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レポート:東京レインボープライド2016(2)パレード

2016年5月7日(土)8日(日)、代々木公園で5回目を数える東京レインボープライドが開催され、過去最大規模で大成功を収めました。Charaさんのライブをはじめ、数々のメモリアルで感動的な瞬間があった、祝福感に満ちた素晴らしい2日間でした。

レポート:東京レインボープライド2016(2)パレード

2016年5月7日(土)8日(日)、爽やかな青空の下、代々木公園で5回目を数える東京レインボープライドが晴れやかに開催されました。広場を埋め尽くす出展ブース、18ものフロート、たくさんの出演者で盛り上がったステージ…2日間でのべ70000人が訪れ(パレードを歩いた人は4500人)、過去最大規模で大成功を収めました。Charaさんのライブをはじめ、数々のメモリアルで感動的な瞬間があった、祝福感に満ちた素晴らしい2日間でした。5月8日(日)「パレード」のレポートをお送りします。(取材・文/後藤純一、ぶっかけ)

 

ステージ(1)パレード出発前




 前日の「フェスタ」に続き、晴天に恵まれた5月8日(日)、代々木公園イベント広場では朝9時半から東京レインボープライド2016「パレード」のステージがスタートしました。
 オナンさん&小原さんのMCに続いて、パフォーマンスが繰り広げられました。まずは、全国から吹奏楽愛好者が集まり、ぶっつけ本番で演奏を行う「”みんな”で、ブラス!」。今年も約120名もの皆さんが「五月の風」などを演奏し、新緑の公園にブラスの音色が響きわたりました。恒例の、当日いきなり楽譜を渡して演奏するコーナーでは、ドラクエのあの曲(序曲/ドラゴンクエストマーチ/ロトのテーマ)が選ばれ、楽しくも感動的でした。パレードの朝にふさわしい、素晴らしい演奏でした。
 続いて、レインボー祭りや各地のパレードに参加してきた「新虹(アラヌージ)」のエイサー演舞。太鼓を打ち鳴らしながらの迫力ある演舞(およびそれを行っているイケメンたち)は観客にも大好評で、やんややんやの喝采を浴びていました。
 それから、アンチ勢力の妨害にもめげず、パレードを行ってきた(東京レインボープライドも昨年、フロートを出展した)ソウルクィアパレードの方たちがステージに登場。カン・ユンチさん?という代表の方が「6月11日にソウルでプライドパレードがあります。日本と韓国、ともにプライドパレードが成功することをお祈りします」とスピーチしました。そのあと、パレードのフロート告知コーナーがあり、注意事項などがアナウンスされ、整列の時間となりました。
 

 

渋谷駅前をパレード!



















 12時前、出発地点ではメディア用のフォトセッションが行われ(細野豪志さん、長谷部健さんも来ていました)、12時過ぎにパレードが晴れやかにスタートしました。今年は18ものフロートが出展!ということもスゴいのですが、何と言ってもパレードが渋谷駅前スクランブル交差点を通る(東京プライド以降は初で、ある意味、悲願達成)ということで、そちらに移動し、記念すべき瞬間を写真に収めることにしました(結果がこちら。望遠が効かないサブのカメラで撮ったので、ボケボケです…。原宿駅前陸橋からメインのカメラで撮ってもらったクリアな画像はこちら) 
 
 渋谷駅前のスクランブル交差点は当然のようにたくさんの人たちがいたのですが、パレードが通る時だけ信号を止めて、フロートが通過するとまた信号を動かして人がわーっと交差点を渡る感じでした。なので、待っている大勢の方たちは必然的にパレードを目撃することになりますし(当然のようにパシャパシャ写真を撮る方も)、なかには何か珍しい出し物がやっているから見物しようという体で縁石にどっかり腰を下ろしてずっとパレードを眺めている方などもいました。マルイの方からやって来たカラフルなパレードの一団が、渋谷駅前交差点を左に曲がり、JR高架下をくぐり、やがて宮下公園の方に消えていく…その光景には感慨を覚えました。
 さて、今回のフロートは、第一部「始まりはたのしく、にぎやかに」、第二部「伝えたい、想いがあります」、第三部「いつもありがとう。これからもよろしくね」と、全18フロートが大まかに3つにカテゴライズされていました。
 先頭はTOKYO RAINBOW PRIDEの「Beyond the rainbow号」。今回の東京レインボープライドの全体のテーマである「BEYOND THE RAINBOW」と書かれたフラッグを掲げたフロートにはアクセル・ジルガーマンさんら若手ドラァグクィーンが乗り、共同代表の山縣さん&杉山さんらが先頭で横断幕を持って歩きました。上川あやさんら政治家の方たちがそれに続き、”みんな”で、ブラス!のブラス隊の方たちが演奏しながら行進し、パレード(マーチ)を盛り上げました。ソウルや台北のパレードの方たち、ブス会のみなさんなども歩いていました。
 続いて、今となっては唯一となったゲイナイト系フロートとして、Tokyo Gay Nightの「TGN-Tokyo Gay Night- &メンミクアプリフロート」がやってきました。シモーヌ深雪さん、バビ江ノビッチさん、GOGOの隆-TAKA-さんというゴージャスなキャストが乗り、レザーを着たDJさんがTGNを再現するようなクラブミュージックで盛り上げ、参加者の皆さんもイェイイェイ楽しんでいました。
 JUERIAS LGBT Weddinによる「JUERIAS FLOAT ~wedding march for LGBT~」。タキシード姿のゲイカップル、ウエディングドレス姿のレズビアンカップルがシャボン玉に包まれながら笑顔で手を振り、前の方で歩いてる方たちも同じ振り付けで楽しそうに行進するという、幸せを絵に描いたような、セレブレーション感たっぷりな演出でした。沿道で見ている方にもよく伝わるコンセプトで、シドニーのマルディグラのフロートに匹敵するクオリティ!と感心しました。参加者の方たちも、結婚式さながらにスーツ姿で歩く方たちや、ペアルックで手をつないで歩くゲイカップルもいて、本当に素敵でした。
 それから、「AIG Japan LGBT & Allies Rainbow ERG」。AIGのイメージカラーである青のTシャツを着た方がたくさん歩いていました。
 5番目はTOKYO RAINBOW PRIDEの「We are Fabulous Queers!」。ドラァグクィーンのHOSSYさん&リル・グランビッチさん、GOGOのSHOさんが乗り、大きなレインボーフラッグを掲げ、これぞパレード!という感のあるフォトジェニックなフロートとなっていました。
 それから、ひときわ華やかで美しい造形・装飾で目を引く「Amaranth “THE CARNIVAL WAGON”」(アマランスラウンジ)がやってきました。「どこより一番目立つフロートを目指します!」という意気込み通り、渋谷駅前の交差点の反対側からでもよく見える、ゲイテイストでアーティスティックでファビュラスなフロートでした。今回もアマランス・レジーヌさんやジャスミンさんが華を添えていました。
 続いて、TOKYO RAINBOW PRIDEの「レインボー旅一座~虹はどこにでも架かっている~」。トビーの顔をイメージしたフラッグを掲げ、コレステロールたくやさんらが乗り、楽しい雰囲気を演出していました。
 8番目にやって来たのが27GO! PROJECTの「27GO!(ツナゴー)号」。「Happy Pride!」のフラッグとたくさんのカラフルな風船に彩られたフロートでした。
 ここからは、第二部「伝えたい、想いがあります」のフロートになります。東ちづるさんが代表を務める一般社団法人Get in touchの「Let’s MAZEKOZE」。先頭で東ちづるさんも笑顔で歩き、皆さんお揃いのレインボーのベストを着て歩いていて、遠目から見ても鮮やかに映えていました。
 それから、にじいろ学校&虹色エンターテイメントの「まい・まい・まーち~minority’s my march~」、Revo∞Linkの「Power of Education~自分らしくいられる未来をつくろう!~」、多くの金融企業の皆さんがそれぞれの会社ごとのお揃いのTシャツ(レインボーの6色のいずれか)で参加していた「LGBT ファイナンス」が続きました。
 レスリー・キーさんによる撮影でついに1000人を達成したプロジェクト「OUT IN JAPAN」。ドリアン・ロロブリジーダさんらがフロートに乗り、「OUT IN JAPAN」に参加した方たちはもちろん、海外から来たイケメンさんや企業の方なども歩いていました。
 ここからは第三部「いつもありがとう。これからもよろしくね」の部。長らく東京レインボープライドを支えてくれたフロートに敬意を表し、トリを飾っていただこうという趣旨です。
 TOKYO RAINBOW PRIDEの「Happy Birthday, Tobe! Step forward Tobe!」は、東京レインボープライド公式ゆるキャラのトビーがめでたく5歳を迎えた(東京のパレードが初めて5回連続開催を達成できた)ことをお祝いするフロート。トビーのお友達で(製作者が同じなんだそう)毎回一緒にパレードに参加してくれている(日テレ「火曜サプライズ」のキャラクターである)にんに君ももちろん、歩いていました(というより、台車に乗って押されて移動していました。押してた方、おつかれさまでした)
 それから、ぷれいす東京やaktaなど(MSM首都圏グループ)による「AIDS IS NOT OVER~エイズは、まだ終わっていない WE’RE ALREADY LIVING TOGETHER」。今回はあのエスムラルダさんが(今まであまり見たことのない豪華ドレスで)フロートに乗り、笑顔あふれるフロートとなりました。最後を歩いていたのは、巨大なレインボーフラッグとレザープライドフラッグを掲げたdon&トムさん(donさんは巨大なコンドームも着けていました)
 反レイシズムのパレード「東京大行進」がTOKYO NO HATE FESTIVALにパワーアップ。レインボープライドの強力な味方である彼らは、今年も「TOKYO NO HATE」フロートで勇気づけてくれました。西新宿パンティーズの方をはじめとするラッパーの方達が力強く(野郎っぽく)「差別はいらない!」「いっしょに歩こう!」などと叫ぶ様は、僕ら当事者が生み出すお祭り感やキラキラ感とはまた異なるダイレクトなメッセージで、ガツンとやられました。正直、涙がこぼれました。
 それから、レズビアン向けコミュニケーションアプリ「Spindel+」が出展する「Happy Rainbow, Spindle+!」、FTMのクラブイベント「GRAMMY TOKYO」のフロートで、パレードは元気よくフィナーレを迎えました。ちなみに、いちばん最後にキャンディ・ミルキィさんの姿がありました(今回はいつものキャンディ・キャンディではなく、シックな衣装でした)
 帰着地点の代々木公園では、今年もたくさんの方たちがパレードを歩いた皆さんを出迎える恒例の「おかえりなさい」のハイタッチが行われました。祝福感とあたたかさがあふれる瞬間でした。
 

 

ステージ(2)帰着後〜フィナーレ









 15時半頃、ステージイベントが再開されました。まずは今回の東京レインボープライドの共同委員長3人によるご挨拶。みなさん本当にお疲れだったと思いますが、笑顔でご挨拶してくれました。2001年の東京レズビアン&ゲイパレードの実行委員をつとめていた土屋ゆきさんが「15年ぶりにパレードのステージに立って感無量です」と語っていたのが印象的でした。
 ステージ後半のパフォーマンス、トップバッターは、オープニングレセプションにも登場してくれた、スターダストのレインボーアイドルであり日本初のFTMユニット、SECRET GUYZ! 今回もファンの方たちの熱狂的な応援に支えられ、SECRET GUYZの3人もそんなファンの声援に応えるようにサービスしていて、GWから一気に真夏になったかと思うくらいのアツいアツいライブとなりました。
 そんな最高にHOT!なライブの後に、一服の清涼剤のようにクールで雅な箏の演奏を披露してくれたのが、各国の大使へのおもてなしとして演奏もしてきた経歴を持つ明日佳さん。「プレリュード」はじめゲイのコンサートなどでもよく歌われる中島みゆきの「糸」は、世界観と箏の音がよくマッチしていて、こみあげてくるものがありました。
 それから、昨年に続き、英国大使館の方たちが和太鼓演奏を披露。こちらの記事でもお伝えしたライアンさんらも参加してくれていました。日頃の練習ぶりが伝わってくるような、息の合った演奏でした。 
 続いて、英国大使、アイルランド大使、米国大使が登壇し、スピーチを行いました。法被姿のティム・ヒッチンズ英国大使は「2年前に同性婚がイギリスで成立しました。3万人の人々が結婚されたそうです。英米アイルランドの3国の大使がここでパレードを祝うのは素晴らしいことです」と語りました。アイルランド大使のAnne Barringtonさんは「今から25年前は、アイルランドがLGBTの権利について話すとは思いもしませんでした。本や法律がLGBTを差別していました。2010年にシビルユニオンが合法化されてから、セクシュアリティに基づく差別はなくなってきています。そして昨年、世界で初めて憲法改正によって同性婚を認めたことを誇りに思っています。その人がその人らしくあること、誰を愛するかは関係なく生きていけるようになるべきです」と語りました。そしてキャロライン・ケネディ米国大使は「ここでスピーチする初めての米国大使になったことを嬉しく思います。すべての人々が差別されることなく、愛する人々と共に生きていけることを願っています」と語りました(全文がこちらに掲載されています)
 ここからはまたパフォーマンスの時間です。16年間もイスラエルで活躍している(欧州のプライドイベントにも出演してきた)ドラァグクィーンのタルラ・ボネットさんが登場。華麗なステージングで魅了してくれました。
 二丁目や全国のプライドイベントでおなじみの虹組ファイツの皆さんは「スキ×3ッス!」など数曲を披露。ボケありのMCで観客の気持ちをつかみつつ、安定の笑顔と明るい楽曲で会場を元気にしてくれました。ちょっと肌が潤ったかも…と思うくらい、フレッシュなパフォーマンスでした。
「RUSHCRUISE」などのゲイイベントにも度々登場してきたニコルさんがディレクターをつとめる「パピュラス」によるベリーダンス。今年もエロカッコいいダンスを惜しみなく披露し、会場も大盛り上がりでした。「ベリーダンスやりたい」「お風呂上がりに地道に練習しようかな…」と思った方もいらしたようです。
 続いて、政治家の方たちによるスピーチが行われました。メッセージのみの方を含め、とてもたくさんいらっしゃったので、ここでは登壇された方のスピーチをごく簡単にお伝えいたします。公明党の新妻秀規参議院議員「アメリカにいた時、LGBTにあまりよく思われないような発言をして小学校の先生に怒られたことがきっかけで、LGBT支援に取り組もうと思いました」。共産党の池内さおり衆議院議員「今日は虹色の蝶ネクタイをつけて一緒にパレードを歩きました。LGBTが理解されてきているなと実感しました。多様性が発揮される社会へ、ソリダリティ(連帯)をもって活動していきたいと思います」。民進党の尾辻かな子元参議院議員「11年前にレズビアンとしてカムアウトしてパレードに出席しました。以前は撮影NGの隊列で歩いていましたが、今は、オープンリーレズビアンとして活動しています。ありのままの自分でいられる日本にしていきたいと思います」。保坂展人世田谷区長「半年で29組のカップルが同性パートナーシップ証明書を受け取りました。不動産業界や医療関係、携帯会社に話をして、証明書があることで様々なメリットを受けられるようにしました。LGBTを応援しています」。長谷部健渋谷区長「渋谷のパートナーシップ証明書の発行に携わってきました。LGBTの方と共にLGBTが住みやすい環境を実現していきたいと思います」。塩村あやか東京都議「議会ではマイノリティなので、気持ちは一緒です」。石坂わたる中野区議「LGBTに抑圧的だった人々がいつか仲良くなれる、そんな社会を作っていくのが夢です。初めてパレードを歩いた90年代と比べて現状は良くなっているし、そしてもっともっと改善できると思っています」。石川大我豊島区議「当事者の議員がいることが大切です。自民党の理解促進法はLGBTカミングアウトするな法案だと考えています。私たちはLGBT差別禁止法案を作ろうとしています」。国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」LGBT権利プログラム・アドボカシーディレクター、ボリス・ディトリッヒ氏「出る杭は打たれるというのはLGBTにおいてよく当てはまる言葉だと思います。多くのLGBTの若者たちが学校でいじめられていることに胸を痛め、私たちはLGBTのいじめについての報告書を作成しました。教職員にLGBTに関する研修を受けていただくことを義務化するよう求めていまです。LGBTが社会に抑圧されることなく自由に生きられるように願っています」
 ここからステージ設営準備の時間をはさみ、フィナーレとなるCharaさんのライブが行われました。大勢のファンの方たちが「待ってました!」とばかりにステージ前に駆けつけ、しかし、決して乱暴なことにもならず、Charaさんのスペシャルなライブを心から楽しんでいました。本当に暑い、そして熱い1日でしたが、夕暮れ時、少しだけ涼しい風を感じながら、レインボーフラッグの下でCharaさんの歌声が響き渡ったあの時間は、かけがえのない、ちょっと言葉にできないくらい、素晴らしい時間でした。Charaさん、感動をありがとう!(詳しくはこちら
 最後に、MCのオナンさん&小原さんが、会場やフロートを彩ったドラァグクィーンやGOGO BOYの方たち、そしてスタッフの方たちをステージに呼び込み、とてもにぎやかで華やかなクロージングセレモニーが行われました。全国のLGBT団体の活動資金となるGAPのチャリティTシャツは800枚が完売したそうです(現在、クラウドファンディングも行われています)。それから、代表理事の山縣さん&杉山さんの方から今年の東京レインボープライドの参加人数が2日間合計でのべ7万500人にも上ったことが発表されました。こうして2日間にわたる東京レインボープライド「フェスタ」「パレード」が幕を閉じました。
 


夢のような2daysを振り返って


 今年の東京レインボープライドは、率直に、いろんな意味で過去最大だと思いました。とにかく広場に出ているブースが本当に多くて、人出もすごくて、例えばTOOTのブースに行きたいと思っても探せない(結局たどりついたのは2日目も終盤の頃)とか、そんな感じでした。パレードを歩いた人もリアルに4000人超えって初めてですし(これまでずっと3000人台でした)、渋谷駅前も通ることができていちだんと祝祭感が増したと思います。2日間の参加者がのべ7万人というのは(台北の8万人には及ばないものの)東京レインボープライドがアジア最大規模に成長したことを物語っています。ステージの充実度とか広場の楽しさも考えると、海外から来た人も楽しめるようなイベント、もっともっと海外から人を呼べるポテンシャルを持ったプライドイベントになっていると言えるのではないでしょうか。

 何度も書いていますが、パレードほど「ゲイでよかった」と思える、祝福感のシャワーを浴びることができるお祭りはありません。たとえ、ゲイの友達があまりいない方や、地方から来た方なども、ワイワイ騒いだりはできないかもしれませんが、パレードを歩き終わって「おかえりなさい」のハイタッチを経験したら、きっとそう思えるはずです。誰もが自分らしくいられて、自分は独りじゃないって思える、明日から自信とか(もしかしたらプライドとか)を持って生きていけそうって思えます。
 
 ずっとこのお祭りが続けばいいのに…とつぶやいていた方がいました。今日だけでなく、明日もずっと、こういう幸せが普通の生活になればいいね、とCharaさんは言ってました。一般のイベンターがどんなにお金をかけても、あの祝福感は生まれません。主催者の方たち、ボランティアスタッフの方たち、協力したたくさんの方たちの「思い」が集まって結実したのが、あの奇跡のような2daysなのです。
 
 今回、フェスタのテーマが「We are fabulous queers.」、パレードのテーマが「Step forward, Queers! Step forward Friends! 一歩ずつ、未来へ」だったこと、LGBTじゃなくてクィアと謳われていたことは素晴らしかったと思います。「フツー」じゃないあらゆる人たちへの祝福。実際、会場では、明らかに男性とわかる女装姿の外国人の方がとても生き生きとしゃべりまくっていたり、たぶん「デパートメントH」の関係だと思われるセクシャル・クィアな方たち(ストレートだけど性的嗜好や性表現がフツーじゃない方たち)が広場で募金を募っていたりしました。パレードの最後を歩いていたのがキャンディ・ミルキィさんだったのも象徴的でした。 

 7万人の中味は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、いわゆるLGBTにはカテゴライズされないようなクィアな方、アライの方など、本当に多様な方たちでした(のべ人数なのでちょっと違いますが、7万種類の人間だったと言えるくらい、多様だったのではないでしょうか)。性的指向や性自認、性別、人種、民族、出自、障がいの有無(車椅子の方なども)、病気の有無(HIVを持っている方なども)、年齢(子どもからお年寄りまで)、容姿などにかかわらず、笑顔でHAPPY PRIDE!と言い合えるお祭りでした。

 もはや名物となりつつあるポケモン軍団のように、パレードのために頑張って衣装を作ってきた方たちもいれば、カンボジアフェスのついでにふらりと立ち寄った方たちもいたでしょう。正直、昨年は「二丁目系とかクラブ系のゲイの人が少ないかも…」という印象がありましたが、今年は大勢来てました。それこそ、二丁目のバーのママさん・ミセコさん・お客さんたちや、昼間サラリーマンやってて夜はジムで鍛えてアゲハ(Shngri-La)で裸族と化してるようなイケメンマッチョな方も、主にハッテン系のお店で楽しんでるような方も、自慢のワンちゃんを連れた幸せそうなカップルも、香港・台湾あたりのゲイの方も来られてました。なので、レインボー祭りとかアゲハ並みに友人・知り合いにたくさん会えたし、以前パレードのスタッフをやってた方などもたくさん来ていたので、ちょっと同窓会みたいな趣もありました。
 
 そういう、以前(今とは違って一般企業の協賛もほとんどなく、手弁当で、コミュニティの皆さんの協力によってなんとか開催できていたけど、実行委員の消耗が激しすぎて毎年実行委員会のメンバーが総入れ替えしていたような時代に)パレードのスタッフをやってた方たちは「あの頃と比べると隔世の感があるよね」と口々に言い合って、つい、昔の苦労話が始まったりして…。そこで必ずフォローするように言っていたのは「今のパレードがあるのは、あの時僕らが頑張ったおかげだよ!」ということでした。「そうだよね。ありがとう」と言って涙を拭う同志の姿に、こちらも胸がつまったりして…(しかし、かつてパレードの運営にあたった英雄たちのなかには、未だにあの会場に足を運ぶことすらできない方もいて…その傷の深さを思うと、胸が痛みます)。ともあれ、(すでに亡くなった方も含めて)これまで頑張ってきた方すべてに、あらためて拍手を贈りたい気持ちです。そして、まだあの場に行ったことのない方にはぜひ、来年こそは(2017年5月6日・7日の土日だそうです)東京レインボープライドを体験していただきたいと、特に、地方在住だったりして独りで悩んでいるような方こそ、なんとか足を運んでみてほしいと思うものです。来年もまた、あの場所で、笑顔でお会いできることを期待しています。
(後藤純一)
 

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