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ゲイ旅コラム:WORLD PRIDE NYC(6)プライドマーチ
街中がレインボーカラーに彩られ、世界中から集まった400万人がストーンウォール50周年を祝った2019年のWORLD PRIDE in ニューヨークを体験する旅。6日目(6/30日曜)は、メインイベントであるプライドマーチが盛大に行われ、チームJAPANも歴史的なパレードに参加しました。
ストーンウォール50周年を記念して初めてワールド・プライド(世界的なLGBTの祭典)として開催されたニューヨーク・プライド。この機会を逃すときっと後悔する、行くなら今だ!という思いで、半年以上前から準備をして、約1週間ほどニューヨークに行って来ました。6月30日(日)にはメインイベントであるNYCプライドマーチが盛大に開催されました。東京レインボープライド(以下TRP)もこの歴史的なパレードにフロートを出して参加し、(全体のフロートの数が多すぎて夜遅くなりましたが)チームJAPANの約50名ほどの方々が、夜のニューヨークの街を誇り高く、楽しく行進しました。(後藤純一)
NYCプライドマーチ
「世界がニューヨークにやって来る ーSTONEWALL50 WORLD PRIDE NYCー」でもお伝えしましたが、1969年6月28日のストーンウォール暴動がブレイクスルーとなってゲイ解放運動の波が世界中に広がった(PRIDEが始まった)、その日から数えて50年という節目を迎える今年、主に欧州で開催されてきたWORLD PRIDE(世界レベルでLGBTの課題をプロモートするビッグな祭典)が初めてアメリカに渡り、世界的にストーンウォール50周年をセレブレートすることになりました。
もともとNYCプライドは100万人超を動員する世界最大級のプライドでしたが、今年は特別な50周年イヤーのWORLD PRIDEということで、世界中から300万人くらい集まるのではないかと予測され、本当にスゴいことになると、特別な盛り上がりになると期待されていました(フタを開けてみれば、400万人もの人々が集まったそうです)
そうして、歴史的なパレードをひと目見ようと数百万人の人々が押しかけ、沿道を埋め尽くすなか、2019年6月30日の正午にプライドマーチがスタートしました。
この記事では、沿道で見ていた数時間の感想と、TRPフロートでパレードに参加した思い出について、お伝えします。
なお、この日は、僕自身は体験していないのですが、あまりにも商業化されたパレードに異を唱える方たちが「パレードの原点に立ち返ろう」という趣旨で、ストーンウォール・インから出発する数千人規模の「クィア・リベレーション・マーチ」を行いました。
また、こちらも残念ながらチケットが取れなかったのですが(それ以前にパレードと重なっていたのですが)、PRIDE ISLANDというライブイベントにマドンナが出演し、世界的なニュースになりました。マドンナは『Vogue』と『American Life』、それにニュー・アルバムから『God Control』と『I Rise』を披露し、警官の制服を着たバックダンサーたちとともに銃規制を訴えました。MCでは「50年のレボリューション。50年の自由への闘い。50年の差別や憎悪や無視との闘い。この歴史的なイベントをみんなと一緒に祝えることを心から誇りに思う。50年よ? 信じられる?」「私がNYに出てきてからずっと支えてくれたのはクィア・ピープルだった。私はいつもアウトサイダーだと感じてきたけど、みんなのおかげで、仲間に入れてもらえたと感じた。LGBTQコミュニティのみんなをどれだけ愛し、感謝しているか、知ってほしい」と語りました。
沿道で見て感じた「PRIDE」
13時過ぎ、チェルシーの外れにあるホテルを出て、7番街へと向かいました。正午に5番街(ユニオンスクエア付近)を出発したパレードの先頭が到着する頃です。道には派手なレインボーカラーで着飾った人たちが連れ立って歩いていて、ワクワク感が伝わってきます。
14thストリート駅近くのデリ(コンビニみたいな店)でサンドイッチと飲み物を買って、7番街14thストリートに到着。ここが多分、パレードの出発地点とグリニッジ・ビレッジの次くらいに盛り上がるスポットなのではないかと思いました。それに、トイレに行きたくなったり何かあったらホテルに戻れる場所でもあります。
すでに、パレードの先頭の方だと思われるフロートがやって来ていて、大量の紙吹雪を噴射し、街に大歓声が上がっていました。一気にボルテージが上がります。ストーンウォール50周年の歴史的なパレードを一目見ようという人たちがたくさん集まっていたのですが、交差点に少しでも近いところに行こうと思い、ジリジリと移動し、なんとか写真が撮れそうなポジションにつくことができました。
フロートは(完全に道路を通行止にしてパレードをやっているので、東京ほど間隔が開かず)次々にやって来ます。ニューヨーク州選出の上院議員、ニューヨーク州司法長官レティーシャ・ジェームズ、下院議員、州議会議員、ビルデブラシオ市長、ニューヨーク市議会の議長、そして、ヴァネッサ・ウィリアムズなどなど。派手めなトラックに何十人も人が乗ってイェイイェイ盛り上がる企業系フロートもたくさんありました。
周囲の人たちのリアクションを見てると、例えば、LGBTQユースの自殺防止のための24時間ホットラインを長年運営してきた「トレヴァー・プロジェクト」のようなフロートに対して、まるでコンサートのスタンディング・オベーションのように惜しみない拍手や歓声が贈られていて、議員の方などに対しても同様で、ずっとそんなハイテンションな感じで盛り上がっているのがスゴくて、「PRIDE」ということを再認識せざるをえませんでした。LGBTQコミュニティのために尽力してきた活動家や政治家にこそ、敬意を表したり、賞賛したりする、しかも全力で拍手喝采するのです。僕らのためにいいことをしてくれてありがとう、差別と闘ってくれてありがとう、という感謝の気持ちを込めて。
パレードというのは性の多様性の祝福であり、LGBTQのビジビリティの向上や社会的地位の向上を企図して行われる晴れやかで平和的なデモ行進、そしてコミュニティの祝祭であるというのが日本のパレードでしたが、ニューヨークのパレードは、フロートで歩く人たちも沿道の人たちも一緒になって「PRIDE」を全身で表現する、「We are here, we are queer!」の思いが大きなうねりとなって街に響き渡っているような感じを受けました。
パレードに参加するフロートは、結構な登録料を払っています。なので、自分で登録料を払ってまでも歩きたいと思った方か、運よく登録した企業の社員だった方たちなどが、陽の当たる大通りを歩けるわけですが、そうでない人たちは沿道で指をくわえて見ているというわけではなく、それぞれにレインボーカラーやピンクの衣装を着たり、体にラメを塗りたくったり、頭にツノをつけてユニコーンになったり、そこまでいかなくても、お祭り的な装いで、あるいはフラッグを持って、一目でそれとわかる格好で「参加」していました(それがPRIDEでなんだと思いました)。我々が地元のお祭りに浴衣を着ていくようなものです。逆にそういう格好をせずに(僕のような)髭面の男が普段着で不動で立ってたら、アンチ同性愛の不審者と思われるかもしれません。これでもかとキラキラでカラフルな格好をしてクィアに振る舞うのが正しいスタイルなのだと学びました。
★パレードのフォトアルバムはこちら
チームJAPANでパレードに参加しました
15時半にはその場を離れ(人ごみのなか、身動きとれず、暑かったし、トイレにも行きたかったし、割と限界でした)、ホテルに戻って、夜は寒いかもしれないと思ってピンクの長袖シャツ(もう10年以上前からパレードの時に着てたもの)を羽織り、再びホテルを出て、17時過ぎにTRPフロートの集合場所(30thストリート、マジソン・アベニューとパーク・アベニューの間)に到着しました。日本から来たたくさんの方が大集合していて、え?ここは本当にニューヨークなの?みたいな、こんなにたくさん来てたの?みたいな感じでした。レスリー・キーさんも見かけましたし、長谷部健渋谷区長の姿もありました(フロートに登録した方は約250名に上ったそうです)
出発を待つ間、いろんな人とお話しました。元々の友人・知人だけでなく、お坊さんが来られていたので(ちょっとかわいかったので)とても気になったので聞いてみると、なんと昨年の盛岡のパレードの主催者の友人(アライ)で、LGBT支援に関わりはじめていろいろやっているうちにここまで来てしまった、とのことでした(頭が下がります)
予定では18時には出発するはずだったのですが、どうやら大幅に遅れそうだ、とのことでした。そこで、何かお腹に入れておきたいと思い、お友達と近くを散策し、開いてる店に入りました。レストランではなかったのですが、スナックとジュースを買って、しばらくゆっくりできました。
19時頃に戻りましたが、まだ出発する気配がありません。時々パレードのスタッフの方がやって来て、状況を説明したりしてくれています。20時になり、21時になり…。同じ一角で待機している別のフロートの方が、音楽をかけてストリートで踊りはじめて、「やる気あり美」のみなさんが一緒に踊ったりして、素敵でした。
噂で、警察に申請している道路の使用許可が22時までなので、22時以降はパレードができないという話が回ってきて、そんな…と、せっかくニューヨークまで来たのに参加できないなんて…と悲しい気持ちになりました(もしかしたらそれであきらめて帰った方もいたかもしれません。この頃にはもう、だいぶ人が減ってました…)。しかし、道路の使用許可が延長された、大丈夫だ、というお話をTRPの方から聞いて、希望を持ちました。
そうして、22時過ぎ、ようやく、TRPフロートが動きはじめ、5番街に向けて少しずつ移動をはじめました。5番街に到着し、出発地点であるユニオンスクエア付近に向けて歩みを進めて行くと、我らがHOSSYさんを乗せたダブルデッカー・バスが合流し、わーっと歓声が上がりました。パレードがスタートすると、待ってましたとばかりに、気分が高揚し、皆さん、笑顔で歩いてました。
足が痛かったこともあり、バスに乗せていただいたのですが、DJさんがクラブミュージックをかけて(途中でPerfumeとかJ-POPの時間もあって、アガりました)、ずっとニューヨークから日本にLGBTの最前線のことを伝えてくれた北丸雄二さんが英語でMCをして、桜吹雪が舞い、シャボン玉が飛んで、TRPやプライドハウスの旗が振られ、先頭に着物イメージのゴージャスなHOSSYさんが立って、沿道の人たちにアピールしていました。後ろの方にはブルボンヌさんと阿部知代さん(TRPの司会のお二人)もいらっしゃいました。5番街からクリストファー・ストリートに入ると、たくさんの方たちが路上にいて、手を振ってくれる人たちもたくさんいました。そして「ストーンウォール・イン」の前を通り、7番街へと曲がり、28thストリート辺りで終点となりました。最後に共同代表の杉山さんと山縣さんからご挨拶があり、一本締めで解散となりました。
ヤキモキしながら長時間待って、夜中になってしまったパレードですが、たとえ沿道の人たちが少なくても、みんなで一緒に「PRIDEが始まった」場所であるニューヨークをパレードすることが大事だし、楽しいし、ハッピープライドなんだ、エンパイアステートビルだってレインボーカラーに輝いてるじゃないか、というみんなの気持ちがあふれるような、素敵な時間でした。TRPではみなさん大忙しで、それぞれの持ち場で働いたりしているわけですが、今は一緒に歩き、ニューヨークの人たちに手を振っている、こんな遅い時間まで沿道に残ってくれてる人たちが笑顔で手を振り返してくれる(やさしい世界)、彼らが当事者なのかアライなのか、ニューヨーカーなのかそうでないのか、そんなことは関係なく、このストーンウォール50周年を記念するワールドプライドのパレードを、レインボーフラッグを振って、ハッピープライド!と言って、一緒に祝福している、そのことだけで、気持ちが通じ合えたような気がするし、感慨もひとしおでした。間違いなく、一生の思い出です(フロートを出してくださったTRPのみなさんに感謝!です)
パレードが終わった後、近くのバーで打ち上げが行われました(その前に、デリでステーキサンドを食べたのですが、焼いてくれてるおじさんが日本で働いてた時代があるとか気さくに話しかけてくれて、うれしかったです)
INDEX
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