g-lad xx

COLUMN

6月1日〜7日は「HIV検査普及週間」。緊急事態宣言が明けた今こそ、検査・相談を!

毎年6月1日〜7日の1週間は「HIV検査普及週間」。今年はコロナ禍の影響で保健所が大変で、キャンペーンもなかなかうまく進まないようですが…みなさん自身の健康のためにも、ぜひこの機会にHIV検査を受けましょう。

6月1日〜7日は「HIV検査普及週間」。緊急事態宣言が明けた今こそ、検査・相談を!

毎年6月1日〜7日の1週間は、厚生労働省とエイズ予防財団が呼びかける「HIV検査普及週間」なのですが、今年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、保健所でのHIV検査が中止となっている地域もあり、なかなかキャンペーンがうまくいかない、複雑な状況にあるようです。しかし、コロナ禍の今だからこそ、健康には細心の注意を払いたいですし、受けられる時にHIV検査も受けておきたいですよね。これまで外出自粛で検査も難しかったわけですが、幸い緊急事態宣言も明けましたので、今こそ検査の受けどきではないでしょうか?ということで、2019年の新規HIV感染者・エイズ患者の報告数や、保健所でのHIV検査の現状、保健所以外で受けられる検査の代替手段、全国のコミュニティセンターの再開についての情報などをお伝えします。

 
 まず、2019年の新規HIV感染者・エイズ患者の報告数(速報値)が発表されていたので、お伝えします。
 新規HIV感染者は891名、うち同性間性的接触が639名(72%)、新規エイズ患者は328名、うち同性間性的接触が176名(53%)、合計で1219名(815名、67%)でした。
 全体として2018年よりも減少しており、3年連続での減少となっています。感染経路の傾向や、全体に占めるエイズ患者報告数の割合などは、今まで通りです。
(詳細はこちら ※PDFです)
 
 決して新規感染がダイナミックに減っているわけではなく(前年より少し減ったものの、横ばい状態)、依然として3割くらいの方が発症してはじめてわかるという状況に鑑み、厚労省は今年も6月1日〜7日を「HIV検査普及週間」として、「国や都道府県等が、利便性の高い場所や時間帯に配慮した検査を実施するなど、利用の機会を拡大するとともに、広く国民に対して、検査・相談体制に係る情報提供を含む普及啓発を行い、HIV検査の浸透・普及を図る機会とする」としています。
 
 しかし、保健所の方が新型コロナウイルス対策に忙殺され、HIV検査に手が回らない地域もあります(沖縄では2月から県内の保健所での無料検査・相談事業が休止されており、「HIV検査普及週間」も延期されるそうです)。東京都で毎年6月に実施されてきたエイズ予防月間も、今年は無いようです。
 
 HIVに感染してから何もせずにいると、早い人で半年くらいで症状が出ますので(長ければ15年経っても無症状の方もいらっしゃいます)、コロナ禍以前の感染の結果がこれから徐々に現れてくることになります。コロナ禍だからと言ってHIVが待ってくれるわけではありませんので、受けられる時に検査を受けて、早めにわかって治療に向かうことがとても大切です。このまま、なかなか検査を受けられない状況が続くと、エイズを発症してはじめてわかるようなケースが増えていくことも危惧されます。もし発症して免疫力が低下してしまうと、COVID-19に感染した際に重篤化する可能性も考えられます(まだはっきりとしたデータはないそうですが、「より注意を払う必要がある」と言われています)…そういう意味でも、検査を受けてステイタスを把握しておくことは大事だと思います(こちらに、HIV陽性者とCOVID-19の関連について現時点でわかっている情報がまとめられています)
 5月15日にエイズ対策に携わってきた市民団体、HIV陽性者、研究者有志グループが厚労省に提出した「新型コロナウイルス感染症に対する要望書」では、以下のように述べられています。
「新型コロナウイルス感染症の対策に集中することは、海外の発生動向や医療崩壊の実態、また我が国での全国的な拡大動向からみて重要であり、最前線で対応する医療機関や保健所等への支援を継続していくことが必要な状況にあります。その一方で、新型コロナウイルス感染症が流行する以前から、既に治療を必要として通院・入院をしている人々や、これから検査や診療を受けようとしていた人々は、その機会が制限されている現状があります。HIV感染症では、HIV検査の機会が長らく提供されない状況が続くと、エイズを発症するまでHIV感染がわからない人の数の増加が予測されます。また、自らの感染の有無を早期に知る検査機会がなくなることにより、気づかないうちに他者への感染が起こる機会も増え、HIV感染が拡大する可能性も考えられます。しかし、現状での保健所等でのHIV検査の実施は担当者等への負担を増すこととなり、困難な状況にあると考えます。
 HIV検査・相談を必要とする人々への機会提供について、行政、医療機関とNGO等の連携を前提にしつつ、NGO等が中心となって、郵送検査やクリニックでの検査を活用する等により新たなHIV検査の機会を提供し、エイズ対策の減速を抑制する必要があります」
 
 郵送検査は、こちらにも書かれているとおり、専用の検査キットを取り寄せ、自身で血液を採取してろ紙に染み込ませ、検査会社に郵送し、あとでネット上で匿名で結果を見ることができる仕組みです。郵送検査はスクリーニング検査と呼ばれるもので、まれに陽性ではないのに陽性と出る(偽陽性と言います)ケースもあるため、もし陽性と判定された場合は、保健所または医療機関で再度、確認検査を受ける必要があります。
 都内では、南新宿検査・相談室などでも検査を受けられますが、現状、たいへん混雑しています(いま現在で6月23日まで予約がいっぱいです)。もし、気になることがあって急いで検査を受けたいという方などは、クリニックを利用してみてはいかがでしょうか。有料にはなりますが、新型コロナウイルスの対応に追われている保健所の方への負担を減らすことにもつながります(なお、あおぞらクリニックは、クリニックとして日本で初めてHIV遺伝子検査(即日検査)を導入しています。通常の検査は、感染したかもしれない日から数えて4週間経たないと検査ができないのですが、遺伝子検査では最短の13日後に検出が可能です。PrEPの相談やオンライン診療にも対応しています)
 

 一方、緊急事態宣言が解除されたおかげで、これまで休館していた全国のコミュニティセンターが再開されはじめたのは朗報です。郵送検査について聞いてみたいとか、何かセクシュアルヘルスに関して不安がある方、HIVをはじめとする性感染症に関する情報を知りたい方なども、足を運んでみてください(もちろん、感染症のエキスパートの方が、コロナ対策をきっちり行っていますので、ご安心ください)。ゲイコミュニティ向け検査会や相談の情報なども併せてご紹介します。
 
<全国のコミュニティセンターや相談先>
仙台「community center ZEL」 6月1日から再開します
二丁目「コミュニティセンターakta」 5/31プレオープン。6月からの本格オープンに向けて、スタッフの方が準備中です
東京「ぷれいす東京」 HIV陽性者や周囲の人の支援、感染不安に関する電話相談などを行なっています。コミュニティセンターに行くことが難しい地方の方なども、お電話でご相談いただけます
横浜「SHIPにじいろキャビン」 6月から土日も開館、交流会も再開します
名古屋「コミュニティセンターrise」 6月1日から再開します
大阪「dista」 5月27日から限定的に開館しています
松山「BRIDGEプロジェクト&HaaTえひめ」 6月7日にゲイ・バイ男性限定HIV検査会を開催するそうです
福岡「コミュニティセンターHACO」 5月23日から再開しています
那覇「コミュニティセンターmabui」 5月22日から再開しています
 
<HIVの基礎知識、検査マップ>
HIV/エイズガイド
HIV検査相談マップ
ゲイ・バイセクシュアルにやさしい あんしんHIV検査サーチ

INDEX

SCHEDULE