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多摩地域検査・相談室の方にお話を聞きました
多摩地域検査・相談室で告知を行なっている医師の一人である高松茜先生と、専任スタッフである矢作友美さんに、こちらの施設の特長や新宿東口検査・相談室との違いなどについてお話をお聞きしました。
(右が高松茜先生、左がスタッフの矢作友美さん)
新宿東口検査・相談室と同様、東京都が運営している多摩地域検査・相談室。多摩地域にお住まいの方だけでなく、中央線・総武線沿線の方なども割とアクセスがよい検査所ですので、急いで結果を知りたい方などぜひご利用いただきたいと思います。取材してみて、女性のスタッフの方が多く、親身になって相談に乗ってくれる雰囲気がある所だなと感じました。今回、そんなスタッフの方と、告知を担当している医師の方に、こちらの施設の特長や新宿東口検査・相談室との違いなどについてお話を聞くことができました。
語り手:高松茜先生(KARADA内科クリニック)、矢作友美さん(多摩地域検査・相談室スタッフ)
聞き手:後藤純一
――多摩地域検査・相談室が設立された経緯を教えてください。
矢作さん:もともとは多摩立川保健所として土曜日にHIV検査を行なっていたのですが、新宿東口(旧南口)検査・相談室に加えてもう1ヵ所、検査所を設けようということになり、2005年、多摩地域検査・相談室として週末に検査を実施することになりました。
――立川駅は中央線、青梅線、南武線、多摩都市モノレールなどが乗り入れるターミナルで、多摩地区にもう1つ検査所を作るとしたら、やはり立川が利用しやすい場所だね、ということですよね。
矢作さん:そうですね。多摩地域の中でもアクセスがいい場所ということで。
――こちらの検査所の特長を教えてください。
矢作さん:多摩地域で週末やっている唯一の検査所で、かつ即日で結果がわかるということですね。
――新宿とは異なるところが何か…例えば、来られる方の層の違いなど、ありますでしょうか。
矢作さん:MSMの方は定期的に検査を受けに来られるリピーターの方が多いと思います。年代などは幅広く、ご高齢の方も多くて、60代や70代の方なども来られます。おそらく多摩地区にお住まいの方が多いのではないかと思います。
――即日検査って、新宿のような「1週間後にまた来てくださいね」という検査とちょっと違いますよね。先にガイダンスがあってちゃんと説明もされていると思いますが、なんとなく、すぐ結果が出るのってどうなの?(正確性に問題があるのではないかという不安)とか質問されることもあったりします?
矢作さん:そんな短時間で大丈夫なの?と聞かれることはたまにありますね。検査の仕組みや、感度が高い検査で、といったことを丁寧に説明します。
――第四世代の精度の高い検査キットを使ってるので間違いないです、と。
矢作さん:すごく詳しい方などは、ダイナスクリーン(※検査キットのブランド名)ですか?と聞いてこられたりもして、そうですよ、と。病院でも使ってるような、感度の高い、精度のいいものです、とお答えしています。
――梅毒の検査も2種類やってるのがウリだとお聞きしました。
高松先生:RPR(梅毒の現在の活動性を見る)とTP(こちらの検査所ではICと記載。今までに一度でも梅毒になるとずっと陽性になる)の2種類です。場所によっては1つしかやらないところもあるんですが、解釈が難しくなることがあり、もう1回検査する必要が出てきて、その分お待たせしてしまうので、不安な期間が長くなってしまいます。2種類だと、見立てを伝えやすいんです。
――陽性です、陰性ですとスパッと言いやすいという感じ?
高松先生:RPRは偽陽性(梅毒にかかってないのに検査で陽性とでること)が出ることがあるんですが、TPを一緒にやると、解釈がしやすくなるんです。TPは感染して1〜2ヵ月後くらいから陽性になるので、感染したかもしれない期間から例えば2ヵ月経っていた場合は、RPRが陽性と出ていてもTPが陰性であればRPRは偽陽性の可能性が高いと見ることができます、といった具合です。
――なるほど、わかりました。検査結果をお伝えした後、しばらく相談を受ける時間をとっている感じですか?
高松先生:告知の後に、何か質問があるかどうかお聞きして、もし質問があれば、直接お答えします。例えば、メンタルへルスに関することなどでしたら、保健師の方が別室で相談に乗ったりもしています。
――いろんなお悩みを持ってる方に幅広く対応してるんですね。
矢作さん:ケースバイケースですね。保健師が個別に、ちょっと時間をとってフォローしたり。もし告知のところでは質問がなくても、帰り道に立ち話するなかで質問が出たりもするので、お答えしたり。
――充実したサポートですね。PrEPのことや、流行中の梅毒やエムポックスのことなどについても質問があったりしますか?
高松先生:PrEPについては、質問をちょくちょくいただくので、パンフを渡したり、あとは、PrEPができるところが限られているので、具体的にご案内したりもしています。エムポックスは、私はあまり質問を受けていないのですが、梅毒は増えてるというニュースを見聞きしている方も多いようで、質問がありますね。
――コロナ禍で他の保健所が軒並みHIV検査を止めていた期間も、新宿東口検査・相談室と同様、こちらも頑張って開けていたのでしょうか。
矢作さん:開けてました。
――素晴らしい。今年の世界エイズデーに関して、何かキャンペーンなどありますか?
矢作さん:特にはないのですが、東京都の冊子を置いたりしています。
――先生に聞くのはお門違いかもしれませんが、ぷれいす東京など6団体がGAP6を立ち上げ、2030年までのHIVの流行の終結を目標に掲げ、厚労省に提言を行ったりしていることについて、コメントがあればお願いします。
高松先生:もしもHIVに感染していたらどうしよう、誰にも言えない、といった不安から、今までHIV検査を受けることに敷居の高さを感じていたような方も、HIVに関する認知が深まることで、今後、もう少し検査を受けやすくなるといいですね。
――HIVの知識がアップデートされることで、検査も受けやすくなる。
高松先生:今は死ぬ病気じゃない、きちんとコントロールできて、天寿を全うできる、慢性疾患の一つであるという、そういう認知がもっと広がれば、もっと積極的に検査を受けに来ることができるようになるのではないかと思います。
――最後に、ゲイ・バイセクシュアル男性の方に、セクシュアルヘルスに関するメッセージをお願いします。
高松先生:HIVとか梅毒とか、性感染症はいくつかありますが、たとえ陽性であっても、きちんと治療すれば、すごくいい予後が待っています。研究も進んでいるし、理解も広がっています。HIVへの偏見から、検査しにくいとか、医療機関に行けないと感じている方も、匿名で検査できますので、有効活用して、自身のヘルスメンテナンスにつなげていっていただければと思います。
――どうもありがとうございました。
INDEX
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- 多摩地域検査・相談室の方にお話を聞きました
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- HIV、梅毒、コロナ、サル痘…いま、僕らが検査を受けるべき理由:東京都新宿東口検査・相談室城所室長へのインタビュー
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- 虹色のトラックに込めたゲイとしての思い――世界的な書道家、Maaya Wakasugiさんへのインタビュー
- ぷれいす東京・生島さんへのインタビュー:「COVID-19サバイバーズ・グループ東京」について
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- 東京都新宿東口検査・相談室の城所室長へのインタビュー
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- 数々のLGBTイベントに出演し、賞賛を集めてきた島谷ひとみさんが今、ゲイの皆さんに贈る愛のメッセージ
- 今こそ私たちの歴史を記録・保存する時−−「LGBTQコミュニティ・アーカイブ」プロジェクト
- LGBT高齢者が共同生活できるシニアハウスの設置を目指す久保わたるさん
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