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レポート:第25回レインボー・リール東京クロージング

表参道のスパイラルホールで7月15日(金)から始まった第25回レインボー・リール東京が、18日(海の日)に閉幕しました。クロージングイベントには人気ドラァグクィーンのエスムラルダさんやマダム・ボンジュール・ジャンジさんらが出演し、素晴らしいフィナーレとなりました。レポートをお届けします。

レポート:第25回レインボー・リール東京クロージング

第25回を記念して名称もリニューアルしたレインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)。7月8日(金)には公式パーティ「ル・グランバル」が開催され、9日(土)からはシネマート新宿での上映がスタート、そして12日(火)から表参道のスパイラルで初の「OUT IN JAPAN 1000人展」も行われ、15日(金)にはレスリー・キーさんのおかげで素晴らしくゴージャスなオープニングを飾り、18日(海の日)に閉幕しました。18日のクロージングイベントには人気ドラァグクィーンのエスムラルダさんやマダム・ボンジュール・ジャンジさんらが出演し、とても有意義で素晴らしいフィナーレとなりました。レポートをお届けします。(後藤純一)



 スパイラルホールで15日(金)から4日間開催された第25回レインボー・リール東京は、これまでのように、目にも楽しいブースがいろいろ出展され、セクシュアリティやジェンダーアイデンティティ、年齢、見た目、住んでいる地域も様々な(関西の方、茨城の方などもいらしていました)、いろんな方たちが来場し、にぎやかに、華やいだ雰囲気となりました。ブースや著名人のメッセージパネルを見て回ったり、フリーのシャンパンをいただきながら友達とおしゃべりしたり、喫煙所で今観た作品の感想を語り合ったり、みなさん思い思いに楽しく過ごしていらしたと思います。

 最終日の18日(海の日)、16:20からは「QUEER×ASIA ~APQFFA Selection~」が上映されました。アジア・太平洋地域でのLGBT映画の支援・振興を目的として2015年に設立されたAsia Pacific Queer Film Festival Alliance (APQFFA)。このアライアンスに加盟する映画祭が推薦する短編映画の中から4作品をピックアップ、というコンセプトで、ジャカルタ、ソウル、台湾、香港のクィア映画祭が選んだ4本の短編が上映され、どれもすごく面白くて、短編集としては稀に見る充実度じゃないかと思いました。ここで簡単に感想をお伝えします(どこかでまた上映される機会もあるかもしれませんので、ご参考までに)
 インドネシアの「虎の威を借る狐」は、思春期の男の子の同性に惹かれるセクシュアリティの揺らぎが描かれつつ、男の子の目線から見た世の中のいろいろ(汚い部分とか)も描かれていました。主人公の男の子が、なよなよしたステレオタイプなゲイでは全然なく、世の中の現実をしっかり見つめながら闘っていくような、闘志みたいなものを感じさせて、新鮮でした。
 韓国の「ソウォル路の夜」は、トランスジェンダーにありがちな悲劇…だけじゃなく、密かに売春している女性(息子もいる結構なお年の女性)が絡んで、女どうしの関係性(友情だったり、ドロっとした感情だったり)が描かれているところが面白かったです。根底にはトランスフォビアがあって、そこは解消されたのかどうか…モヤモヤが残るのですが、ともあれ、救いがあり、感動的でもある作品でした。
 台湾・アメリカ映画の「ママには言えない私の秘密」は、アメリカでガールフレンドと暮らす主人公の元を突然、台湾のお母さんが訪ねてくるという、典型的なコメディなのですが、アメリカ人としてもはや当たり前になっているカミングアウト(あるいはプライド)の感覚と、アジア的な言わずにおく感覚とのギャップを埋めていく作業が興味深かったです。
 香港の「スクール・デイズ」は、高校を舞台に繰り広げられるゲイのラブストーリーなのですが、女子生徒たちがキャーキャー言いながら彼らを応援するシーンが爆笑モノでした。(定番の)学校の屋上で、美大志望のミンは自分に自信がなく、将来の進路的にもセクシュアリティ的にも迷子なのですが、根っからの体育会気質なヘイに励まされて…という、青春ドラマな部分もあって、爽やかでほろ苦くて、名作でした。スポーツマンなオープンリーゲイという珍しいタイプのヘイは、性格もよく、とても好感度の高いキャラでした。

 それから、18:55からはクロージング作品の『パリ 05:59』が上映されました。今回のクロージングは、「ル・グランバル」で冒頭18分ものSEXシーンがある!と予告されていたのが広まったせいもあるかもしれませんが、驚くほどの超満員!で、立ち見(桟敷席)の方もいらっしゃいました。
 上映に先立ち、クロージングイベントが行われ、映画祭の代表・宮沢さんに続き、司会のエスムラルダさんが(『○子の部屋』の音楽に乗って)登場。そして、これから上映する映画についてトークをしましょうということで、マダム・ボンジュール・ジャンジさんと、二丁目のコミュニティセンター「akta」のデリバリーボーイズの方たちも登場しました。デリバリーボーイズの方たちが会場の約350名の方たちにTENGAコンドーム(パッケージがかわいかったです)を配っている間に、ジャンジさんが、世界の最新のHIVの情報、例えば、針刺し事故などで用いられる曝露後予防内服(PEP)のことや、抗HIV薬を毎日飲むことでHIV感染を防ぐ曝露前予防投薬(PrEP)のことなどを伝えてくれました。これは日本ではまだ認可されておらず、保険が効かないので、約1ヵ月分の給料が飛ぶそうです…(なので、まだまだSAFER SEXを続けましょうね)。なぜクロージングイベントでこういうお話があったかというと、クロージング作品『パリ 05:59』がまさに、そういう映画だったからでした。
 前評判通り、ハッテン場でのSEXをたっぷりと見せる冒頭のシーンは圧巻でした。個人的には、最初にクローズアップされていたイカニモな野郎系髭マッチョ兄貴が主人公のもじゃもじゃ頭クンに手を出して断られていたところに「不条理」を感じました(日本だったらありえないですよね…。きっとフランスのリアリティなのでしょう)。それはともかく、パリのハッテン場で(お店の造りとかシステムとかがもう、興味深々。パリに行ってみたくなりました)最高の、燃えるようなSEXをした二人が、意気投合し、一緒にお店を出て、これからどうする?みたいな、もはやおつきあいしそうな雰囲気に…というところが(過去の自分たちのことを思い出して)胸熱でした。しかし、生でヤッたという事実が発覚するや、そんな幸せでラブラブなムードは一変し、すぐに病院に行かなきゃ!という展開になるのでした。パリの病院では、そういう人たちのために夜中でも曝露後予防内服(PEP)を緊急扱いで受け付けてくれていて、なんて進んでるんだ!と感銘を受けました。共に受診し(それもスゴいこと)、一緒に病院を出た二人は、ケンカしたかと思うとまたくっついたり、レオス・カラックスの映画みたいに全速力で川べりを走ったり、いかにもフランス映画的な展開を見せ(笑)、ちょっとキュンとなるラストを迎えるのでした。350人ものお客さんがこの映画を観たということに、途轍もない意味があったと思います。終映後は、惜しみない拍手が贈られていました。素晴らしいクロージングでした。
 
 今年もたくさんの、映画祭じゃないと観られない可能性が高い貴重なゲイ映画・クィアムービーを(ゲイだったりするみなさんと一緒に)観たり、友達を見つけて「ねえねえ、あの映画どうだった?」っていう話をしたりという、素晴らしい時間を過ごすことができて、本当に幸せでした。感謝の気持ちで胸がいっぱいです。スタッフのみなさん、協賛や協力をしてくださったみなさんに、心からお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。