REVIEW
映画『ザ・サークル』(TILGFF2015)
第24回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で観た作品のレビューをお届けしていきます。1本目は2014年ベルリン国際映画祭テディ賞(ドキュメンタリー部⾨)を受賞、2015年アカデミー賞外国語映画賞スイス代表作にも選ばれた『ザ・サークル』です。

第24回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で観た作品のレビューをお届けしていきます。『ザ・サークル』は2014年ベルリン国際映画祭テディ賞(ドキュメンタリー部⾨)受賞作、2015年アカデミー賞外国語映画賞スイス代表作品。事実は小説よりも奇なりと言いますが、本当にそんなことがあったの?と驚愕させられるような、暗い時代の物語と、激動を共に乗り越えたあるカップルの愛の物語がドキュドラマの手法で描かれた傑作でした。

『Der Kreis』(The Circleという意味)という1932年創業のゲイ雑誌の編集部、そこはまさに地下のアジト的な所でした。雑誌はスイスのみならず、世界各地で売れていました。『Der Kreis』は時に、800名もの人が集まる華やかなパーティも開催。裸の男性がGOGOではなく「人間絵画」としてマネキンのようにポーズをとっていたり、ドラァグクイーンによるドイツのキャバレー風の歌があったり。そこで人気を博していた歌姫ロビーに目を奪われたのが、新米のエルンスト(教師見習い)でした。エルンストはロビーが働く美容室に通うようになり、やがて二人はつきあうことに。
しかし、とあるゲイがらみの事件が起き、『Der Kreis』編集部は(全くの無実なのに)警察に目をつけられ、メディアのホモフォビアも災いして、事態は思わぬ方向に進んでいき…
『Der Kreis』の物語を再現したドラマの間に、当時を知る貴重な生き証人として現在のエルンストとロビーが登場してときどき語りを入れていきます(何十年もの時を経て、まだ二人はパートナーシップを続けています。スゴい!)。エルンストの表情から、事件がどれだけひどいものだったのかが伝わってきます。
激動の時代を生き延びた二人…ラストシーンには思わず、涙しました。
ロビー役の役者さんが、初めて見たエルンストが「あれは女性だろう?」と言うくらい、本当に美しいです。(実物のロビーさんも70を過ぎてあの美貌。推して知るべしです)
それから、ロビーのお母さんが女装する息子のために衣装を縫ってくれていたということに感動しました(あの時代に!)
ぜひ、観ていただきたい作品です。
<次回上映>
7/20(月)11:20~@スパイラルホール
INDEX
- CBC「ハートフルワールド」第22話「東京・新宿二丁目編」がなかなかよかったです
- アート展レポート:西村宏堂展「Cells - 細胞 -」
- かつてこんなにゲイゲイしいバレエがあったでしょうか…ベルリン国立バレエ『ヌレエフ』レビュー
- メキシコから届いたハッピーでキラキラなトランス・ドキュメンタリー映画『きっと青春大革命!カルラ8年の記録』
- 涙、涙の真実の物語:映画『シークレット・オブ・ミー』(レインボー・リール東京)
- バンパイアというマイノリティの悲哀と愛をクィアになぞらえて描いた異色作:映画『シレンシオ』(レインボー・リール東京)
- 奇想天外にしてノンジャンルな、まったく新しいクィア(ゲイ)映画『ユースフル・ゴースト』
- マレーシアで奮闘する人たちの姿を追った感動のドキュメンタリー映画『クィア・アズ・パンク』(レインボー・リール東京)
- 最高にパンクでエロティックなBruce LaBruce版『テオレマ』:映画『来訪者』(レインボー・リール東京)
- 恋する男子たちの姿に胸キュン…心に残る名作映画『せき止められた水』(レインボー・リール東京)
- ゲイの警官が主人公のセクシーなクライム・ラブストーリー『ボディ・ブロー』(レインボー・リール東京2026)
- 当事者でなければ作り得ない、トランスジェンダーのリアルに迫った傑作短編映画『トランジット・デイズ』
- アート展レポート:2人展 男たちの昼と夜
- 最高に素敵な国⺠的ドラァグクイーン“パンティ”の生き様を描いたドキュメンタリー映画『クイーン・オブ・アイルランド』
- アート展レポート:Queer Art Exhibition
- 日本のLGBTQの運動史が初めて一冊の本になりました:『LGBTヒストリーブック日本編 平等を求めて声をあげた人々の闘い』
- 日本初のプライドパレード開催、そして挫折…草創期のゲイリブを牽引したレジェンド・南定四郎さんの人生を追ったドキュメンタリー映画『熱狂をこえて』
- ゲイの青年のひと夏の冒険を描いたセックス絵巻:映画『ドランクヌードル』
- ファッションだけじゃない! リトル・モンスターはマスト! 女性とゲイに捧げられた奇跡の名作:映画『プラダを着た悪魔2』
- アート展レポート:テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート






