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「至高のゲイ体験」Atlantisクルーズ(4)泣けるほどハッピーなパーティと「ゲイのワンダーランド」

Atlantisゲイクルーズ4日目のレポートです。第2の寄港地マザトラン、泣けるほどハッピーな青空ディスコ、本格的なディナー、そしてSEXYモード全開なクラブパーティ…感動と興奮が頂点に達した日でした。

「至高のゲイ体験」Atlantisクルーズ(4)泣けるほどハッピーなパーティと「ゲイのワンダーランド」

美しいリゾート地・マザトラン

 夢のAtlantisクルーズ4日目のレポートです。
 朝になると、窓の外にまた新しい陸地が見えました(気分はコロンブス?)。大自然が作った奇蹟という勝地という趣のカボ・サン・ルカスよりももう少し「街」な感じで、でも木々の緑と家々の赤い屋根のコントラストが美しい、第2の寄港地・マザトランです。
 またみんなでブランチを食べて(初めておかゆが出ました。なかなか美味しかったです)、今日の予定を話しあいました。メキシコ太平洋岸最大の商港都市マザトランには歴史的建造物もたくさんあって、そうした観光地をめぐるオプショナル・ツアーもあるそうですが、昨夜の疲れも残ってるし、今日もいろんなパーティがあるので、僕らはサクっとビーチを見て早めに帰ることに決めました。


今日は船が港に横付けされていて、デッキを降りるとすぐ港でした。今回はガウンを着たドラァグクイーンたちが優雅に見送ってくれました(笑)
 港からターミナルまでシャトル(トロリー)で移動します。ターミナルからタクシーに乗り、ビーチ沿いにホテルやショップが建ち並ぶというゴールデンゾーンの街へ向かいました。途中、メキシコらしいカラフルな建物や、貧しさの中にも家族の息づかいを感じる家々(洗濯物が干してあったり)、そしてアートな彫刻が並ぶ海岸線などを眺めながら、ゴールデンゾーンに到着しました。
 おそらくこの街の特産品なのでしょう、ダイヤモンドを販売するお店へと通されました。あまり興味がないのでふつうにスルーしたのですが、入口にレインボーカラーの装飾が施されていて素敵でした(ゲイのみなさんを歓迎します、という意味ですね)。それから、おみやげ屋でカラフルなバッグ(そっちのほうが興味津々でした)を見たりしながら少し歩くと、ビーチに到着しました。
 青い海と空、長く続く砂浜が美しいビーチでは、デッキチェアで日焼けする人たちだけでなく、パラセーリングで空高く飛んでる人たちもいて、マリン・スポーツのメッカなのかな?と思いました。あとでビーチに馬(馬車とかじゃなく、乗馬用の馬です)もやってきて、ちょっとビックリしました。
 僕らは海には入らず(みんな美白派なのです)、日差しを避けて、ビーチサイドのホテルのカフェへ行きました。トロピカルドリンクやナチョスをオーダーし、しばらくビーチを眺めながらおしゃべり。なかなか心地よい時間でした。


またタクシーに乗ってターミナルに戻り、おみやげ屋の辺りをぶらぶら歩いていると、オープンカフェで昨日会ったオースティン(日本語がしゃべれるアメリカ人)の一団に遭遇。「いっしょに飲もうよ」と誘われて、まぜてもらうことにしました。
 オースティンはソルトレークシティ在住で、日本にも数年、住んでたそうです。背が高いマッチョなイケメンで、僕らの間では「カッコいいね」と評判でした。オースティンの彼氏さん(クマ系)と、お友達カップル(50代くらい? すごく優しい方たちです)も、とてもウェルカムな感じで、気さくに仲良くしてくれました。 
 お店では、ソンブレロをかぶったおじさんにテキーラを注文すると、口に入れたあと頭をグラグラ振って陽気に盛り上げてくれました(セイタさんは3杯くらい飲んでました)。僕はチャレンジする勇気がなかったので、真っ赤なテキーラ・ゼリーをいただきました(でも、しっかりお酒が…)。それと、コーラの缶を手の平にピタっと貼りつけて落とさずに注ぐというスゴい技を見せてくれる方もいて、DJのお兄さんも(たぶんアダルトなゲイのグループだからということで)ダンスクラシックをかけてくれたりして、昼下がりの楽しいひとときを過ごすことができました。

 

夕空の下のダンス・クラシック・パーティ





 船に戻り、午後5時から屋上のデッキで行われた「クラシック・ディスコ・Tダンス」に参加しました。Tea Dance(Tダンス)とは、午後~夕方に行われる屋外のパーティのことで、2日目の「DOG TAG」などもTダンスでした。明るいうちからスタートし、サンセットを眺めながら楽しむTダンスには格別の開放感があります。

 「クラシック・ディスコ・Tダンス」では、ミリタリーやレザーなどのSEXYな(でもちょっと物々しい)コスプレとは対照的に、巨大なアフロやレインボーカラー、けばけばしいゴールド、今ではとてもお目にかかれないような70年代ファッションなどがあふれ返り、40代以上の方たちを中心に「青空ディスコ」をめいいっぱい楽しんでいました。

 もちろん、カップルで抱き合ったり、友達どうしでバカ騒ぎしたりというのは同じなのですが、夜に行われるSEXYな雰囲気のパーティとはまたぜんぜん違う、素晴らしくハッピーな雰囲気でした。たぶんですが、ふだん絶対しないような「恥ずかしめ」「ダサめ」な格好を一種の「ネタ」として楽しむ、「人目も気にせずバカやっちゃおう!」的なノリがありました。

 そして、ダイアナ・ロスの『The Boss』やダン・ハートマンの『‪Relight My Fire‬』、スリー・ディグリーズの『When will I see you again(天使のささやき)』など、往年の名曲・ゲイアンセムの数々が惜しげもなく次々にプレイされ、ディーヴァになった気分で踊ったり、みんなで合唱したり、胸がキュンキュンするような選曲でした。

 世界中から集まったゲイたちが、ちょっとダサい格好で、自分を解放しながら、夕暮れの空の下、あのハッピーだった時代の懐かしい曲で心から楽しそうに踊っていて(でも、そうやって同時代を過ごした仲間の中には、もう二度と会えない人もいたりして)…そして、ご高齢の車いすの方もプールサイドに来て、自分では踊れないけど、パーティの様子を見ながら幸せそうにほほえんでいたりして…そうしたすべてに、言いようのない感動を覚え、思わず涙があふれてきました。たぶん社長も同じ思いを抱いていたのでしょう、目にうっすらと涙を浮かべていました。

 僕的には、このパーティが、1週間のクルーズの中でも最も素晴らしいと感じた「プレシャス・モーメント」でした。「このパーティの素晴らしさを味わってもらうために、いつか必ずダンナを連れて来たい」と心から思いました。

 

ゴージャスなディナーと「ゲイ・ワンダーランド」


 感涙ものの「クラシック・ディスコ・Tダンス」も幕を閉じ、ディナーの時間となりました。
 無料で食べ放題のビュッフェもそろそろ食べ飽きてきた頃、日本語が得意な中国系アメリカ人の方にお誘いいただいたこともあり、有料のレストランでディナーを体験してみることにしました。
 クルーズの館内には、無料で食べ放題なビュッフェとディナー・ホールのほかに「Portfolio & Chops」と「Johnny Rockets」という別料金のレストランが2カ所、用意されているのです。
 誘ってくれた方は、過去に日本人女性と結婚していたそうで、今はLA在住で彼氏さんと幸せに…といった話をしてくれました。彼氏さんはネイティブのアメリカ人で、とてもハンサムでダンディな方でした。
 さすが有料のレストランだけあって、混雑せず(ディナー・ホールだと相席になるのです)、ウェイターの方も一流の丁寧な応対で、出てきた食事(もちろんフルコース)も高級感あふれるものでした。ワインを頼み、前菜を全種類頼んでみんなでシェアしていただき、メインにはステーキをオーダーしました。それでチップも入れて43ドルでしたので、決して高いとは感じませんでした。


 ワインがきいたのか、部屋に帰って(今晩ベッドの上にいたのは、くちばしの長い「鳥」でした)、ちょっと仮眠を…と思ったらまた爆睡してしまい…夜中に起きだして「パーティに行かなきゃ」と外に出たら、偶然コウくんに会い、「もうパーティは終わりかけだよ」と言われて、ひどくビックリしました。まだ1時過ぎだと思っていたら、実は3時を回っていたのです(マザトランはLAとは時差が2時間あるのです)。ねぼけていたせいかもしれませんが、今何時なのか、そして今日は何曜日なのかもわからなくなっていることに、不思議な感覚を覚えました。

 そんな不思議な気持ちのまま、屋上のデッキに足を運ぶと、『不思議の国のアリス』をテーマにした「Through the Looking Glass」というパーティが繰り広げられていました。デコレーションがチェシャ猫だったり、レーザーもバンバン使われていて、かなり力の入ったゴージャスな雰囲気でした。あとで写真を見ると、マッド・ハッターのコスプレをした人やアリス女装の人なども参加していたことがわかりました(脱帽って感じです)

 でも、すっかり遅くなったせいか、僕が行った頃には、パーティのテーマとか関係なく、ほぼ全員がパンツ一丁で、けっこうエロモード入ってました。抱き合ってキスしながら踊ってる2人が手を取り合ってどこかに消えて行くという光景があちこちで繰り広げられ…そうか、お部屋にお持ち帰りしてるのか、と気づきました。昼間には「ここってダークルームとかないし、意外と健全だね」と話したりしてましたが、何をねぼけたことを…この船全体が巨大なハッテンサウナみたいなものだったのです。なんだか急に心臓がバクバクしてきました。クスリなんかいりません。このシチュエーションだけで十分エクスタシーなのです。

 そんなドキドキ感を味わいながら、あらゆるニーズに応えられるこのクルーズのスゴさにあらためて感心し、まさに「ゲイのワンダーランド」だと思いました。昼間の観光やスポーツなどをメインに健全に過ごすこともできるし、ゲイテイストなアトラクションやパーティで思いっきりはじけることもできるし、ちゃんと夜の世界をマンキツすることもできるのです。「あなたがお望みなら、友達もできるし、セックスもできるし、恋人を作ることも夢ではありません。このクルーズにはありとあらゆるものが用意されているのです。あとはあなた次第。どう行動するかです」…そんなふうに囁かれた気がしました。
 ああでも、あの夜のことは夢だったのかもしれません…でもそれは、最高に甘美で刺激的な夢でした。
(5日目に続きます)

 

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