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映画祭代表・宮沢英樹さんへのインタビュー

第20回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の代表をつとめる宮沢英樹さんへのインタビューをお届けします。記念すべき20回目にふさわしい企画、これまで続けてきた映画祭への思い入れなどについて、お聞きしました。

映画祭代表・宮沢英樹さんへのインタビュー

第20回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(以下「映画祭」)の代表をつとめる宮沢英樹さんへのインタビューをお届けします。宮沢さんが初めて映画祭に関わったのは第8回のとき(1999年)。第11回目から代表をつとめていて、今年でちょうど10年になります。今年は震災の影響などもあって、10月に延期になったり、規模も縮小した感がありますが、やはり記念すべき第20回ということで、何かそれにふさわしい企画が盛り込まれていると思います。その辺りについて、渋谷でのパンフレット配布作業の合間に(本当におつかれさまです)お話をお聞きしました。(聞き手:後藤純一)


——今年の映画祭は第20回記念となりますが、何か20回にふさわしい企画があれば、教えてください。

本当は、当初考えていた通り、会期を長くしたり、いろいろやりたかったんですが、震災後のバタバタで、会期も短いし、作品も少ない、こういう形になりました。20回目にあたって何かはしたいね、と話している最中です。

——まず、パンフレットがメモリアルですよね。今までのパンフの表紙が並べられていて。 中を見ても、美輪さんのコメントとか、これ以上はないくらい素晴らしいですし。

みなさんに好評をいただいてます。あと、今年はいろんなスポンサーに恵まれて、広告もたくさん出していただきました。

——ソフトバンクやグーグル、アルファロメオも。こんなに大企業が並ぶのは初めてですよね。これまでにもタワーレコードとかありましたけど。

それから、今までずっと陰で支えてくれていたインターバンクさん(注:外資系金融系企業が合同したネットワーク)が今回初めて表に出てくれました。キースへリング美術館も協賛についているので、当日何か…展示とかができればいいね、と話しています。何かしらおもしろいことはやりたいと思ってます。パーティもひさびさに「カイ」(スパイラルの地下のレストラン)でやりますし、ブースもかなり充実した感じで会場が華やかになると思います。あとは、アルファロメオさんがドリンクを提供というかたちで、オープニングの前に簡単なレセプションを企画しています。

——ちょっとセレブ的な。オシャレな感じで。

それに合わせてビッグなゲストを呼びたいねと話しています。(※その後、フォトグラファーのレスリー・キーが来てくださることになりました!)

——それは楽しみです!

あとは、20年を振り返る企画を何かやりたいと思っていて、昔の写真や映像を見ながら何かできればいいなあと。僕が映画祭が関わったのは8回目からで、その前は川口隆夫さんに話を聞いてだけで、よく知らない。なので、改めて、立ち上げた方である南定四郎さんにお会いして、当時のお話を伺おうかと思っているところです。

——南さんや川口隆夫さん、昔活躍されてた方たちが会場に来られたら素敵ですよね。今回、宮沢さんが代表になってから10回目でもありますよね。いちばん長く代表をつとめた方になると思います。

なんでこんなことになったんでしょう(笑)

——宮沢さんの人柄ですよね。

いやいや、周りに迷惑ばかりかけて。

——この10年の間に、新宿の「バルト9」でも開催したりとか、いろいろ発展した部分があると思います。そのなかで、すごく個人的なことでいいので、いちばんうれしかったことは何ですか?

僕がいちばん最初に代表を引き受けたときって、次に代表やる人がいなくて、ある意味、映画祭の危機だったんです。ボランティア団体なので、しょうがないんですが。僕もそれまで3年関わってきて、映画祭が無くなるのはいやだなと、素敵な場所だし、ずっと続けていきたいなという気持ちで、とりあえずその場は引き受けたんです。でも、8000人くらいの方が来てくださった年もありましたし。僕が何かしたわけではないけど、集まったスタッフの力で、こんなに大きく、愛される映画祭になったのは、すごくうれしい。続けてきてよかったと思います。毎年危機は危機なんですけどね。

——では逆に、今まででいちばんしんどかったことは何でしょうか?

本当に個人的ですけど、とても忙しかった時期に、メールを見るのがとてもいやでたまらなくなったことがあって。それですごく悩んだ時期がありました。

——たくさんありすぎて処理しきれない。

大した話ではないんですが。でもボランティアのみんなが支えてくれたおかげで乗り切れました。スタッフの存在が大きいですね。僕は代表といっても名前だけで。何もしてないに等しい。スタッフには感謝してます。つらい時期はありましたね。代表…大変ですよね。

——スタッフでミーティングとかして、こうしようああしようと話しあうなかで、意見が対立してもめたりということが往々にしてあると思いますが、運営上の苦労ってありますよね、きっと。

いろんな意見を出し合ったほうがいいということで話し合いますが、もめたりとかは幸い、ありませんでした。でも、運営っていう話では、やはり非常に難しいところがあって。みんな会社勤めをしてるボランティアですし、常任もいないし、手が回らない部分が多々あります。10年やってきても、相変わらず、作品の選考が遅れたり、パンフレットの制作が遅れたり。毎年いろいろご迷惑をかけています。なので、ボランティアで入って来られた方が「映画祭をよくしたいんだ」といってものすごいやる気を持って来られても、現状ではなかなかその気持ちに応えきれなかったりします。そういうジレンマを抱えながらやっていて。そういう点では申し訳ないと思っています。逆に、ある程度「ゆるさ」がないと長く続かないし、そこが良さだと言ってくれる人もいますが。

——なるほど。この10年くらい、7月開催で定着してきたと思いますが、今年は10月に延期になりました。これはAQFFが5月から7月に延期になったように、震災の影響が大きいのでしょうか?
 
震災の影響もありました。僕をはじめ、震災後は動けなくなった人も多かったし、この夏は計画停電が実施されるのでは?と言われていたので、映画上映ができなくなる心配もありました。

——ロードショー上映だったらまた日を改めて来てくださいと言えますが、日時が決まっている映画祭ではそういうわけにはいかないですよね。

それから、プログラム的な話で、たとえば2月にベルリン国際映画祭があって、テディ賞(最優秀ゲイ映画賞)の発表がある、5月にカンヌ国際映画祭がある、そういう映画祭で話題になった最新の作品を7月の映画祭に持って来ようとすると、けっこう厳しいものがあるんです。それで以前から秋に開催したいという意見があったんです。今年は10月になったおかげで、作品選考がうまくいってるんです。

——世界の映画祭で話題になった最新の作品がいち早く観られるということですね。

ただ、会期が短い関係で、プラグラムの枠(コマ)が10種類しかなくて、長編を優先した結果、短編集が無くなったということがあります。でも、一本一本がとても良い作品です。日本作品はとても貴重なトランスジェンダーのドキュメンタリーで、たくさんの要素が詰まった、それでいてよくまとまっている作品。

——トランスジェンダーといえば、オープニングの『ロミオ』もFTMのゲイの方が主人公なんですよね? とても貴重。

主人公の周りにはたくさんゲイやレズビアンがいるけど、ネガティブなことを全く感じてない。新しい時代の作品だと思いました。

——そういうなかで、FTMの主人公だけが包摂されず、悩んでいる。とてもリアルな問題提起になっていると思います。

ひさしぶりにHIVに関する映画も上映します。それから、今年は原発の影響で海外のゲストが誰も来ないのでは…と思っていたのですが、意外にたくさん来てくださいます。

——それはとてもありがたいことですね。三連休でもありますし、たくさんの方に映画祭を楽しんでいただきたいと思います。本当におつかれさまです。ありがとうございました。