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ゲイ用語の基礎知識

インターセクショナリティ

 インターセクショナリティとは、人種、性別、階級、性的指向、性自認など複数の要因が交差(intersect)することによって、マイノリティの中でもさらに周縁化されるマイノリティの人々がいるということをきちんと捉え、そうした人々が直面する差別のリアリティに目を向け、支援していこうとする際のキー概念です(この言葉の起源についてはこちらに詳しく書かれています)
 ダブルマイノリティ(例えば在日コリアンのレズビアンなど)、トリプルマイノリティ(例えばろう者でHIV陽性のゲイなど)という言葉もありますが、インターセクショナリティは単に複数のマイノリティ性を抱えているということではなく、複数の要因が交差したところに生じる固有の経験、リアリティを重視する考え方です。
 
 ひとくちにLGBTQと言っても、アメリカでは、裕福な白人のゲイたちのキラキラなハッピーライフと、一般的な職に就くことが難しく、多くがホームレス化し、セックスワークを余儀なくされ、HIV感染のリスクに曝され、アメリカで年間何十人もヘイトクライム(憎悪犯罪)の犠牲になっている黒人トランス女性の境遇との間には、天と地ほどの開きがあります。
 黒人トランス女性は、人種差別をはじめ、トランスフォビア、そしてセクシズム(性差別)にも直面するわけですが、個別の問題に分けて考えることにあまり意味はなく、黒人トランス女性だからこその固有の現実があります(ドラマ『POSE』でリアルに描かれていたとおりです)
 黒人トランス女性は、黒人差別+トランスジェンダー差別+女性差別という足し算ではなく、黒人トランス女性としての差別を経験するのです。それが、インターセクショナリティということです。(VOGUEの『フェミニズムに(も)「インターセクショナル」な視点が必要な理由。』という記事もご参照ください)
 
 実はアメリカのプライドの運動は白人中心で、最近まで人種差別の現実に真剣に目を向けてきませんでした。2015年のシカゴ・プライドで「ボーイズタウン」と呼ばれるゲイタウンの真ん中で、15人くらいの黒人のLGBTQがパレードをストップさせ、「プライドは警察と手を組んでいるが、今この国で起きている警察による黒人への暴行を見過ごすのか? ストーンウォールは警察に対する暴動だったじゃないか」とデモンストレーションを行いました(こちらに動画がアップされています)

 しかし2020年、『ニューヨーク・タイムズ』が「歴史上最大の運動」と評するほどのBLMの高まりもあり、コミュニティを挙げてBlack Trans Lives Matterに取り組み、プライド月間のメインテーマともなりました。GLAADは6月1日、「プライド月間に際し、私たちは黒人のLGBTQの人々が上げる声にフォーカスし、中心に据えます。インターセクショナリティがあってこそのプライドです」と宣言しています。この数年で状況が大きく変化したのです。
 

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