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レポート:アジアンクィア映画祭(2週目)

5月31日(金)〜6月2日(日)、シネマート六本木で第4回アジアンクィア映画祭(2週目)が行われました。最終日は立ち見も出るほどの盛況ぶりでした。

レポート:アジアンクィア映画祭(2週目)
(左から、通訳の方、イ・ソンヒイル監督、司会をつとめた方)

 

 5月24日(金)〜26日(日)の開催に続き(初日レポートはこちら)、5月31日(金)、2週目のアジアンクィア映画祭(AQFF)がシネマート六本木でスタートしました。
 この日はキムジョ・グァンス監督の最新作『二度の結婚式と一度の葬式』の上映だったのですが、最近晴れて長年のパートナーと公開同性結婚式を挙げると発表したキムジョ・グァンス監督らしい、ゲイプライド(オカマ魂)を感じさせる、掛け値なしの名作でした(間違いなく韓国ゲイ映画No.1。バイブルになるような作品です)。タイトルからも予想されるように、偽装結婚から始まり、ある人の葬式があり、幸せな結婚で終わるというストーリー展開なのですが、このお葬式が本当に…ゲラゲラ笑いながらもオイオイ泣いてしまうような、素晴らしいシーンでした(『鐘路(チョンノ)の奇跡』でも描かれた実在の方がモデルだそうです)。あんなにあたたかくて楽しいコミュニティがあるなら韓国に行きたい!とさえ思いました。そして、いちばん泣けたのは、主人公が、決然と、カミングアウトするシーンでした。それはゲイプライドに目覚めたっていうことより何よりも友達を愛する気持ちから出た言葉。心からの、魂を揺さぶる言葉でした。個人的には、この映画が「ベスト・ゲイ映画2013」になる自信があります。この映画を観ることができただけでも、アジアンクィア映画祭に感謝します。いつか一般上映もされたらなあ…と思います(ちなみにキムジョ・グァンス監督の『ただの友達?』はじめ初期短篇作品が8月17日からシネマート新宿で一般公開されます)
 
 6月1日(土)、昼間はタイ祭り(『ジェリーフィッシュの恋』や『愛なんていらない』などのタイ作品がまとめて上映されてました)、夜は香港・中国合作のゲイ映画『無言』が上映されました。正直、『無言』はあまりアジアっぽくない気がして、どうかな…と思っていたのですが、ちゃんと熱くて濃い感じがする、せつない作品でした。観終わってから思ったのですが、これはちょうど『二度の結婚式と一度の葬式』と対になる映画だと思いました。『二度の結婚式と一度の葬式』が、友情(愛)とゲイプライドによって主人公が本当の幸せをつかむ物語だとすれば、『無言』は、憎しみと世間の同性愛嫌悪によって悲劇のどん底に突き落とされるゲイの物語だからです。

 6月2日(日)は今回最も人気が高かった『GF*BF』と、イ・ソンヒイル監督の三部作を観たのですが、どちらも立ち見の方がたくさんいらっしゃって、大盛況でした。

 台湾作品の『GF*BF』は、少しもムダがなく、本当によくできたカンペキな映画でした(これがなぜ一般上映されないのか不思議です)。まず冒頭のシーンがイイ。それが主役の3人の高校時代につながって、台北での大学紛争の時代、大人になってからの3人のそれぞれの生き様…と、実に鮮やかに時代が移り変わっていき、そして冒頭に戻るという構成の妙。音楽もカッコいいです。そして、ゲイの間でもファンが多いと思われる(『ニエズ』でいちばんけなげな役を演じていた)張孝全(ジョセフ・チャン)がまたしてもゲイ役で、登場人物の中でも最も実直で優しくて好印象なキャラクターを演じてくれました(泣かせてくれました)。超満員のお客さんたちも、咳一つせず、固唾をのんで観ていました。そして上映が終わると拍手が起こりました。大満足!な映画でした。

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 そしていよいよクロージング作品、イ・ソンヒイル監督の三部作です。
 上映前のアナウンスで、1年前にイ・ソンヒイル監督の「白夜」が韓国で上映された時から交渉を始め、最初は「白夜」だけ、というお話だったけど、粘り強い交渉で三部作を一挙に上映できることになった、というお話がありました(拍手が起きました)
 映画は、『後悔なんてしない』と同様、硬派であくまでも男くさい、男どうしの熱い性愛が描かれていました(ラブシーンが男どうしでなかったら、ほとんどノンケのハードボイルド映画みたいなノリです)。ゲイにとって、男どうしの熱いセックスこそが最高に崇高なもので、それこそが生きる意味(生きてるって感じられる瞬間)なのだ、とイ・ソンヒイル監督は伝えたいようです。ただ、『白夜』では初めて、ゲイタウンで実際に起きたヘイトクライム事件が描かれていて、これまでの作品とは異なる方向性を感じさせました。
 上映終了後、トークセッションがスタート。大きな拍手に迎えられ、イ・ソンヒイル監督が登場しました。監督の語り口は、あくまでも静かで、でも低くセクシーな声で、熱さと美的なこだわりを感じさせ、映画から受ける印象と全く同じだ!と思いました。女性のファンが多く、すべての映像が美しいとか、色の選び方にこだわりを感じたとかいう感想が多かったのが印象的でした。そして、トークセッションが終わると、監督のサイン会が行われ、ファンの方たちによる長い行列ができていました。

 こうして、2週間にわたるAQFF 2013は幕を閉じました。公式Twitterによると、6日間でのべ1700名以上の方がご来場くださったそうです。
 
 AQFFは、ごく少人数のスタッフによって運営され、助成金やスポンサーなどもなく(こんなに上質な作品がたくさん上映される映画祭、たぶん他の国だったら助成金や協賛もつくでしょう)、チケット収入だけでまかなわれています。
 観客の立場からは、こんないい作品をたくさん観ることができて本当に幸せなのですが、運営する方は本当に大変な苦労をされているようです(自腹も切っているのではないでしょうか)。その志の高さと、思いの熱さと、ひたむきな努力に心から拍手を贈りつつ、また2年後、晴れてAQFFが開催されるよう願いつつ、できるだけの応援をしたいと思いました。スタッフのみなさん、本当にありがとうございました!

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