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COLUMN

レポート:第2回レインボー国会 

3月13日(火)、衆議院第1議員会館B1大会議室で第2回「レインボー国会」が開催され、東京2020大会が「多様性の祝祭」となるよう、スポーツ界でのLGBT差別解消に向けた有意義な議論が行われました。

レポート:第2回レインボー国会 

2018年3月13日(火)、衆議院第1議員会館B1大会議室で第2回「レインボー国会」が開催されました。会場はほぼ満席で(約300名の方たちが集まっていました)、22名の国会議員の方々も参加して、東京2020大会が「多様性の祝祭」となるよう、スポーツ界でのLGBT差別解消に向けた有意義な議論が行われました。レポートをお届けします。併せて、GWに開催される「春のカラフル大運動会」の情報もお届けします。(後藤純一)


概要

第2回 レインボー国会:レインボー2020 〜オリンピック・パラリンピック・スポーツ界からSOGIハラをなくし、子どもたちの未来を変える!〜
開催日時:2018年3月13日(火)11:30ー13:45
会場:衆議院第1議員会館B1大会議室
主催:LGBTに関する課題を考える議員連盟、「なくそう!SOGIハラ」実行委員会

<次第>
1. 開会挨拶
2. パネルディスカッション
パネリスト:馳浩(LGBTに関する課題を考える議員連盟会長)、來田享子(中京大学スポーツ科学部教授)、荒田有紀(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会準備運営第一局持続可能性部 部長)、杉山文野(元女子フェンシング日本代表)
モデレーター:土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
3. 質疑応答
〜休憩〜
4. 特別報告「平昌五輪におけるSOGIの取組み」
5. リレートーク「2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて期待すること」
6. 行動提起
7. 閉会挨拶


レポート


池田宏さん

土井香苗さん

パネラーのみなさん




 初めに、主催団体「なくそう!SOGIハラ」実行委員会から、松中権さん(認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表)と、池田宏さん(LGBT法連合会共同代表)が開会の挨拶がありました。
 
 続いて、メインのパネルディスカッションが行われました。
 ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗氏がモデレーターをつとめ、LGBT議連会長の馳浩氏、中京大学スポーツ科学部の來田享子教授、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会準備運営第一局持続可能性部の荒田有紀部長、元女子フェンシング日本代表の杉山文野さんが登壇しました。
 來田氏は、日本体育協会スポーツ医科学専門委員会が実施した「スポーツ指導に必要なLGBTの人々への配慮に関する調査研究」(1万人ものスポーツ指導者から回答があったそうです)の結果を紹介しました。「スポーツは男/女をはっきり分けて競技が行われ、また、体力的には男性が優位だとのイメージがあり、男らしさを強調するような教育が行われ、性別がはっきりしないことは敬遠される傾向がある。つまり、スポーツはSOGIハラ※の砦の一つとなってきた」との指摘がありました(とても興味深かったです)。海外では一定の条件の下で性別変更した選手が五輪に出場した例もあるほか、SOGIハラをなくすためのスポーツ活用の実践、成果も報告されているそうです(目から鱗でした)
 馳氏は、ソチ五輪の際にロシアでのLGBT差別に対して欧米主要国の首脳が開会式をボイコットしたことや五輪憲章の性的指向による差別を禁じる条文のことなどを挙げて、我が国としてどうするか、話し合いが持たれた、その結果、人事院規則の改定(LGBT差別禁止を明文化)や経団連の提言につながった、といったことを語りました。五輪はメダルの数を競うものではなく、スポーツを通じて環境や人権などの理念を広めるものだ、とも。
 荒田氏からは、すでにSOGIハラをなくしていくことが謳われている「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」の第2版が6月に策定される予定であることが発表されました(すでに検討委員会が立ち上がり、松中権さんらも参加して議論が進んでおり、4月下旬には案が示され、パブコメ募集が始まる予定だそうです)。五輪のサプライヤー・流通企業に対し、取組状況の記録や開示、遵守状況の確認・モニタリングを行い、きちんとLGBT差別禁止施策が行われるよう担保するほか、何か差別事案が発生した際に通報できる窓口を設ける方針だそうです。そして、東京2020大会の人権分野の大目標として「多様性の祝祭 Most Inclusive Game Ever」という案が示されました。
 杉山さんは、自身や周囲のLGBTたちが直面してきたスポーツ界での差別的体験や困難について語りました(トランスジェンダーの方は、ホルモン投与がドーピングに当たるため、選手としてやっていこうとすると、性別移行をあきらめざるをえない、という現状もあるそうです)。そして、レズビアンであることをカムアウトした元女子バレー選手の滝沢ななえさんからのメッセージを代読しました。

 セクシュアルマイノリティが受け入れられる世の中になってくれたら、競技者もありのままの自分として競技に集中できると思います。
 競技をするのは自分だけど、競技をさせてもらっている環境はファンや関係者といった大勢の人に作ってもらっているので、その肩たちに嘘のない本当の自分を応援してもらえることほど競技者にとって幸せなことはないと思います。
 競技者にとって周りの応援ほど支えになるものはありません。
 それはスポーツだけでなく、すべての分野で言えることだと思います。


※SOGIハラ:昨年の第1回レインボー国会で提唱された言葉。SOGIに関連する差別やいじめ、いやがらせを指します。望まない性別での生活を強いられたり、学校や職場などで社会的な不利益を被ったりすること全般を示す言葉だそうです。

 パネルディスカッションの後、その場にいらした国会議員の方々から一言ずつメッセージが述べられました。
 
 休憩を挟み、松中権さんから、平昌五輪におけるSOGIの取組みについてレポートされました。KOCもLGBT差別禁止を謳ってはいたものの、実際は周知されておらず、プライドハウスの実行委員会が代わりにアナウンスしたり、メディア向けのガイドラインを作成したり、会場にバナーを掲げたりなど、様々に頑張っていたこと、国内では助成が受けられず、カナダのCOCの協力でプライドハウスの場所が確保されたことなど、日本ではほとんど伝わってこない貴重なお話が聞けました。
 なお、松中さんは、東京2020大会で「プライドハウス東京」の設置を目指して活動中です。
 
 その後、リレートークとして、五輪スポンサー企業(ANA)や、国際学生団体(AIESEC)、富山で活動している当事者の方(ダイバーシティーラウンジ富山の林さん)、中野「LOUD」の大江千束さんらが簡単にスピーチしました。大江さんは「公には初めて話すのですが…、私、スポーツができる人がタイプなんです」と、笑いも交えながら、シドニー五輪の閉会式でたくさんのドラァグクイーンが登場したことに触れながら、東京五輪がレインボーたなびくイベントに…と妄想しています、と、素晴らしいお話を披露してくれました。

 最後に、LGBT法連合会事務局長の神谷悠一さんと、アムネスティインターナショナル日本の山下瑛梨奈さんがご挨拶しました。
 

 全体を通じて、2020年までに、超党派のLGBT議連を中心に、LGBT差別を解消するための法制度を実現しようという発言がたくさんあり、法制定への気運を感じさせました。

 また、性別適合手術の保険適用について、厚労省からホルモン治療を行っている人は(混合診療となるため)保険適用から除外すると発表があったことに対する意見なども一部の議員さんなどから述べられました(レインボー国会終了後、議員会館内で、性同一性障害特例法、性別適合手術の保険適用などに関する専門家からの講義が行われました)



GWに「春のカラフル大運動会」開催

 4月29日(日)、東京レインボープライド「Pride Week」のイベントとして、代々木公園陸上競技場で「春のカラフル大運動会」が開催されます。東京2020大会でのLGBTフレンドリーな情報発信施設「プライドハウス東京」につなげる企画の一環として、年齢も、国籍も、セクシュアリティも、経験も超えて、みんなで一緒にスポーツを楽しみ、発信していくことで、スポーツ界にあるさまざまな差別や偏見をなくし、多様性を広げるムーブメントを盛り上げていこうとするものです。
 今回の競技種目は、みんなで気軽に体を動かし、楽しんでいただけるように「紅白玉入れ」「トラックリレー」「ムカデ競争」「綱引き」「ジャイアント・バレーボール」の合計5種目です。当日は、参加者のみなさんをいくつかのチームに分けさせていただき、個人戦ではなくチームで力を合わせて、楽しんでいただける運動会を目指します。普段あまり運動をしておらず、体力に自信のないという方でも、自分のペースで楽しんでいただける企画となっていますので、ぜひ、お気軽に参加ください!
 スペシャルゲストも、超豪華布陣となりました! NHKの人気番組「#ジューダイ」のMCとしても大活躍のぺえさんや、元ビーチバレーボール・オリンピック日本代表の朝日健太郎さん、先日、惜しまれつつ解散したSECRET GUYZから吉原シュートさん&諭吉さんが駆けつけてくださいます。さらに、LGBTシーンで活躍をしている、大人気GOGO BOYやドラァグクイーンにも参加を打診中。決定し次第、サイトやSNSでご紹介していく予定だそうです。

第2回 グッド・エイジング・エールズ 春のカラフル大運動会
日時:2018年4月29日(日)11:00〜16:00
場所:代々木公園陸上競技場(通称:織田フィールド)東京都渋谷区神南2丁目3-1
定員:100名程度
※定員に達した場合、申し込みを締め切る場合がございます。ご了承ください。
受付:11:00〜
対象:どなたさまでも
参加費:1000円(パン等の軽食・ドリンク1本付き)
※当日受付でお支払いください。
申込:必要
申込フォームよりお申し込みください。

イベントの流れ:
11:00 受付開始
11:30 開会式(挨拶、競技説明、準備体操)
12:00 競技スタート(種目1〜種目5)
15:30 閉会式(表彰、挨拶)
16:00 終了
※当日、イベント後に懇親会も検討されているそうです。

ドレスコード:
カラフルな運動会になるようレインボーカラーを取り入れたウェアでご参加ください。
何かウェアの一部でも構いません。
運動会となりますので、動きやすいウェアでご参加ください。
400mトラックリレーがありますので、走りやすいシューズでご参加ください。

注意事項:
・更衣室はございません。ウェアは事前に着てからご来場いただけますようお願いします。
・参加費用にスポーツ保険などは含まれておりません。大会中ケガなどがあった場合は自己責任となります。了承の上、お申し込みください。
・午前からお昼を挟んでの会となりますので、パンなどの軽食をご用意させていただきますが、各自必要な方は食べ物等ご持参ください。
・当日は、メディアの取材が入る可能性があります。各メディアとはプライバシーに最大限配慮していただくように依頼いたします。
・雨天の場合、屋内のスペースにて実施予定です。集合日時・場所は、晴天時と同様です。

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