COLUMN
A型肝炎とエムポックスの予防ってどうしたらいいの?
梅毒だけでなく、A型肝炎とエムポックスも流行しはじめているようです。あらためて予防に関する情報をまとめてお届けします。みなさんのセックスライフに役立てていただければ幸いです

9月15日、aktaがHIV、梅毒、A型肝炎、エムポックスの報告数がひと目でわかる特設ページ「東京の感染症、いま、どれくらい?」を公開しました。そのデータを見ると、HIVと梅毒はコンスタントな感染になっているのに対し、A型肝炎とエムポックスの報告数が昨年より顕著に多くなっており、感染がじわじわ拡大している(流行が始まっている)様子が見てとれます。そこで、これを機に、あらためてもう一度、感染症の予防に関する情報をまとめてお伝えします。みなさんのセーファーセックスに役立てていただければ幸いです。
性感染症というのは実に様々あって、陰毛が激しくかゆくなる毛じらみのような軽いものもあれば、排尿時に痛みを感じたり膿が出たりする淋病・クラミジア、性器や肛門の周辺にカリフラー状のできものができる尖圭コンジローマ、赤痢アメーバが肝臓に入って膿がたまり重症化する肝膿瘍など、放ってはおけない厄介な病気です。最近はハッテン場もキレイになって、毛じらみが出たという話もあまり聞かなくなりましたし、PrEPなどのおかげでHIVに感染する人も減ってきていますし、以前より状況がよくなっている感はあります。(おそらく世の中がLGBTQフレンドリーになったことも関係していると思います。ホモフォビアは性感染症の予防を阻害します)
ただ、「東京の感染症、いま、どれくらい?」を見る限り、A型肝炎とエムポックスとが、明らかに昨年より感染報告数が増えていて、じわじわと右肩上がりになっています。これは流行期に入っていると見て間違いないでしょう。
5年ほど前に梅毒の流行が始まった際、メディアが若者の“性の乱れ”を非難したようなこと、医療機関や保健所の方などが「セックスを控えましょう」と言ったりするようなことは、g-lad xxは支持しませんし、採用しません。不特定多数の人とのセックス(ハッテン)も含め、セックス自体をやめることはできないし、その必要もありません。また、さも“遊んでる”ことが悪いかのような口調で他の人を責めたりするのは、セックスを後ろめたいものとして捉えさせ(スティグマ化し)、性感染症の症状の発見や病院の受診を遅らせ、結果的に感染を拡大させることにつながります。大事なのは、セックス自体を倫理的に判断(ジャッジ)することではなく、性感染症に関する正しい知識や情報を広め、みんなが予防のポイントを体得し、できるだけセックスの現場でそれを活かせるようにしていくことです。あくまでも自分自身がどこまでセーファーにするかをその都度判断し、実践するということ。100%は無いし(100%を追求したらセックスをやめるしかありません)、セックスする以上、何らかのリスクはあるので、じゃあどうしたら気持ちよさを損ねずにセーファーにできるのかという技やテクニックを磨いたり、プレイの中身を変えてみたり(実はBDSMのようなハードなイメージのプレイのほうが安全だったりとか)、探究や試行錯誤を重ねていくことなんじゃないかと。セックスワーカーや薬物依存の話にも通じるものがあると思いますが、「臭い物に蓋」的な対応や厳罰化は、スティグマやフォビアを深刻にさせ、地下に潜っていったりするので、解決にはつながりません。性をオープンにして後ろめたさを払拭し、明るく楽しむ姿勢こそが予防に有効だと思います。
以下に、(先のニュースとあまり変わりませんが)A型肝炎とエムポックスの予防についての情報をお伝えします。
あまり恐れず、感染経路や予防のポイントを学んだうえで、実際のセックスに役立てていただければ幸いです。もしかしたら、「こんなの全部守ってたらバニラしかできないじゃん」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、自分のこだわり・譲れない部分と、感染しないためのより安全な予防策とが折り合うラインをうまく見つけていただければと思います(例えばシャワーがない店舗ではケツを使うのはやめておこう、とか、あまり暗くない場所に行こう、とか、1人とセックスしたらその都度シャワーを浴びて体を清潔に保とう、など)
★A型肝炎
HIVマップに掲載された「A型肝炎が性感染症だって知ってますか?男性同士のセックスで、国内外で繰り返し大流行が起きている!」という記事や、2018年にA型肝炎が流行したときのキャンペーンサイトがとても参考になります。
<感染経路>
・A型肝炎は(B型肝炎と異なり)糞口感染です。ウイルスが入った便が手指、陰茎、肛門などを介して口から侵入することで感染します。具体的な行為としては、アナルリミング(ケツなめ)、肛門に触れた陰茎をなめたり口に入れる、肛門に触れた指や手をなめる、などです。感染力が非常に強く、ごく少量の便でも口に入ると感染します。
<予防法>
・体が清潔な状態でセックスすることが大切です。ハッテン場など複数の方とヤル可能性がある場所では、タチの方は、肛門に触れた指などが口に入らないよう気をつけましょう。誰かとアナルセックスした後、すぐにまた別の人とヤルのではなく、都度都度シャワーを浴びるように心がけましょう。ウケの方は、ケツに入ったモノをなめないように気をつけましょう。
<ワクチン等>
・A型肝炎はワクチンによる予防が有効です(約5年程度、有効な免疫がつきます)。しかし、最初に打って、1ヵ月後、半年後にまた打って、と3回の皮下注射が必要で、1回あたり約16,000円~22,000円の費用がかかります。約6万円ってなかなか勇気出ないですよね…。でも、入院したり、ごくまれですが劇症化したりするリスクを考えると、打っておいたほうがよいのではないでしょうか。
<治療>
・セックスから2〜4週間経って発熱や黄疸(目の白い部分が黄色くなったりおしっこがオレンジ色になったりする)が現れたらすぐに病院へ。数週間〜3か月、入院または自宅での安静によって肝臓への負担を減らし、自然治癒(肝機能の快復)を待ちます。
★エムポックス
こちらのコラムにまとめた通りです。
<感染経路>
・感染している人との濃厚接触(発疹や水ぶくれ、かさぶたに触れる、性器や肛門に触る、相手の精液や唾液と自分自身の粘膜が触れるなど)によって感染します。
<予防法>
・相手の体に発疹や水ぶくれ、かさぶたがないかどうか見えるくらいの明るさの場所でセックスすること、コンドームを使用することなどが有効だと考えられます。
<ワクチン等>
・エムポックスは一般のワクチン接種が受けられず(感染者の濃厚接触者など特定の臨床研究での接種のみ)、PrEPやDoxy-PEPでも防げません。
<治療>
・セックスから1〜2週間経って発疹や発熱などの症状が現れた場合は、何でも話せるかかりつけ医や、性について話しやすそうな感染症の専門医やクリニックを受診しましょう。エムポックスも対症療法が中心で(発疹や水ぶくれが痛んだり痒くなったりするのを抑えたり、熱を下げたり)、1ヵ月ほどで治るはずです。
エムポックスは、無症状で感染するケースがあるかどうかや、現在流行している新しいタイプのウイルスがどの程度毒性が強いのかなど、まだわからない部分もあります。なかにはHIV検査をずっと受けずにいて知らずに免疫力が低下した状態でエムポックスに感染し、亡くなった方もいらっしゃいます。定期的にHIV検査を受けておくことも大切です。
INDEX
- A型肝炎とエムポックスの予防ってどうしたらいいの?
- コラム:セクシュアルヘルス 2026年夏
- 2026年6月のHIV検査キャンペーン
- 4月から上京するみなさんに贈る言葉
- 世界エイズデー2025のキャンペーン
- 差別について考える――自分自身が加担してしまわないように
- ゲイの孤独と「社会的健康」
- 2025年6月のHIV検査キャンペーン
- 教えて先生! 実践的SAFER SEX(1)セックスその前に
- 2024年を振り返る(3)海外の動き
- 2024年を振り返って(2)実はいろいろあったスゴいこと
- 2024年を振り返って(1)同性婚実現への希望
- 世界エイズデー2024のキャンペーン
- ゲイの世界におけるルッキズムとは?
- 2024年6月のHIV検査キャンペーン
- TVドラマ史上最もLGBTQが花盛りだった2024年1月クールを振り返って
- 2023年の世界エイズデーキャンペーン
- エムポックス(サル痘)のワクチン接種について
- 2023年6月のHIV検査キャンペーン
- サル痘(mpox)が感染拡大しています。予防に努め、みんなで力を合わせて感染拡大を防いでいきましょう
SCHEDULE
記事はありません。






