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出張!akta Talk Show ヒューマン・ライブラリー 長谷川博史さんが語る「HIVとゲイコミュニティ」

aktaのYouTubeチャンネルでゲイコミュニティ&HIV陽性者コミュニティのレジェンドである長谷川博史さんのトークショーが配信されました。「9割以上が体験したことがなさそうな」話だらけの、本当に興味深いお話です。

出張!akta Talk Show ヒューマン・ライブラリー 長谷川博史さんが語る「HIVとゲイコミュニティ」

YouTubeチャンネルでとても有意義なコンテンツを次々と配信しつづけるaktaが、今度はゲイコミュニティ&HIV陽性者コミュニティのレジェンドである長谷川博史さんを迎えたトークショーを開催しました。簡単にその内容をご紹介します。(後藤純一)


 「私はワタシ over the rainbow」という映画をご覧になった方は、車椅子に座ったドラァグクイーンとして自作の詩をリーディングしていた長谷川さんの姿を憶えていらっしゃることと思います。ゲイ雑誌『バディ』『G-men』『SM-Z』を創刊した編集者であり、HIV/エイズのことがまだタブーに等しかった90年代からHIV陽性であることをカミングアウトし、ゲイ雑誌にHIV/エイズの連載を掲載したり「Delight」や「ArcH」などでクラブイベントを開催してコミュニティに大切な情報を届け、二丁目のゲイバーの方たちに働きかけて(akta以前に)コンドーム配布のプロジェクトを立ち上げ、HIV陽性者団体を立ち上げ…数えきれないくらい様々な活動をしてきたレジェンドです。そんな長谷川さんの、ゲイライフヒストリー、ゲイ雑誌編集長時代のお話、HIVの活動についてのお話などを、ジャンジさんの司会、ぷれいす東京の生島さんとプライドハウス東京の松中さんのコメントでお送りしています。
 まず、高2で自分がゲイだとやっと自覚したとき、周囲のクラスメートはみんなそれをわかっていた、なぜなら、長谷川さんが好きな男の子の手をずっと握っていたから、でもクラスメートたちはそれをからかうでもなく、普通に受け止めてくれていた、という話が印象的でした。それから、『バディ』の編集者だった私も知らなかったようなゲイ雑誌界の赤裸々な裏話?は(もう廃刊になってしまったので時効だと思いますが)とても面白かったです。そして、エイズへのフォビアが強かった時代に長谷川さんがどれだけゲイコミュニティの中で苦労して道を切り開いてきたか、というお話には、胸を打たれました。
 これは個人的なお話なのですが、私が長谷川さんを初めて見たのは、1997年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で、私はHIV関連の短編集の字幕をボランティアでやっていたのですが、トークゲストで登場した長谷川さんが「今日の映画は最低です」と言い始め、「なんだこのオヤジ、ケンカ売ってるのか?」と思ったら、「なぜなら、エイズは死に至る病だという前提だからです」と言って、今はカクテル療法が登場したおかげでHIV陽性者が生き永らえることができるようになったというお話を始め、会場中の観客を惹きつけていました。とても衝撃を受けましたし、そういうことを知らなかった自分を恥ずかしく思いました。トークショーの中で生島さんが長谷川さんから「おばちゃん力」を学んだ、と語っていらっしゃいましたが、私は長谷川さんからそのような「人を惹きつける語り」というものを学びました(それだけでなく、もっといろいろ学びました)
 当時の長谷川さんは髭熊ガチムチ系で(『G-men』ではピンクベアというハンドルネームでした)、どんだけモテたか、いい思いをしたかということが一目で想像できるような見た目でしたが、(もしかしたらHIVのせいと誤解されるかもしれないので書いておきますが)糖尿病を患ったおかげでだんだん痩せていき…今は車椅子の生活です。また、トークショーでは語っておられませんでしたが、一時期はビルから飛び降りようかと考えたくらい、精神的に辛い時期もあったそうです。長谷川さんほど、波乱万丈というか、天国も地獄も見た方というのはそうそういないだろうと思いますが、だからこそ語れる人生の真実というものがあり、言葉に重みがあります。でも、今回のトークショーでは、とても穏やかに、やわらかく、いろんなことを語ってくださっています。
 最後に松中権さんが、「長谷川さんのロールモデルは? どんな人から学んできたのですか?」と質問していて、長谷川さんが、お父様と「二丁目(ゲイバー)の先輩たち」を挙げていました。「クローゼットのなかであっても、困った時には支え合うということが必ずあった。ゲイバーの人たちがいちばん僕に、生き方を教えてくれた」というお言葉が、とても素敵でした。
 1時間近くありますが、お時間ある時にぜひ、ご覧になってください。
(もしこれを観て、長谷川さんという方の人生に興味を持った方は、著書の『熊夫人の告白』も読んでみてください)

 

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