REVIEW
『きのう何食べた?』第6巻
ゲイカップルの幸せライフを描きながら、毎日の晩ご飯のレシピも紹介するゲイコミック『きのう何食べた?』の第6巻が発売されました。小日向&ジルベールカップルとの交流(対決?)や、浮気についてのエピソードが盛り込まれ、ほのぼのしつつ、よりリアルな展開に。ぜひお読みください。

弁護士の筧史朗(シロさん)&美容師の矢吹賢二(ケンちゃん)というゲイカップルの毎日の晩ご飯をからめながら(レシピや作り方の詳細もわかります)、二人の幸せライフを描いたゲイコミック『きのう何食べた?』の第6巻が発売されました。作者はあの男女逆転版『大奥』の作者、よしながふみさんが週刊『モーニング』に連載中の作品で、「バリバリの男性誌にゲイ漫画が!」とゲイの間でも話題になりました。『西洋骨董洋菓子店』や『大奥』のように映画化への期待もふくらみます。
第1巻~5巻の内容を簡単にご紹介しましょう。
シロさんは43歳には見えない若々しさを保ち、仕事にやりがいを求めず、毎日定時退社しては自分流に手際よく晩ご飯を作ります。高校生のときにゲイであることが母親にバレて以来、実家とは距離を置いています。職場では「言う必要がない」のでカミングアウトしていません。
ケンちゃんは41歳の美容師で、明るくて人当たりがよく、職場でもカミングアウトしています。一方、人がよすぎるので、面倒な客の対応もするハメに…。料理は得意ではなく、専らシロさんが作った手料理を食べる係です。
二人は日常生活の中でささいなトラブルや面倒に巻き込まれるものの、何とかやり過ごし、最終的には美味しいご飯をいっしょに食べてほっこり、というパターンで連載が進んでいきます。
第2巻では二人の「なれそめ」が明らかにされ、初めて新宿二丁目が登場しました。
第3巻ではケンちゃんが初めて大晦日を独りで過ごすという「大問題」が生じます(でも、そこで作られたものがとても美味しそうでした)
第4巻では、ちょっと頭の薄いがっちり系のヨシさん&50代で恰幅のいいテツさんというお友達のカップルが登場し、テツさんが亡くなったときの相続について相談されるという出来事がありました。
第5巻では、野郎系の小日向さん&ジルベールと呼ばれる彼氏さんというニューフェイスが登場し、面白い展開になりました。それと、シロさんが帰省すると実家のご両親がふてくされていて、理由を聞くと「なぜ彼氏を家に連れてこないんだ!」と怒る…というエピソードが泣けました。
小日向さんとの食事会(ジルベールについての愚痴を聞く会)に行けなくなったケンちゃんは、シロさんと小日向さんが二人きりになるのは不安だから行くのをやめてほしいと懇願します。「なぜならそういう状況で浮気したことがあるから、心配なんだよ」。身につまされる人も多いだろうエピソードです。
二人は小日向さんが出場する会社の草野球の応援(という名目のピクニック)に出かけます。そこでジルベールは、二人が作ってきた所帯じみたお弁当(タッパーにアルミホイルの仕切り)をバカにして、自分が作ったかわいいキャラ弁を自慢しはじめます。面と向かってバカにはしないでしょうが、料理の腕を披露しあうピクニックって楽しそうです♪
二丁目のゲイバーでイケメンについて語り合う4人。ジルベールに「どんな人がタイプなの?」と聞かれたシロさんの答えは、ケンちゃんとは全くかけ離れたイメージで…。同様にケンジが挙げた理想のタイプも、とてもシロさんには似てない感じで…。気まずくなった雰囲気を救ったのは意外にも…
二人はいっしょにスーパーで買い物をして、近所でお茶をすることに。そこでの会話のネタは、「過去のオトコとどうして別れたか」(笑)。最後に「えっ? そうだったんだ?」と思わせる「ネタばらし」が用意されていて、ちょっとウルっとくるかもしれません…
ちなみに今回登場するメニューは「さばのみそ煮」「たけのこごはん」「チンジャオロースー」「水餃子」「サーロインステーキ」「いかとこんにゃくの味噌炒め」「じゃことごぼうのまぜごはんのおにぎり」「ひじきとツナのトマト煮」「卵ときゅうりと春雨のサラダ」「お刺身サラダ」「ピーマンの焼きびたし」などなど。ぜひご自宅で作ってみてくださいね。
INDEX
- 誰にも言えず、誰ともつながらずに生きてきた長谷さんの人生を描いたドキュメンタリー映画『94歳のゲイ』
- 若い時にエイズ禍の時代を過ごしたゲイの心の傷を癒しながら魂の救済としての愛を描いた名作映画『異人たち』
- アート展レポート:能村個展「禁の薔薇」
- ダンスパフォーマンスとクィアなメッセージの素晴らしさに感動…マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』
- 韓国のベアコミュニティが作ったドラマ「Cheers 짠하면알수있어」
- 安堂ホセさんの芥川賞ノミネート第2作『迷彩色の男』
- リュック・ベッソンがドラァグクイーンのダーク・ヒーローを生み出し、ベネチアで大絶賛された映画『DOGMAN ドッグマン』
- マジョリティの贖罪意識を満たすためのステレオタイプに「FxxK」と言っちゃうコメディ映画『アメリカン・フィクション』
- クィアでブラックなミュージカル・コメディ・アニメドラマ『ハズビン・ホテルへようこそ』
- 涙、涙…の劇団フライングステージ『こころ、心、ココロ -日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語-』第二部
- 心からの拍手を贈りたい! 劇団フライングステージ 『こころ、心、ココロ -日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語-』第一部
- 40代で性別移行を決意した人のリアリティを描く映画『鏡をのぞけば〜押された背中〜』
- エストニアの同性婚実現の原動力になった美しくも切ない映画『Firebirdファイアバード』
- ゲイの愛と性、HIV/エイズ、コミュニティをめぐる壮大な物語を通じて次世代へと希望をつなぐ、感動の舞台『インヘリタンス-継承-』
- 愛と感動と「ステキ!」が詰まったドラァグ・ムービー『ジャンプ、ダーリン』
- なぜ二丁目がゲイにとって大切な街かということを書ききった金字塔的名著が復刊:『二丁目からウロコ 増補改訂版--新宿ゲイ街スクラップブック』
- 『シッツ・クリーク』ダン・レヴィの初監督長編映画『ため息に乾杯』はゲイテイストにグリーフワークを描いた素敵な作品でした
- 差別野郎だったおっさんがゲイ友のおかげで生まれ変わっていく様を描いた名作ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』
- 春田と牧のラブラブな同棲生活がスタート! 『おっさんずラブ-リターンズ-』
- レビュー:大島岳『HIVとともに生きる 傷つきとレジリエンスのライフヒストリー研究』







