REVIEW
トランスジェンダーのリアルをコテコテの関西弁で描いた奇跡のコメディ映画『となりのとらんす少女ちゃん』
東海林毅監督が新世代のトランスコミック『となりのとらんす少女ちゃん』を実写映画化。いよいよもうすぐ公開です。全編関西弁の笑えて泣ける胸キュンエンタメ作品です!

昨年5月、『片袖の魚』『老ナルキソス』の東海林毅監督が新世代のトランスコミック『となりのとらんす少女ちゃん』の「未来から来たとらんすちゃん」を実写映画化!というニュースをお届けしました。8月にははるな愛さんがお母さん役で出演することが発表されました。主人公のユウカ役は『ブルーボーイ事件』に主演した中川未悠さん(今年のTPで司会も務めました)ですが、『ブルーボーイ事件』ではひたむきで真っ直ぐで可憐なイメージの主人公を演じた中川未悠さんが、ちょっとドスのきいた関西弁で「わしが体で教えたるわ」と過去の自分である男の子にプロレス技をかける姿は笑撃的です(予告編をご覧ください)。コテコテの関西のお笑いをベースにしたトランスコメディ映画『となりのとらんす少女ちゃん』がついに完成しました。一足お先に試写を拝見できましたので、レビューをお届けします。
<あらすじ>
母親と2人で大阪に暮らす中学2年生のユウタのもとに、ユウカと名乗る女性が現れる。ユウカは10年後の未来からやって来たユウタ自身で、多くの苦労の末に性別適合手術を受けて現在の姿になったのだという。ユウカはユウタに対し、大人の身体になる前に一刻も早く性別移行に向けて動き始めるよう迫る。周囲の友人たちとの間で小さな違和感を覚えていたユウタだったが、あまりにも強引なユウカに反発し、2人の攻防が始まる。そんななか、ユウタの14歳の誕生日にある事件が起こり、ユウタは未来への選択を迫られることに―






いやあ面白かった! めっちゃ新鮮! 期待通りというか期待以上のスゴイ名作でした。
原作も出演者もトランスジェンダーなので安心して観れる(差別的表現や見下しや侮蔑が感じられない)作品になっているという信頼感がしっかりあって、そのうえで、トランスジェンダーのことを正面から深く描きつつ、ゲラゲラ笑えるエンタメ作品に仕上がっていて、一般の映画館でメジャー作品として上映されるってスゴイこと。日本のLGBTQ映画史に残る快挙です。
キホン、関西弁のベタでコテコテなコメディで、寅さんじゃないけど家族のことを描いたファミリードラマでもあって、笑えて泣ける映画になってます。
主演の中川未悠さん(兵庫県出身)が『ブルーボーイ事件』のときとは全く違うキャラで、面白かったです。ブルーボーイの方が演技で、こっちが地だったんだなぁと思いました。
はるな愛さんも、もうお母さん役を演じる年頃なのかと思うとちょっと感慨深いですが、シングルマザーとして働きながら子育てする大阪のお母さんの役を上手に演じてました。はるな愛さん自身トランスジェンダーなのに、子どもの性別移行には反対するキャラクターを演じるあたりもひねりが効いてて面白いと思いました。
ユウタの子ども時代を演じた子もすごくイイです。説得力がありました。
そして、ユウタの親友のマサキを演じた子が本当にイイです。子どもらしい純真さと関西らしい情の深さが相まった悩める親友のユウタを全力でサポートする姿、マジ胸キュンです。何より、原作とは違う、いかにもスポーツやってそうなちょっとイモっぽい感じの男の子を起用したところがGOODです(ゲイ受けねらってるんじゃないでしょうか)
カメオ出演?でオバチャーンも出てます。
あまり具体的には書かないようにしますが、予告編の最後に流れる音楽や、ユウタとユウカが踊ってるシーンは、この映画のもう一つのキー的なエンタメ要素になってます。きっと「続きが観たい!」とか「振付をおぼえたい!」ってなるはず。お楽しみに。
エンドロールの協力者のお名前の多さも胸熱でした(多くはLGBTQコミュニティの方たち)
LGBTQコミュニティ発の、一般にもウケる、誰もが安心して楽しめる奇跡のエンタメ作品。東海林監督、本当によくやったと思います。拍手しかないです。
みなさんぜひ、映画館でご覧ください!
★『となりのとらんす少女ちゃん』11月7日公開なのですが、その前に、10月13日(火)、扇町キネマでプレミア先行上映会が開催されることに。監督と出演者による舞台挨拶も。関西のみなさん、ぜひ(詳細はこちら)
★10月11日(日)のレインボーフェスタ!@扇町公園のアカルクのブースで東海林監督と中川さんがカフェスタッフとしてお給仕するそうです。ぜひ会いに行ってください(詳細はこちら)
となりのとらんす少女ちゃん
2026年/日本/72分/原作:とら少/脚本・監督:東海林毅/出演:中川未悠、はるな愛、髙橋蒼太、竹内大騎、イシヅカユウ(声の出演)ほか
11月7日より新宿K's cinemaほか全国ロードショー公開
INDEX
- トランスジェンダーのリアルをコテコテの関西弁で描いた奇跡のコメディ映画『となりのとらんす少女ちゃん』
- フライングステージ「Closeted Life クローゼットライフ」
- アート展レポート:TORAJIRO個展「A Light That Never Goes Out」
- ゲイのリアルも描かれたドキュメンタリー映画『沼影市民プール』
- すべての裸は素晴らしい――ブロードウェイミュージカル『フルモンティ』
- セクシーさもありつつ胸が締め付けられるような映画『君の見る世界をなぞる』
- マーティン・シャーマンが『BENT』より前に書いたラブリーなゲイカップルの演劇作品『パッシング・バイ』
- 性的指向とは何か?という根源的な問いに迫る目からウロコな本:『パンセクシュアル宣言』
- CBC「ハートフルワールド」第22話「東京・新宿二丁目編」がなかなかよかったです
- アート展レポート:西村宏堂展「Cells - 細胞 -」
- かつてこんなにゲイゲイしいバレエがあったでしょうか…ベルリン国立バレエ『ヌレエフ』レビュー
- メキシコから届いたハッピーでキラキラなトランス・ドキュメンタリー映画『きっと青春大革命!カルラ8年の記録』
- 涙、涙の真実の物語:映画『シークレット・オブ・ミー』(レインボー・リール東京)
- バンパイアというマイノリティの悲哀と愛をクィアになぞらえて描いた異色作:映画『シレンシオ』(レインボー・リール東京)
- 奇想天外にしてノンジャンルな、まったく新しいクィア(ゲイ)映画『ユースフル・ゴースト』
- マレーシアで奮闘する人たちの姿を追った感動のドキュメンタリー映画『クィア・アズ・パンク』(レインボー・リール東京)
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- ゲイの警官が主人公のセクシーなクライム・ラブストーリー『ボディ・ブロー』(レインボー・リール東京2026)
- 当事者でなければ作り得ない、トランスジェンダーのリアルに迫った傑作短編映画『トランジット・デイズ』
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