね。素敵です!
K:単純にスポーツやるだけじゃなく、やっぱりゲイライフを楽しく、という気持ちはありますね。
T:まずは1回目をやってみよう。そして、次また考えようっていう感じです。
ーースポーツの試合への参加はすでに締め切られたと思いますが、当日観戦とか応援に行くのは大丈夫でしょうか?
T:はい。観戦はどなたでも大歓迎です。もちろん無料です。レセプションパーティも、基本的には参加者向けのものですが、観戦していただいた方も参加できます(こちらは有料になります)ので、いっしょに楽しみたい、交流したいという方はぜひ。
ーー将来的には「ゲイゲームズ」につながるようなことを考えていらっしゃいますか?
T:そうですね。今回も日本だけじゃなく近隣の国の人たちが来てくれて交流できたらいいなあということも考えていましたし、そういう意味で「gaysian games」という名前がついていたりもして。いきなり世界は無理でも、初めはアジアのスポーツの祭典という感じで盛り上がったらいいなあと思っています。とりあえず今回、第1回目をやってみて、また次の展開を考えようと思っています。理想を言えば、このイベントをNPO法人化して、新しい人が入って来てもこの事業の運営を引き継いでやれるような形にしておきたいと思っています。
ーーちゃんと今後のことも堅実に考えてるところが素晴らしいと思います。 志の立派さと実際的な部分の両面が備わっている、大人な運営チーム。拍手です。これからもぜひ、継続的な開催を!
gaysian games
日程:2010年9月18日(土)~20日(祝)
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター
開会式および試合の開始:9月18日(土)9:30頃〜 @スポーツ棟
レセプション・パーティ:9月19日(日)18:30頃〜 @レセプションホール(国際交流棟)
試合終了&閉会式(表彰式):9月20日(祝)夕方頃 @スポーツ棟
ゲイゲームズへの夢
今年のゲイゲームズの開会式
ゴトウは2002年にシドニーの「ゲイゲームズ」を取材することができました。スポーツだけでなくクラブパーティやカルチャーイベントなども多数開催され、シドニーのマルディグラが1週間続くような破格のお祭り騒ぎで、これこそワールドワイドなゲイの祭典だと感動しました。残念ながら「ゲイゲームズ」はまだ欧米圏を出ていないわけですが、将来的には日本で開催されたらいいなあ…と夢見るものです。
日本はセクシュアルマイノリティが暴行を受けたり殺されたりすることがほとんどないという意味で、世界有数の安全な国です(たとえば昨年コペンハーゲンで開催された「OUTGAMES」では、陸上競技場に爆弾が投げ込まれるという事件がありましたが、日本ではそれはないと思います)
そして今回「gaysian games」が公共の施設を借りたり東京都の後援を取ったりして、ゲイのスポーツコミュニティが「公」とつながることができるという実績を示してくれました(これは本当に大きな一歩だと思います)
何年後になるかはわかりませんが、きっとアジア初の「ゲイゲームズ」は東京で実現するのでは?という希望を持つことができました。
そのためにも、まず、今回の「gaysian games」を応援したいと思います!
INDEX
- 映画祭の代表・宮沢英樹さんへのインタビュー
- 「Save the Pride」を終えて…実行委員長に再びインタビュー
- パレードへの熱い思い~「Save the Pride」代表のケータさんにインタビュー
- NLGR+2012で結婚式を挙げたお二人にインタビュー
- NLGR+2012の結婚式をプロデュースしたVALENTY WEDDINGにインタビュー
- NLGR+2012の共同代表の方たちにインタビュー
- 東京レインボープライドの広報担当・乾さんにインタビュー
- 舞台『AKA-TONBO!』に出演するゲイの役者さんにインタビュー
- 映画祭代表・宮沢英樹さんへのインタビュー
- 舞台『Lipsynca』の関係者へのインタビュー
- 日本初のゲイホリデー「G-TOUR JAPAN」主催者インタビュー
- 東京プライドの新代表になった門戸大輔さんへのインタビュー
- NLGR+の実行委員長をつとめたシンヤさんへのインタビュー
- 舞台『BENT』を上演する俳優の蓮池龍三さんへのインタビュー
- 新宿を変える、日本を変える。歌川泰司さんインタビュー
- 座談会「洋上の楽園・ゲイクルーズを語り尽くす」
- 映画『スプリング・フィーバー』チン・ハオ&チェン・スーチョンへのインタビュー
- 「Less Than Human」の星野泰一郎さんへのインタビュー
- レインボーマーチ札幌の実行委員長・牧祐介さんにインタビュー
- 日本初? ゲイによるゲイのための総合スポーツイベント
SCHEDULE
- 10.05BEAR-TRAIN
- 10.05第2回東京SPAMナイト
- 10.06ぐんまレインボープライドパレード
- 10.06岡山レインボーフェスタ2024
- 10.06aikoナイト