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レポート:東京レインボープライド公開ヒアリング

5月28日(日)、東京レインボープライド設立説明会と公開ヒアリングが行われました。その模様をレポートするとともに、「もう1つのパレード」について考えてみたいと思います。

レポート:東京レインボープライド公開ヒアリング

先日ニュースでお伝えしましたが、この5月、東京レインボープライドという団体が設立され、来年4月29日(日)にパレードを開催すること、5月28日(日)に設立説明会&公開ヒアリングを行うことが発表されました。おそらくゲイシーンでもさまざまな反応があったと思います。g-lad xxとしては、とにかく、この団体の方たちが何を思い、どんなパレードをめざしているのかを見届け、みなさんに伝えなければという思いで、設立説明会&公開ヒアリングに参加しました。その模様をレポートするとともに、「もう1つのパレード」について考えてみました。(後藤純一)



東京レインボープライド設立説明会&公開ヒアリング

 台風接近に伴うあいにくの大雨の中、豊島区民センターの会議室には約20名ほどの人たちが集まっていました(その中には、区議に当選した石坂わたるさん、石川大我さんの姿も見えました)
 18時半すぎ、会がスタートしました。予定では設立説明→休憩→公開ヒアリングというスケジュールでしたが、共同代表の田端長久さん&青木美枝さんが会の趣旨や思いを語ると、すぐに会場からはさまざまな疑問・質問が出されました。また、初めは無言だった人も、長久さんが「何かないですか」と声をかけると、いろいろ語りだしたり(中には、被災して家を失い、東京に疎開してきた、何か手伝いたいというゲイの方もいらっしゃいました)。この団体のどういうところに関心を持っているのか、パレードにどんな思いを投影しているのかというところは、人それぞれ、さまざまなんだなあと感じました。
 たぶん、読者のみなさんの中には、東京レインボープライドが今までと異なるどんなパレードをやろうとしているのか、なぜ東京プライドと別団体なのか、そして、一からパレードを立ち上げるのはものすごく大変だと予想されるが本当に大丈夫なのか、といった辺りについて、気になったり、関心を持ったりする方が多かったのでは?と思います(この会で出てきた質問もそういうことが最も多かったです)。そこで、この3点について、東京レインボープライドの方たちが述べていたことをまとめてみました。

○どんなパレードをやろうとしているの?
・セクシュアルマイノリティの人権を擁護し、その社会的地位の向上をめざすという大目標は、東京プライドと同じ。そのうえで、より多くの人たち(セクシュアルマイノリティやその支援者)が集まれるような、広く開かれたイベントとしてパレードを開催したい。
・枠組み(何をどう主張するか)を決めてしまうのではなく、(誰もが自由に主張できる)場を提供することに徹したい。参加者に楽しんでもらえたらうれしい。
・より柔軟な体制で(来る者は拒まず)、いろんな人に関わっていただいて、いっしょにパレードを作り上げていきたい。
・スタッフが燃え尽きてしまわないようにしたい。交流会のような催しを定期的に持ちたい。ボランティアの方の声もすくいあげていきたい。
・直近で代々木公園を借りることができたのが来年の4月29日ということではあるが、東京プライドパレードが隔年開催なのであれば、東京プライドパレードの無い年に開催するという方向でもいいと考えている。これから東京プライドと話し合っていきたい。
・(パレードが中止になった2008年に「一人でも歩く」とキャンディ・ミルキーさんがパレードコースを歩いたことに触れて、今年何も無いのであればそういうことをやってもいいのでは?という提案がなされたことを受けて)ぜひ考えたい。「今年無いんだったら自主的に歩きたいね」という人たちがすでにいるとも聞いているので、そちらに賛同したい。

○なぜ東京プライドと別の団体なの?
・東京レインボープライドのメンバーは、もともと東京プライドのスタッフ(理事や評議員、実行委員、ボランティアスタッフなど)としてやってきたが、すでに今年の夏はパレードもフェスティバルも行われないことが決定しているし、現体制では心もとなく、「毎年歩きたい」というコミュニティの人たちの気持ちに応えるためには、新団体の設立が必要だと考えた。
・ここ数年の東京プライドのトップダウン的なやり方にも限界を感じていた。
・東京プライドと完全に袂を分かつつもりはなく、今後話し合いを持つ予定。できるだけ協力関係を保っていきたい。

○パレードを立ち上げるのは大変だけど、大丈夫なの?
・(資金集め、行政の後援取付け、警察との交渉など、さまざま課題があるが、大丈夫なのか?という質問を受けて)重々承知している。頓挫するということは無い。燃え尽きてしまうスタッフが多いということ自体がこれまでの問題だったが、より広範な人たちの協力を仰いだり、将来的にはペイドスタッフを置くことも視野に入れて、改善していきたい。


「もう1つのパレード」の行方

「毎年パレードが安定して継続的に開催されたらいいね」という東京のパレードの悲願とも言うべき思いを多くの人たちが共有してきたと思いますが、現実的には今までそれは実現してこなかった(2003~2004年はお休み。2008年は中止。2009年は代わりに野外フェスを開催)、主催者は集まれる場(ハコ)の提供に徹すること、もっと多くの人が関わっていっしょに作っていける開かれたパレードにすることで、毎年パレードを歩くことは可能になるのではないか。そういう趣旨だったと思います。
 
 それでも、「これまでのパレードに関わってきた方の中には、今までやってきたことを否定されたような気がして、素直に協力できないと感じる方もいるのではないか」という声も上がりましたし、「東京プライドだけでも大変なのに、今は分裂している時ではないだろう」と思う方もいらっしゃることでしょう。いろんな「もやもや」があり、さまざまな見方があると思います。
 
 ただ、こういうことは言えると思います。「パレードがいくつあってもいいじゃないか」
 1999年、レズビアンの人たちによる「ダイクマーチ」というパレードが開催されました。200人くらいの規模で、最後は新宿公園で解散して、とてもアットホームで素敵なパレードでした。今後、「HIV陽性者やその支援者によるパレード」があってもいいし、「同性パートナー法の実現を求めるパレード」があってもいいし、浅草サンバカーニバルのようにド派手なパレードあってもいいはずです。そして、東京に2つ以上パレードがあってはいけない、東京プライド以外の団体がパレードはやってはいけないなどということも、誰も言えないと思います。いろいろあるのは豊かさの証とも言えるのではないでしょうか。
 東京プライド新代表の門戸大輔さんも「『私たちはこういう団体を作りたい』という人が出てくるのは正当なことだと思います」とおっしゃっています。
 
 東京のパレードはこれまで本当に多くの悲劇を経験しました。ほかにもコミュニティイベントはさまざまありますが、東京のパレードは突出して大変だったように思います。セクシュアルマイノリティの可視化とか社会的地位の向上という大目標では一致していても、さらに突っ込んで法制度の整備を要求していきたい(政治色を強めたい)という人たちもいれば、逆にもっとお祭り色を強めていきたい(政治色は少なくしたい)という人たちもいます。もっとパワーのあるパレードを実現すべき(ゲイシーンで活躍する人や企業をどんどん取り込んで大規模に)という人たちもいれば、LGBTの多様性を実現すべき(ゲイだけが突出して目立つのではなく、バランスが大事)という人たちもいます。そういう、大勢集まるがゆえの「まとまりがたさ」が1つの要因だった気がします(この「まとまりがたさ」は時に「イデオロギー闘争」のようになり、感情的な対立を招いてしまうのです)。一方、たとえば札幌や関西のパレードは、この「まとまりがたさ」を乗り越え、少人数で安定した運営ができているように見えます(毎年開催し続けています)。東京は規模が大きいからまとめるのが大変なのか、都知事がゲイ嫌いだから難しいのか(札幌とは大違いです)、ほかに何か要因があるのか…その辺りを見極めていくことも大事なのかもしれません。
 
 2008年、ゴタゴタがあってパレードが中止になった年の夏、本当はパレードが開催されるはずだった日に、キャンディ・ミルキィさんが「私は一人でも歩きます」と宣言し、呼びかけに賛同した約10名の人とともに、パレードコースの沿道を歩きました(「来年パレードが開催されることを祈願して歩いてるんですよ」と道行く人に声をかけながら)。そういう「パレードの原点」に立ち返ってみることも大切なのではないか、と感じる方も多いのではないかと思います。
 パレードを歩きたい…その「思い」が真っ直ぐでさえあれば、きっと手を差し伸べてくれる人、いっしょに歩いてくれる人が現れる。そんな気がします。
 

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 東京レインボープライドは「開かれたパレード」「みんなで作り上げるパレード」を自認しています。6月から毎月最終日曜日に二丁目でイベントを開催し、みなさんから広く意見を募集するそうです(次回は7月31日です)。どんな意見が集まるかによって、このパレードの行方が変わってくるはずです。もしかしたら来年じゃなく再来年開催となり、うまく東京プライドパレードと相補関係をなす「アナザー・パレード」になっていくかもしれません…そうはならないかもしれません。
 ともかく一度、聞きたいことを聞くなり、言いたいことを言うなりして、スタッフの方とお話してみてはいかがでしょうか? ちなみに代表の一人・田端長久さんは、もともとMASH東京(1998~2001年頃に活躍していたHIV予防啓発団体)のスタッフで、パレードのボランティア・スタッフなども初期の頃からずいぶん長くやってきた方。二丁目でも顔が広く、昔ながらのゲイバーのノリを感じさせる、親しみやすい方です。
 イベントに足を運ぶのは難しい…という方も、公式サイトから問い合わせメールを送ることができます。

東京レインボープライド2012 『カウントダウン!』
日時:7月31日(日)18時~23時
会場:新宿二丁目『GEISYA』(旧『非常口』) 
入場料:2,000円(1drink+たこりん食事券)
主催:東京レインボープライド

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