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ゲイ旅コラム:「世界最高峰のゲイリゾート」バルセロナ(2)街の魅力
6月末に開催されたバルセロナ・プライドをレポートします。パーティ会場のロケーションが素晴らしく、ラテンの国らしい陽気なお祭り感も最高で、本当に楽しい「フィエスタ」でした。併せて、世界有数の観光地であるバルセロナの街の魅力や、「欧州の夏のゲイの首都」とも称されるゲイシーンの充実度、おまけで「欧州一のゲイリゾート」シッチェスの様子もレポートします。
バルセロナはそもそもがガウディの建築群(世界遺産)をはじめ、街中いたるところに歴史的建造物や美しい建物がたくさんあり、観光だけでも最高級の街なのですが、同時に「欧州の夏のゲイの首都」とも称されるほどゲイシーンが発展している、自由で、オシャレで、楽しい街でもあります。ビーチもあります。料理も美味しいです。たとえプライドシーズンでなくても、いつ行っても楽しめると思います。バルセロナ旅行記の第2弾は、バルセロナの街とゲイシーンの魅力です。(後藤純一)
バルセロナのゲイシーン
~誰もが世界平和の親善大使~
毎晩プライド関連イベントも開催されていましたし、なかなか夜の街を巡る(ビューティパトロールする)時間が取れなかったのですが、がんばって見て回った範囲でバルセロナのゲイシーンについてお伝えしたいと思います。
お店でもらったゲイガイドによると、バルセロナには、ゲイバーが16軒、ゲイクラブが8軒、クルージングバーが3軒、ヤリ部屋が1軒、サウナが6軒、SEX SHOPが4軒、ウェアなどのショップが20軒、ゲイホテルが6軒あります(ガイドに載ってないところもあるようなので、実際はもっと多いです)。人口160万人の街としては、非常にゲイシーンが発達していると言えます。
そんな充実したゲイシーンが世界中のゲイ旅行客を引き寄せているのか、ツーリストが多いからゲイ産業が発展するのか、卵が先か鶏が先かわかりませんが、バルセロナは(となりのシッチェスも含めて)「欧州の夏のゲイの首都」と称されるくらい人気の旅行先であり、おそらく世界的に見てもトップクラスの「ゲイの楽園」の一つだと思います。
バルセロナのゲイエリアは「Gayxample(ゲイシャンプラ)」と称されています。Eixample(アシャンプラ)という地区にショップやゲイバーやクルージングスポットが点在していて、この地名をもじって通称名として「ゲイシャンプラ」と言われているのです。ゲイエリアといっても、二丁目のような雰囲気では全くなく、パッと見では他のエリアと区別がつきません。派手な看板の類がなく、建物の外観がすっきりしたままになっているのと、みなさんそれぞれのお店の中で楽しんでいて通りにあふれて騒いだりしないので、印象が違うんだと思います。
日本と少し似てるなあと思ったのは、ゲイバーです。クラブではなく、店が比較的狭くて、バーカウンターの前に椅子が並べられてて、ゆったり座りながら会話を楽しむような感じのお店が結構ありました。英語が達者な方は、こういうお店も楽しめるかもしれません(スペインの方はちゃんと英語を話してくれます)。もしかしたら出会いもあるかもしれません。
それから、こういうのは日本で味わえないのでぜひ行ってみていただきたいと思うのは、パレードでフロートに乗せてくれた高級ゲイ専用ホテル「AXEL(アクセル)」のルーフトップ・パーティです。プールもあり、夜景を眺めながら楽しめる、素敵な屋上でのパーティ。DQやGOGOの方もいました。DJの音に酔いしれながら、美しい夜景を眺めながら、夜風に吹かれながら、美味しいカクテルを飲みながら(「レインボー」という名前のカクテルもありました)、リッチでキモチよくてステキな時間を過ごせました。
海外に行った際はたいてい、ゲイサウナをチェックするようにしているのですが(言葉が通じなくても楽しめますし、もしかしたら、そこで運命的な出会いがあって、将来は海外で同性婚、みたいなこともありえるわけですから、ゲイ旅としてはサウナは最重要ベニューだと思います)、今回は時間がなくて、1軒だけ「Sauna Gay Condal」というところに行ってみました(ホテルから近かったので)。木曜の深夜だったせいか、人はまばらで、年配の方がほとんどでした(見た目ペドロ・アルモドバルみたいな全裸のおじさんが堂々と白い○を吸っていたのは、ビックリでした…)。店の造りもよくある普通な感じで、いちおうジャグジーや、バーカウンターもありました。もしかしたら土曜の夜辺りは盛り上がってるのかもしれませんが、思ったよりシャビーな感じでした。
さて、ここからが自信を持ってオススメできるジャンル、バルセロナに行ったらぜひ行くべき!なスポットです。
それは、クルージングバー(現地のゲイガイドの表記だと「Fetish Bar」)です。バーカウンターがあって、椅子に座って店員としゃべったりしながらお酒を飲んだりもできるのですが、それよりなにより、店の奥が広めのバックルームというかクルージングゾーンになっていて、あんなことやこんなことが繰り広げられているというタイプのお店です。ポイントは、日本と違ってclothing-optionalなので、完全にNakedな方が非常に多いということ(結構イケてる方とかもカジュアルに)。ただ座って眺めてるだけでも楽しいです。そして、みなさんたいへんオープンマインドで(お店の名前も「Open Mind」だったりします)、Nice to meet you!ってな感じで「握手」したりとかも全然平気ですし、なんならそこから交流がいろいろ始まったりしますし、そういうことをしながらふつうに「どっから来たの?」とか会話を始める方もいますし、そこに混ざってくる方もいたりして、素晴らしく自由で、解放的で、癒される「世界平和空間」でした。長年探し求めていた「地上の楽園」をついに発見したぞ!というコロンブスのような気持ちになりました(スペインだけに)。そして、たぶん全世界から集まって来てると思うのですが、体型も年代も民族も様々で、アジア人でも全く問題にならないどころか、結構モテるんじゃないかと思いました(サムソン高橋さんが『世界一周ホモの旅 祭』で、バルセロナで素敵なクマさんに出会い、家に招かれ、好きなだけいていいよと言ってもらえた(プロポーズ!?)というエピソードがありましたが、わかる気がします。バルセロナってそういうところなんだと思います)
そういうタイプのお店は数軒あり、もし本格的なBDSMを楽しみたいなら「BERLIN DARK」というお店に行くべきですし、TWINK系(若くてスリムなタイプ)が好きな方は「boyberry」や「NIGHT」というお店がいいようです。今回行ったなかでは「Open Mind」というお店がベストだと思いました。
Open Mind Barcelona
Carrer d'Aragó, 130, 08011 Barcelona
入場料:約20ユーロ(1ドリンク付き)
バルセロナの街の魅力
~歴史と文化と芸術の圧倒的な厚み~
高々とそびえ立ち、遠くからも見えるサグラダ・ファミリア(世界遺産)は、もはや説明不要で当然見るべきですが、ガウディの作品としても有名ですし、コミュニティのシンボルともなっていて(プライドシーズンには、その白壁がレインボーカラーにライトアップされます)、ぜひ内部もご覧になってほしいと思うのが、カーサ・バトリョ(世界遺産)です。バトリョさんという実業家の邸宅を増改築したものなのですが、窓のファサードがまるで謝肉祭の仮面のように見えたり、屋根にはアルルカンの帽子のような突起物がニョキニョキ生えていたり、中に入っても曲線だらけで、まるで地中海の海の中にいるような錯覚を覚える部屋があったり、細かなタイルがドラゴンの鱗のように全体を覆っていたり、めまいを覚えそうな、他に類を見ない、すべてが「素敵」「かわいい」と言いたくなる建物です。カーサ・バトリョでガウディ建築に触れて、この人、絶対ゲイだ…と思いました。史実としては、ゲイだったかどうかは明らかになっていないようですが(生涯独身だったそうです)、作品に接すると、ゲイとしか思えません。ぜひ見てみてください。
動物園やカタルーニャ自治州議会議事堂があるシウタデリャ公園。1888年にはバルセロナ万博の会場ともなっていたその公園の真ん中に、思わず「きゃー素敵!」「豪華!」と声をあげてしまいそうになる、壮麗な泉(噴水)があります。メインのパビリオンの上には馬車を駆るギリシャ神話の女神が金色に輝き、泉には水を吐く4匹のドラゴンが配置され(1匹ずつ微妙に表情が異なっています)、デコラティブの極致。たくさんのゲイカップルがそこで記念写真を撮っていました。この噴水、学生時代のガウディが設計に参加して、この仕事ぶりが評価され、建築家として世に認められていくきっかけとなったそうです。
ちなみにシウタデリャ公園には、ティッレス通りから入ってすぐのところに、ピンクで縁取られた三角形のモニュメントがあり、「歴史を通じて迫害や弾圧に苦しめられてきたLGBTを偲んで。バルセロナ、2011」と書かれています。これは2011年に当時の市長さんが建立したものだそうで、モンジュイック(ユダヤの山、という意味)の石を使って制作されたそうです(言うまでもなく、ユダヤ人もゲイも、ともにナチスによって虐殺されるという悲劇を共有しています)。ここにピンクトライアングルのモニュメントが作られることになったのは、この公園の中で1991年に、Sonia Rescalvoというトランス女性がスキンヘッドのグループに撲殺される事件が起こったことがきっかけだそうです。噴水の近くの東屋には、そのヘイトクライムのことが書かれた案内板が建っています。
マリア・クリスティナ大通りの奥の高い丘(モンジュイックの丘)の上に神々しく鎮座ましましている宮殿のような建物が、MNAC(カタルーニャ美術館)です。エスカレーターで途中まで登ることができますので、ぜひ登ってみていただきたいのですが、ここから見下ろすバルセロナの街の風景が、最&高!です。その名も「マジカ」という巨大な噴水のところに到着した時点で「わーキレイ!」と思うのですが、さらに上がって、美術館に入ってエレベーターで最上階まで登ると、さらにさらに素晴らしい絶景が眼前に広がります。風も吹いてきたりして、本当に気持ちいいです。このカタルーニャ美術館は1929年、バルセロナ万国博覧会のために建てられたパラウ・ナシオナルという建物を改築したものだそうで、中世から20世紀までのカタルーニャ美術を中心としたコレクションが展示されています。昔の教会の壁などに描かれていた絵が複製として展示されていたりするのですが、イスタンブールのアヤソフィアと通じるものもあって(大天使の羽に目がたくさん描かれていたり)、たいへん興味深かったです。もちろん中は涼しいですし、荷物をロッカーに預けたりもできて、快適に過ごせます。
その他、街の風景をランダムにお伝えします。
バルセロナのレストラン
~なんでもデリシオーソ!~
スペイン料理のイメージといえば、パエリャとかサングリアですよね。イタリアに近いのかな、とか。
大丈夫、何も心配することはありません。何でも美味しいです。
今回初めて食べたのは、パンににんにくと完熟トマトを塗り、オリーブオイルと塩をふりかけたトマトトースト。ちょっと酸味があって、新鮮な味わいでした。ハモン(ハム)などのタパス(小皿料理)をのっけて食べてもGOODです。
特に美味しいと思ったのは、魚介のコロッケやカラマリ(イカフライ)、イベリコ豚のハモンです。油ものばっかり…と思われるかもしれませんが、オリーブオイルなので、意外と胸焼け感はないです。
ピンチョスと呼ばれる、小さなパンの上にちょっとした料理をのせて串で刺した軽食なども、パーティにはぴったりな感じで、よかったです。
バルセロナは港町ですから、やはり新鮮な魚介、シーフードをぜひ味わっていただきたいと思います。例えば、市内からちょっと足を伸ばして港まで行くと、ヨットハーバーの横にレストラン街があり、海を眺めながら美味しいシーフードを召し上がっていただけます。
ちなみにスペイン語で「美味しい」は「リコ」「ブエノ」「デリシオーソ」です。「ごちそうさま」(とか、ありがとうと言う場面全般)は「グラシアス」です。
スペインのご飯は、料理自体というよりも、食事の時間帯(というか生活のサイクル)のほうに特徴があると思います。ランチが13時半~(へたすると15時くらいまで食べちゃう)で、シエスタをはさんだりして、ディナーは21時~とかです。真夜中に食べてる人たちも珍しくありません。なので、早寝早起き・健康生活な方は調子が狂っちゃうかも、です。
それと、これはスペインに限った話ではないかもしれませんが、しゃべりながら飲みながらゆっくり食事を楽しむ文化なので、一人で行ってサクッと食事を済ませたい、という場合、お店を選びます。レストランではなくバル(つまみながら飲む感じのカウンターのお店)だったり、あまり見かけないですがバーガーキングみたいなファストフードのお店を探すか、という感じです。
夜中に小腹が空いたら、SuperMarketという名のコンビニに立ち寄るといいと思います(日本ほどたくさんあるわけじゃないですけど…)
今回行ったレストランを簡単にご紹介します。いずれもゲイフレンドリーだと思います。(写真があまり美味しそうじゃなかったり、食べかけだったりして、すみません…。食べるのに夢中になって、ついつい写真がおろそかに…)
BEAM
BEAM
Calle Diputacion, 200, 08011 Barcelona
CASA JAIME
カラマリのフリッターや魚介のクロケット、ハモンなど定番の料理をいただきました。メインはビーフ。サングリアがとても合います。こちらもゲイシャンプラにあって、朝9時から夜中の12時まで(週末は2時まで)開いてるので、ランチにもディナーにもご利用いただけます。
CASA JAIME
Carrer del Consell de Cent, 222, 08011 Barcelona
MUSSOL ARENAS
バルセロナ・アリーナ(ショッピングモール。闘牛場みたいな形)の展望エリアにあるレストラン・チェーンのお店です。とてもビックリしたのは、日本語のメニューがあったことです。料理はふつうに美味しかったです。場所柄、とても混んでいて、入場待ちになったりしますので、Webサイトから予約を入れたほうがいいかもしれません。
MUSSOL ARENAS
Gran Via de les Corts Catalanes, 373-385, 08015 Barcelona
El Cangrejo Loco
オリンピックの際にできたヨットハーバーにある有名レストランで、フアン・カルロス国王陛下とソフィア王妃陛下をはじめ、英国アン王女ら皇族の方々や、IOCのサマランチ会長など、数々の著名人が訪れているそうです。お値段は張りますが、海を眺めながら、贅沢な気分を味わってみてはいかがでしょうか。
El Cangrejo Loco
Port Olímpic, 30, Moll de Gregal, 29, 08005 Barcelona
バルセロナのホテル
~4つ星でもリーズナブル~
バルセロナは人口の20倍の観光客が訪れる街ですから、当然のようにたくさんのホテルがあります。さすがにいろんなホテルに泊まってみるというのは難しいのですが、2軒だけご紹介します。
Iberostar Paseo de Gracia
Iberostar Paseo de Gracia
Plaça de Catalunya, 10, 08002 Barcelona
Axel Hotel
Axel Hotel Barcelona & Urban Spa
Carrer d'Aribau, 33, 08011 Barcelona
バルセロナへのフライト
~おすすめはターキッシュエアライン~
そこで、キャセイパシフィック航空(香港経由)、KLMオランダ航空(アムステルダム経由)などを利用することになるのですが、今回も幸いなことに、ターキッシュエアライン(イスタンブール経由)で行けました。
ターキッシュエアライン、昨年もイスタンブールに行った際、乗らせていただきましたが、2011年から6年連続で「ベストエアラインヨーロッパ」を受賞している超優良航空会社で、機内食の美味しさは世界一と言われています(本当に美味しいです。チーズサンドやおにぎりなどの夜食ももらえます。シェフの方が機内を歩いてたりします)。サービスも良いと思います。機内で視聴できる映画も、わりと充実してて、日本未公開な作品(今回は『グッバイ・クリストファー・ロビン』『フェルディナンド』を観ました。『フェルディナンド』は子ども向けアニメではありますが、ボロボロ泣きました。これってゲイの話なのでは…と思います。日本でも公開してほしい)や、観たいと思っててまだだった作品(『ブラックパンサー』とか)も日本語版で視聴できました。お得感。ありがたみ…。
イスタンブールに到着。トランジットに3時間ほど要したのですが、カフェやフードコートもありますし、トルコ名物・のびるアイスも食べれますし、喫煙所も利用できますし、全く苦痛ではありませんでした(クマ系のトルコ人がわんさかいるので、行き交う人々を眺めているだけで夢見心地でした)。もしあなたがスターアライアンスのゴールドメンバーなら、世界一ゴージャスとも言われるラウンジを利用できます。ストップオーバーして1日イスタンブールを楽しむのもアリだと思います。
さて、イスタンブールから同じターキッシュエアラインでバルセロナへ向かいます。数時間のフライトですが、国際線ですので、再び機内食が出てきました。そして、朝7時頃に出発して10時頃着の便だったのですが、窓際の席だったため、トルコ~ギリシャ~イタリア~サルディーニャ島~のパノラマを眺めることができて、ちょっと感激でした。とてもよかったです。
☆バルセロナのフォトアルバムはこちら
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