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レポート:第14回台灣同志遊行(Taiwan LGBT Pride)

10月29日(土)、第14回台灣同志遊行(Taiwan LGBT Pride)が盛大に開催されました。今年も約8万人が参加したというアジア最大のパレードをレポートいたします。

レポート:第14回台灣同志遊行(Taiwan LGBT Pride)

2016年10月29日(土)、アジア最大のパレード「台灣同志遊行(Taiwan LGBT Pride)」が盛大に開催されました。残念ながらちょっと雨に降られたりもしたのですが、ものすごい数の人たちの熱気があふれるパレードと、その日の夜の様子をレポートいたします。(後藤純一)

パレード!

 多くの人がTシャツ+ハーパンという暖かい日ではあったのですが、パレード参加者が会場に集まる頃は、時折小雨がパラつき、絶好のパレード日和というわけではありませんでした。
 しかし、パレードに参加するためにMRT(地下鉄)の台北車站駅から台大医院駅へ向かう時に、レインボーカラーを身につけた大勢の人たちがいて、友達としゃべったり、恋人と手をつないだりしている姿を見て、熱気や幸福感がひしひしと伝わってきて、ちょっと涙が出そうになりました。
 台大医院駅を降りて地上に出ると、会場の凱達格蘭大道へ向かう人たちの人波で、大混雑していました。普段だったら1分くらいで着くところを15分くらいかけてようやく会場にたどり着くと、もはや会場に入りきれないくらい、人が溢れていました。台北のパレードに参加するのは4回目ですが、ここまですごいのは初めて。年々参加者が増えており、昨年は8万人だったと発表されましたが、嘘じゃないなあと実感。今までだと(2年前の時も)、会場を歩き回る余裕があり、友達を見つけたり、素敵なコスチュームの人がいたら写真を撮らせてもらったりしていたのですが、今回は本当に身動きが取れず、諦めました(カオス、という言葉が頭に浮かびました)。はるか前方のステージでは集会が開かれていますが、とてもじゃないけどそこまで行けません。広場の横の端にはブースも並んでいますが、そこまで行くのも一苦労。かろうじてエイサーの「新虹」の方たち(遠目からもわかりやすい格好)を見つけてお話をしたり、大通り(中山南路)を渡った出発地点付近のフロート(先導車)が並んでいる辺りに行ってみたら、偶然、東京レインボープライドのフロートの参加者の方たちに会えました。フロートには以前あまり見かけなかったドラァグクィーンがたくさん乗っているところもあり、変化を感じました。
 
 そうこうしているうちにパレードが出発。今回も、人が多すぎるため、北ルートと南ルートに分かれて歩きます。東京レインボープライドのフロートは南ルートなので、今回は南ルートを中心に写真を撮りました(全体を把握するためには2人必要だな…と改めて感じました)。日本だと交通事情に配慮し、1フロート辺りの人数が250人までと定められていますが、台北では平気で何千人も歩くので、圧倒されます。レインボーカラーをあしらったウエディングドレスの女性たち(中には女装の方も)、大きなのぼりやプラカードでメッセージを伝える団体・サークルの方たち(やはり婚姻平等権と書かれたものが多かったです)、お揃いのTシャツを着た企業の一団(hp、citi、GAP、J.P.Morganなど)、ベビーカーを押したり赤ちゃんを抱っこしたりしながら歩く方たち、レザーや制服系のグループなど、実に多様な方たちが歩いていました。今回は、東京のようにマーチングバンドも参加していました(先頭で指揮をしていたレザーの方が素敵でした)。Jack'dやHornetなどのゲイアプリはGOGOボーイ的なイケメンたちをたくさん用意してアピールしていました。同様にGOGOボーイを乗せたGX3のフロートもありました。そして、ジャスミンさんとGyuqoさんを乗せた東京レインボープライドのフロートの後には、「TAIWAN JAPAN」とデザインされたTシャツの方たちや、和装の方たちなど、ピコ太郎コスプレの方など、たくさんの日本人の方が歩いていました(レインボーマーチ札幌の旗もなびいていました)
 北ルートは中山南路→青島東路→林森南路→忠孝東路一段→忠孝東路二段→新生南路一段→仁愛路二段→仁愛路一段という、台北のメインストリート忠孝東道を歩くコース、南ルートは信義路一段→信義路二段→新生南路→和平東路一段→羅斯福路二段→羅斯福路一段→中山南路​という、中正紀念堂の周囲をぐるっと回るようなコースでした(こちらに地図が載っています)。今回は残念ながら、行進中にザーッと雨が降る場面もありました…が、あの南国の暑さ、そして人々の熱気が、悲しみを和らげてくれたのではないかと思います。ともあれ、パレードを歩いた方、フロートを出展された皆さん、本当におつかれさまでした!

 台北のパレードでは、東京のパレードには参加していない方が楽しそうに歩いているのをたくさん見かけます(お揃いの祭り装束だったり、浴衣や甚平だったり、レザーの方もいらっしゃいます)。地元だと誰が見ているかわからないという不安があるけど台湾ならそういう心配がないということかもしれませんし、異国の地の方がハジけやすいということかもしれません(逆に、たぶん地元の方で、とりあえず会場には来ているけどパレードに参加せずに広場で待っているという方たちもいらっしゃいました)。この台北の自由な空気が人々を解放的な気持ちにさせるのではないでしょうか。また、例えば中国やシンガポール、マレーシアなど、パレードがない国から来られている方にとっては、これがパレードを歩ける貴重な機会なのでしょう。アジア各国から集まった方たちの思い…アジアで初の同性婚の実現を台湾に託す気持ちとか、どの国でもパレードができますようにという気持ちとか、いろんな思いが熱気となってこのパレードに結集しているんだと思います。
 
 パレードの夜に西門のゲイバー街でお会いした「台北のパレードに10年通っている」という方のお話では、ゲイであることをカムアウトしたhushという台湾のアーティストも参加してたそうです。彼に「この10年を振り返って、どう変わってきてると思いますか?」と聞いてみたところ、「最初は大学のサークルの集まりからスタートして、今も基本はサークルの集まり。サークルの代表が集まって民主的に運営されている。人が多くなってコースが分かれるようになって、パレードとしての一体感はなくなったかもしれない。昨年のテーマは『ジェネレーション』だった。若さでイェイイェイしてるだけではなく、老後のことを考えよう、という趣旨。同性婚が認められるのはすでに前提になっていて、その先を行っている」とのことでした。あの熱気は、同性婚実現を目前に、国会で認めてほしいと訴えるものなのかなと思いきや、すでにその先を見据えていたなんて…やっぱり台湾すごい、と思いました。
 


ディナーパーティ 

 パレードの後、台北101やWホテルにほど近い、高級ショップやデパートが林立する信義区台北市政府前(台北の銀座と呼ばれるエリア)にある「Bellavita」というデパートの中にあるレストランで「2016 LGBT Network Party 彩虹盛宴」という日台友好ディナーパーティが開催されました。主催者は台北のゲイの方でした(前夜に開催された台湾初のLGBTアワードセレモニー「Queermosa Awards」にも関わっていたそうです。なお、これに参加した方のお話を聞いたところ、台湾のセレブがたくさん登場して、アカデミー賞みたいな雰囲気だったそうです)
 お食事はバイキング形式で、日式料理が食べ放題。スイカやデザートもありました。ビールやカクテル、ソフトドリンクなども飲み放題で、これで1000元(3000円ちょっと)は安いかも、と思いました。 
 参加者は、地元台湾の方がいちばん多くて(パレード参加後、そのままの格好で来られている方も多かったです)、あとは日本人の方。欧米系の方もちらほらいらっしゃいました。ほとんどがゲイの方のようにお見受けしました。
 20時頃から前方のステージで催しがスタート。司会は地元で有名な俳優の方(映画『GF*BF』にも警官の役で出演していたそうです)。イケメンモデルによるファッションショーがあり(2xist提供のアンダーウェアショーも)、ライブがあり、たくさんの賞品が当たる抽選会があり(一等はグランデコのイベントの招待券。当たったのは台湾のガチムチ系の方でした)。最後はカラオケ大会に。杉山文野さんが流暢な英語で東京レインボープライドについて語ったり、Out Asia Travelの小泉さんがグランデコのイベントの紹介したりする場面もありました。
 帰りにお土産でコスメブランドの美容パックをもらいました(早速その晩、ホテルで使用。潤い、大事ですよね)
 


西門の夜はアツい

 夕食会の後、MRTで西門(シーメン)に移動し、紅樓(ホンロウ)のゲイバー広場(オープンカフェ状態でたくさんのテーブルが屋外に並んでいる所)に向かいました。予想通り、ものすごい人出!でした。広場の一角には特設のステージが設けられ、何やらイベントも開催されていた模様(Mr.Gayコンテストだったそうです。もうちょっと早ければ見れたのに…)。東京レインボープライドのフロートに参加していた方たちと合流し(今回はかつてのレインボーマーチ札幌の関係者の方も来られていました)、台湾ビールを飲みながらいろいろお話しました(正確に言うと、最初、どのお店も一杯だったので、近くのお寺の境内で飲んでて、夜更け頃に戻ってきました)。毎度のことですが、とにかくたくさんの、いろんなジャンルのゲイの方が出入りしていて、目がハートになるような方たちも多数…目移りしちゃって大変でした。ちなみに紅樓の建物の2階にある「GisneyLand 紅樓部屋」というコミュニティセンターでは、龍谷尚樹さんをはじめ3人の日本のゲイアーティストの作品展が開催されていました。
 ちなみに、ゲイバーは林森北路(MRT中山駅から徒歩数分)にもたくさんあります。「Goldfish」というバーは素晴らしくオシャレです。ママが日本語ができることで有名な「SCORPIO 天蠍座」や、カラオケが楽しめるようなお店もこのエリアにあります。天候に左右されず(西門はオープンエアなので雨が降ると大変)ゆったり落ち着いて飲みたい方や、カラオケを楽しみたい方などは、このエリアの方がよいかもしれないですね。なお、どのエリアのお店も共通ですが、カクテルを注文すると、とてもお酒が濃いことが多いのでご注意ください(お酒が弱い方には台湾ビールをオススメします)
 元気だったらクラブパーティにも足を運んでみたかったのですが、運悪く持病の腰痛が悪化していて(道中ギックリ腰になったらどうしよう…と怯えながら行動していました)、今回はクラブパーティは断念しました。が、「WERK! @Triangle」に行ってきたという方に偶然会い、話を聞くと、ゲイだけじゃなくいろんな人が来ていて、音もHOUSE系で踊りやすかった、楽しかった、とのことでした。(3夜連続の「Formosa Pride」の方はサーキット系のゲイナイトだったそうです)
 そんな感じで、西門にいると、友人知人に会えて、いろんな話を聞けるので、翌日も西門に行って飲んでました(たまたま、翌日は台湾の祝日となっていたので、日曜でもたくさん人がいました)。そこで得た情報も織り交ぜて、ホットなスポットや遊び方のコツをお伝えしてみます。
  
 まず、このプライドウィーケンドはとにかくゲイ人口が過密になるので、サウナなども入場待ちになることが多いようです(特に「ANIKi WoW!」の泡パーティの時などは数時間並ぶとか…)。その代わりというわけではないのですが、西門にオープンした「hunt」というアンダーウェアバーが人気スポットになっているそうです(金曜夜にはローションレスリングが行われていて盛り上がったそう。行けばよかった!)
 それから、以前は温泉といえば川湯や皇池でしたが、取締まりが厳しくなり、昨年その近くにオープンした「皇鼎會館」という温泉に民族大移動しているそうです。オーナーさんがゲイの方で、寛容なんだとか(ほとんどゲイ専用のお風呂になっているというウワサです)
 SNSやアプリを駆使して現地にお友達ができると、旅が俄然、楽しくなります。地元の人しか行かないようなご飯屋さんに連れて行ってくれたり、中には車でいろいろ案内してくれる方もいらっしゃるようです。そうでなくても、台湾慣れしている(中国語が話せるような)方が一緒だと、行動範囲が広がります。そうでなくても、パッケージツアーを利用すると、遊び方を教えてくれたり、アテンドしてくれたりもします。
「台湾では日本人がモテる」という話を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、一昔前の話というか、もはや都市伝説かもしれません。あれだけゲイシーンが成熟すると見た目のレベルも上がりますし、もともと台湾の方(に限らず、韓国など兵役がある国の方)はマッチョ〜ガチムチなガタイ系が多いので、体を鍛えていない日本人は貧相に見えてしまい、不利なのです(逆に、筋トレをちゃんとやってる方なら自信を持ってよいと思います)
 
 もし来年行くとしたら…ということで、理想の台北プライド旅行の行程を考えてみました。うまく休みを取って、金〜月の3泊4日で行くのが理想です。まず、金曜夜に到着し、腹ごしらえをして、軽くバーで飲んだりして、翌日に備えます(ホテルは西門か林森北路辺りで取るとよいでしょう。それ以外のエリアでも、タクシーが安いのでそれほど気になりませんが)、土曜の昼間はパレードを思いっきり満喫。夜は、ディナー後にまず西門に向かいましょう(二丁目と違って早い時間が盛り上がります)。夜更け過ぎにクラブパーティに行ってもいいと思います。日曜は旅の疲れを癒しに、温泉に行くとよいでしょう(今年は雨だったので残念でしたが、来年もプールパーティがあるかもしれないですね)。合間に美味しいものを食べたり(いろんな意味で)、マッサージを受けたり(いろんな意味で)してもいいですね。
 沖縄と並び、ハマる方が多い台湾。アジアを代表するゲイの楽園です。きっと通えば通うほど、新たな楽しみが見つかったり、遊び方が上手になったりすると思います。
 来年は記念すべき第15回のパレードですので、さらに盛り上がることと思います。みなさんもぜひ、台北プライドへ!
 

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