REVIEW
カイリー・ミノーグ『アフロディーテ・レ・フォリ -ライヴ・イン・ロンドン-』
今年4月、まばゆいばかりのスペクタクルと素晴らしくゲイテイストなステージで僕らを魅了してくれたカイリー・ミノーグの「アフロディーテ・ツアー」。その何倍もゴージャスなロンドン公演の模様を収めたライブDVDで、あの感動を再び!
ギリシャ神話の世界から飛び出してきたようなダンサーたちに続き、名画「ヴィーナスの誕生」のようにカイリーが登場するところはいっしょですが、その後、天井から吊り下げられた布を使ったサーカス的な演出や、レザーを着た(ハードゲイテイストな)ダンサーたちに率いられ、古代ローマの戦車に乗ってカイリーが凱旋するシーンや、花道が噴水になるシーンなどは、日本では見られませんでした。そもそも舞台が壮麗なギリシャ神殿になっている辺りからしてぜんぜん違います。
どうか「日本公演はこれに比べるとショボかったよね」などと言わず(あの時期に日本に来てくれただけでも本当に感激でしたよね)、ぜひこのロンドンのライブのゴージャスさをDVDでお楽しみください。
今年の来日公演をご覧になった方はご賛同いただけるかと思いますが、今回のカイリーの「アフロディーテ・ツアー」は、本当にゲイテイストでした。隅々までこだわりが行き届き、女性ダンサーの中にドラァグクイーンがまじっていたり(MCでもそう言ってましたね)、男性のダンサーもほとんどゲイで(ちなみにダンサーの一人であるJeremy Hudsonは、ガガのバックダンサーをしているMark Kanemuraとつきあっていたそうです)、またスクリーンに映し出される映像が必要以上に男性の裸だったりして、もう、すべてがたまらなくゲイテイストなのでした。
このツアーのディレクターは、カイリーと長年いっしょにやってきたデザイナーのウィリアム・ベーカー(オープンリー・ゲイの方)で、衣装製作はあのドルチェ&ガッバーナ(もちろんゲイ)、おまけにスタッフの方もたぶんゲイ(ステージの舞台裏を映したこちらのPVをご覧ください)。カイリーの魅力に取り憑かれたゲイたちが生み出したステージだったと言っても過言ではないと思います。
「まばゆいばかりのファッション・スペクタクル!桁違いの派手さと壮大さ、寛大さが共存する」「カイリーは正真正銘の女神だ」「息を呑むような、一生忘れられないショー」と各紙で絶賛された、奇跡のように美しく鳥肌モノなフィナーレを、心ゆくまでお楽しみください。
そして、この30日にはカイリー・ナイトが開催されます。DVDを観て再びカイリー熱が上がってきた方はぜひ、ArcHへお出かけください。
『アフロディーテ・レ・フォリ -ライヴ・イン・ロンドン-』
KYLIE / APHRODITE LES FOLIES LIVE IN LONDON
LIVE DVD+2CD(豪華3枚組)/全27曲収録/TOBW-3386/¥5,800(税込)
※日本盤のみ、ドキュメンタリー日本語字幕入り / 解説入り
INDEX
- 米史上初のゲイの大統領になるか?と騒がれた人物の素顔に迫る映画『ピート市長 〜未来の勝利宣言〜』
- 1920年代のベルリンに花開いたクィアの自由はどのように奪われたのか――映画『エルドラド: ナチスが憎んだ自由』
- クィアが「体感」できる名著『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ』
- LGBTQは登場しないものの素晴らしくキャムプだったガールズムービー『バービー』
- TORAJIRO 個展「UNDER THE BLUE SKY」
- ただのラブコメじゃない、現代の「夢」を見せてくれる感動のゲイ映画『赤と白とロイヤルブルー』
- 台湾映画界が世界に送る笑えて泣ける“同性冥婚”エンタメ映画『僕と幽霊が家族になった件』
- 生き直し、そして希望…今まで観たことのなかったゲイ・ブートキャンプ・ムービー『インスペクション ここで生きる』
- あらゆる方に読んでいただきたいトランスジェンダーに関する決定版的な入門書『トランスジェンダー入門』
- 世界をトリコにした名作LGBTQドラマの続編が配信開始! 『ハートストッパー』シーズン2
- 映画『CLOSE クロース』レビュー
- 映画『ローンサム』(レインボー・リール東京2023)
- 映画『ココモ・シティ』(レインボー・リール東京2023)
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- 映画『マット』(レインボー・リール東京2023)
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- 映画『孔雀』(レインボー・リール東京2023)
- クィアな若者がコスメ会社で働きながら人生を切り開いていくコメディドラマ『グラマラス』
- 愛という生地に美という金糸で刺繍を施したような、「心の名画」という抽斗に大切にしまっておきたい宝物のような映画『青いカフタンの仕立て屋』
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