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レポート:第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭

7月12日(土)から21日(月祝)まで、渋谷ユーロスペースと表参道スパイラルホールで第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が開催されました。今年は本当にいい作品が多く、立ち見が出るほどの盛況ぶりを見せた作品も多数あり、企業の協賛なども増えて、大成功だったと思います。レポートをお届けします。

レポート:第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭

7月12日(土)から21日(月祝)まで、渋谷ユーロスペースと表参道スパイラルホールで第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が開催されました。今年も本当にいい作品を観ることができ、立ち見が出るほどの盛況ぶりを見せた作品もあり、企業の協賛なども多くなり、大成功のうちに幕を閉じました。レポートをお届けします。(後藤純一)

 

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スパイラルのエントランスに
今年もレインボーフラッグが
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ホールへ続く階段の踊り場に
Tokyo Rainbow Weekでも
話題だった「Love is Colorful」
の写真が展示されていました
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ホワイエに著名人からのメッ
セージも掲示されていました
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スタッフの方たち。後列左が
映画祭代表の宮沢さんです
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今年もTOOTのブースは
セクシーで華やかでした
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LGBTコンシャスな文房具
ブランド「CASSAROS」
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レインボーなアクセサリーが
素敵なL&G Timpaniのお二人
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コミュニティセンター「akta」
もブースを出展していました
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映画『カミングアウト』の
舞台挨拶。マイクを持って
いるのが歌川たいじさん
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『レインボーリール・コンペ
ティション』の司会をつとめた
東小雪さんとマダム・ピロガ
ネーゼさん
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『レインボーリール・コンペ
ティション』エントリー作品
の関係者のみなさん
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グランプリに輝いたのは
『笑顔の向こう側』でした。
おめでとうございます!
 今年の映画祭は7月12日(土)に渋谷のユーロスペースで幕を開けました。小さな映画館が大勢の人たちでごった返し、立ち見も出るほどの大盛況でした。アルゼンチンで製作されたゲイ映画『ハワイ』は、幼なじみであるエウヘニオとマルティン(小犬のようでカワイイ!と評判でした)、二人の不器用な男たちの関係の変化を、ゆったりした時間のなかで濃密に、セクシーに描き出した作品でした。場内の観客のみなさんは、咳ひとつせず、静かな熱気でこの作品に見入っていました。
 
 翌13日(日)は、映画祭としては初となる演劇コラボ企画、朗読劇『8 -エイト-』を鑑賞。こちらも満席でした。カリフォルニア州の提案8号(州法で同性婚を禁止させる住民投票)の是非をめぐる連邦裁判という難しい題材にストレートの方たちが取り組んでくれたことに感謝。トークゲストの山田創平さんもおっしゃっていたように「こういうことがあるということが大事」なのです。原告のレズビアン・マザーが、同性婚に反対する弁護士が法廷で述べた「無責任な出産」という言葉に傷ついた息子たちに、どんな思いで、どんな苦労をして産んだかということを語るシーンはよかったです。
 
 18日(金)、スパイラルでの映画祭が開幕しました。残業のおかげでオープニングイベントには間に合わなかったのですが、『G.B.F.』をほぼほぼ観ることができました。ゲイに対するいじめも宗教的なアンチも依然あるけど、Gay Straight Allianceという学内サークルがあり、イケてるGBF(ゲイベストフレンド)をゲットしたい女子がうじゃうじゃいる(ゲイを取り合ったりする)ようなイマドキのハイスクールを舞台にした、『glee』よりもっとゲイゲイしくて、ファッショナブルで痛快なコメディでした(お母さんがゲイの息子に『ブロークバック・マウンテン』をリアルに解説するシーンが爆笑モノでした)。これは今後の「名作劇場」でも上映されそうな予感…見逃した方はぜひ! 間違いなく楽しめます。
 
 19日(土)夕方、『アゲンスト8』が上映されました。先に舞台『8』を観ていたおかげで、裁判の経緯も、実際の裁判でどんなやりとりが行われたかも充分承知のうえだったのですが、にもかかわらず、泣けて泣けて…。原告の(活動家とかではなく、どこにでもいるような)ゲイカップル&レズビアンカップルのけなげな姿に胸を打たれました。ポールが初めて法廷に立ったとき、パートナーのジェフが冒頭陳述で「自分のことよりもポールを愛している」と語ったことに感激して、法廷でジェフにキスしてしまったと語るシーン、結婚式のシーン…同性婚をめぐる裁判とは「愛は憎悪に勝る」ということの証明だったんだなと思わせるものがありました。終映後、会場からひときわ大きな拍手が贈られたことも、感動的でした。

 同日夜、オーストラリア映画『52チューズデイ』を鑑賞。女性から男性へトランスすることを決意した母親と、1年間別居する代わりに毎週火曜日に会うことになった女子高校生ビリー。FTMであることは何ら問題ではなく、そういう母親の複雑さと呼応するかのように急激に性に目覚めてしまったビリー自身の揺らぎがメインテーマになっていて、新しいと思いました。バイセクシュアリティみたいなこともさらっと描かれていて。さすがは個性や自由や表現を大事にするオーストラリア(自由すぎてアノミーぎみなのかもだけど、でも、やっぱり好き)。そんなオーストラリアでも(欧米はどこでもそうなのでしょうが)児童ポルノ法だけはシリアスなんだな、と実感。とても興味深い作品でした。

 20日(日)夕方、『カミングアウト』を観ました。立ち見も出る大盛況ぶり。上映前に歌川たいじさんや一ノ瀬文香さんら出演者のみなさん&監督さんによる舞台挨拶がありました。ゲイの大学生・陽は同じサークルのイケメン・昇に片思いしていて、ときどきゲイバーで相談に乗ってもらうが、そのうち昇はサークルの女子とつきあいはじめ、周囲のヘテロセクシズムなプレッシャーにも堪えきれなくなり、カミングアウトを決意するというストーリー。全国の学校とかで上映されたら素敵かも、と思わせる作品でした。また、ゲイバーのママ役を演じた歌川さんはじめ、ゲイコミュニティのいろんな方たちがちょこちょこ出演していて、楽しかったです。
 
 その日、都内はゲリラ豪雨に見舞われましたが、雨にも負けず、21時〜の『フリー・フォール』も満席でした。家族からも将来を嘱望され、恋人ベッティーナは出産間近という、幸せの絶頂にあったはずの警官見習い・マルク。しかし、研修キャンプで同僚のカイと友情を育むうちに、これまで抑えこんでいた自身の本当の欲望に気づいてしまい…。頭ではこんなのダメだと思いながら、体はカイを求めてしまう苦しそうなマルクの姿にメロメロになった方も多いはず。そして、本物の恋のひたむきさ、激しさ、純粋さに胸を打たれつつ、なぜこのタイミングなの? 二人が幸せになれる術はないの?と誰もが思いながら、悲劇に涙するのです(帰りの電車で思い出し泣きするくらい、しばらく引きずる感じでした)。まさにドイツ版『ブロークバック・マウンテン』。本当にせつなく、エロティックな名作でした。

 21日(月祝)、映画祭もいよいよ最終日です。午後上映の『湖の見知らぬ男』は、またまた立ち見が出る大盛況ぶりでした。湖畔のハッテン場をあそこまで赤裸々に!というだけでもスゴイと思いますが(ビーチより林の方が人がいっぱいとか、何度も愛し合っているのに名前も知らないとか、セーファーに対するスタンスの違いとか、いろんな意味でゲイのリアルが満載でした。殺人以外は)、一切の音楽や説明を排し、湖畔で起こる出来事のみを淡々と写し出す純化された映像、もしかしたら神話的とさえ言えるかもしれないストーリーテリングによって「恋の情熱は死の恐怖をも乗り越える」ということを描いた傑作サスペンスでした。この映画、ハッテン場ならではの人間模様大図鑑でもあるのですが、「男女のビーチではウザがられるからここに来てる」と語る自称ノンケのふとっちょさん(職業:木こり)と主人公との関係性がとても興味深く(セックスはないけど、まぎれもなく愛がありました)、不意に感動を与えてくれました。前から観たかった作品でしたし(カンヌの「ある視点」部門最優秀監督賞)、あのコンディションで一般上映されることはありえないので、映画祭で観ることができて本当によかったと思います。感謝!です。

 続いて『レインボー・リール・コンペティション2014』がスタート。司会は、ディズニーシーでの結婚式やTV出演でもおなじみの東小雪さんと、今回が映画祭初参加となるマダム・ピロガネーゼさん(ゲイナイトではいつも元気なピロガネーゼさんが珍しく緊張していました)。二人の女子中学生の心象風景を美しい映像で綴った『キユミの詩集 サユルの刺繍』、高松のセクシュアルマイノリティグループ「プラウド」によるさわやかな青春ゲイ短編『エソラ』、憎しみを乗り越えて死に行く父へ愛を贈るレズビアン女性を描いた『Keepsake(青い鶴)』、二丁目のゲイ群像をコメディタッチで描いた『笑顔の向こう側』という4作品が上映され、観客の投票で『笑顔の向こう側』がグランプリに選ばれ、監督さんが感動で涙しながらスピーチしていました。

 振り返ってみると、今年も心に残る名作、本当にいい作品が多かったと思います。同性婚が次第に認められつつある欧米の情勢を反映してか、セクシュアルマイノリティであること自体がテーマというよりも、一歩進んでゲイやレズビアンとその周囲の人たちとの関係性に焦点が当てられた作品が目立っていた印象を受けました(「進化」している感じ)。それにしても、『湖の見知らぬ男』『アゲンスト8』『52チューズデイ』など海外の映画祭で受賞している注目作品や、最新のL&G映画を東京にいながらにして楽しめるのは、本当に幸せなことです。映画祭のスタッフのみなさんに、心から感謝申し上げたいと思います。
 今回は満員御礼な作品がいくつもあり、のべ4700名の来場者数となった(大成功だった)そうですが、スタッフの方たちががんばってそういう良質な作品を集めてこられたから、ということも大きいと思います。そして今年ご覧になった方は、きっとまた来年、映画祭に行こうと思ってくださることでしょう。
 
 会場には、毎年毎年来られている常連さんたちも、たぶん今回初参加じゃないかなあという方たちも、いろんな方がいらしていました。ここでしか会わないような方たち、久しぶりに会う友達などと旧交を深めたり、映画の感想を語り合ったりという楽しみもあり、たぶん彼氏との素敵なデートを楽しんだ方もいらっしゃるでしょうし、友達と楽しい休日を過ごした方もいらっしゃるでしょうし、出会いもあったんじゃないかと思います。まるでパレードやレインボー祭りのように、たくさんのゲイが集まって有意義な交流が生まれるイベントでもあるのです。
 
 それから今年は、企業の協賛がとても増えたなぁという印象を受けました。
 上映前には、あの堺雅人さんが出演するSoftbankのCM(いまTVで流れてるやつ)をはじめ、アルファロメオ、アメリカンアパレル、TOOT、Diverse System(音楽製作)、SOL+(英会話)、小淵沢アートビレッジなどのCM映像が流れました。パンフレットにもSPY(お酒)やCASSAROS(文房具メーカー)など、いろいろな協賛広告が載っていました。会場にもTOOTやCASSAROS、Softbankなどがブースを出展していました。
 今回初参加のCASSAROS(キャサロス)のブースでお話を伺ってみたのですが(なんと、社長さん自ら、わざわざ大阪から来てブースを出していました)、2年前に『東洋経済』を読んで初めてLGBTのことを知った社長さんが、「うちにゲイの人が面接に来たら?」と社員に話したら「ええんちゃう?」という感じで、じゃあ何かLGBTを応援するような展開をしたいということになり、大阪のいろんなところに電話をかけて、「dista」が乗ってくれて、LGBTのことをいろいろヒアリングし、このCASSAROSというブランドが誕生したということでした(いい話!)

 長くなりましたが、最後に、今年も素晴らしいゲイ映画をたくさん観ることができて、また、お祭り的な雰囲気を味わったり、いろんな人と交流を深めたり、夏らしくステキな時間を過ごすことができて本当によかったです。また、映画祭がきっかけで、コミュニティのいろんな人たちと社会(企業など)とのいい関係が生まれたりもして。あらためて、映画祭って本当にいいイベントだなあと実感しました。スタッフのみなさん、協賛してくださった企業のみなさん、本当にありがとうございました! また来年も楽しみにしております。

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